2017.01.05
2017年のRaspberry Pi
今年もRaspberry Piを使う機会が多そうですね。雑感を交えつつ細かい情報をまとめておきたいと思います。まず、昨年12月11日に行われたイベントで、Raspberry Pi財団のEben Upton氏から発表されたニュースから、印象的だったものをリストアップ。
・2016年12月時点での、累計の出荷台数は1100万台(そのうちZeroは30万台)。グラフを見ると傾きが増しており、勢いに衰えは見られません。
・現在、日本における販売ペースは1万台/月。コンテンツの拡充などにより、これを増やしていく方針。MagPi(RasPi情報誌)のミニ版を日本で出す計画があるようです。
・Raspberry Pi 3 Model Bの日本版(写真上)はソニーの稲沢サイトで生産されており、基板には技適マークがプリントされています。外箱に印刷されている“RS”のマークが目印。
・Raspberry Pi Zeroの日本での販売が2017年前半に始まる予定。アメリカでの販売価格は5ドルですが、日本ではいくらになるでしょうね。1,000円以下だと嬉しい。
・ただいまZeroの純正ケースを開発中。昨年はFRISKの増量新パッケージがZeroにピッタリ!という事件がありましたが、純正がどういうデザインになるのか楽しみです。
イベントでは思いのほか多く日本での動きが報告されて、期待の持てる2017年という印象でした。
さて、ここからは雑談。昨年10月にはRasPiのソフトウエア環境にも大きな動きがありました。新デスクトップ“PIXEL”の導入です。PIXELは“Pi Improved Xwindows Environment, Lightweight”の略とのこと。Lightweight=軽量であることが最大の特徴のようですが、壁紙やアイコンのデザインも一新され、RasPiの世界観によりマッチしたGUIとなっています。ブラウザがChromiumに変更された点も大きいですね……と、ここまでは、着実かつ順当な進歩という印象だったのですが、その後、12月21日に、このPIXELをPCやMacのユーザーに向けてもリリースするという発表があって少し驚きました。
512MB程度のメモリしか持たない古いPCでも動作するというこのデスクトップによって、何をもたらそうというのでしょうか? 公式ブログには次の2つの理由が示されています。
・学校の古いPCと自宅のRaspberry Piで同じOSが動けば、生徒たちは2種類のツールを学ぶ必要がなくなる。
・目標はRasPiにとって最良のデスクトップ環境を作ることではなく、すべてのコンピュータにおけるベストを作ること。PCやMacに対応することで、より多くのユーザーから改良点に関する情報を得られる。
なるほど。やはり志が高いですね。PC上でRasPiと同じ環境が動作するメリットは、生徒に限らず、RasPi用のアプリを開発する人みんなにあるかもしれません。ノートPCやMacBook上の仮想環境でPIXELを起動し、そこで開発した成果をRasPiにコピーする、という作業の仕方が可能になりますよね。GUIが必要となるたびにHDMIやキーボードのケーブルを挿すのは面倒だったので、この新しいスタイルを試してみようと思います。
最後に、PIXEL対応Raspbianで加えられたセキュリティーポリシー変更の話(公式ブログ)。すでに知っている人は多いと思いますが、もし知らずにヘッドレス環境を構築しようとするとハマりそうなので、念のため。
IoT機器に対する攻撃が増加する情勢を受けて、RaspbianのSSHサービスは「無効」がデフォルトになりました。これまでのRaspbian Jessieは、インストールするだけで他の端末からsshできましたが、現在のバージョンではインストール後にsshdの有効化が必要です。そのためにはシリアルコンソールかキーボードとディスプレイがいりますね。でも、そのどちらもない状況ではどうしたら? その場合は、起動用SDカードの/bootフォルダにsshという名前のファイルを置いて起動すればいいようです。詳しくは、下記のページのあっきぃさんの説明をお読みください。
Japanese Raspberry Pi Users Group – Raspbian 2016-11-25リリース