Apple IIシリーズで育った人なら、「カラテカ」、「オレゴン・トレイル」などの楽しかったり、教育的だったりするゲームで遊んだ憶えがあるだろう。その当時は考えてもみなかっただろうが、そのコンピューターが持ち運べて、電源コードを使わずに使えたらどんなにいいだろう。
カリフォルニアに住むソフトウェアエンジニアのChris Larkinは、それにチャレンジすることにした(彼のGitHubの記事を参照)。すでにデザインしてあったApple IIの3Dプリント用ファイル(本体とディスプレイ)と、CHIPコンピューターとそれ用のカスタムブラケットを使っている。ソフトウェアはLinApple-Pi softwareでエミュレートしている。そうして出来上がったApple IIは、まさにオリジナル(または2つ目のバージョン)そっくりのミニミニ版だ。
(日本語版編注:CHIPについては「Linuxとクリエイティブ・コモンズで9ドルコンピューター CHIPがオープンに」「9ドルLinuxコンピューター「CHIP」出荷開始」を参照)
電源は、大容量の12ボルトのドローン用バッテリー。1回の充電で約10時間使えるとLarkinは見積もっている。この設定には少々苦労した。ディスプレイは12ボルト対応だが、CHIPは5ボルトしか受け付けない。最初、3.6ボルトのブーストコンバーターを使ってみたが、バッテリーが1時間しか持たず、しかも熱がすごかった。結局、12ボルトをバックコンバーターで降圧してCHIPに電源を供給することにした。
よく見ると、オリジナルのApple IIにはなかったものが見つかる。その1つが、背面のコンポジット映像コネクターだ。ここから映像を出力してコンソールのように使うのかと思ったら、これは彼が使っているAdafruitディスプレイの入力だった。別のビデオソースをここに入れろと言わんばかりだ。これを使えば、CHIP/Apple II以外の映像を映し出すことができる。
もう1つの違いはキーボードだ。それについてLarkinはこう言っている。
(本当に使えるキーボード)が本来の計画だったのだけど、それだけで1カ月はかかりそうな大変なプロジェクトになることがわかった。それに、もしできたとしても、死ぬほど使いにくいに決まってる。本体ケースとキーボードはデザインをし直す必要があり、完成したキーボードはApple IIのものとはレイアウトが違っている。結局、持ち運びも便利で使いやすい小型のBluetoothキーボードを使うことにした。
それには納得できる。このApple II「クローン」の製作には最初から最後までで3カ月しかかかっていない。その多くは部品が届くのを待つ時間だと彼は言っている。これは、やっと人に見せられる状態になったものだと言うが、Makerのプロジェクトとは永遠に終わらないものだ(私の場合は、いつだって「あとちょっと」が永遠に続く)。彼はこう話している。
今の3Dプリントはちょっとラフだ。もっと高解像度なプリントをして、表面をもっときれいに仕上げてからペイントしたい。また次のバージョンでは、CHIPのUSBポートを背面に出して、USBジョイスティックなどが使えるようにしたい。画面は、Apple IIのディスプレイがそうだったように、上下にガタガタする。しかし、画面をフレームに固定するのに接着剤を使ったのだが、それでは十分でなかった。だから、あまりダメージを与えないように、これ以上動かさないようにしなければならない。将来のバージョンでは、画面をフレームに固定する方法を考え直したい。
彼はまた、作り直すとしたら、USBブレークアウトを使って背面にジョイスティックなどのUSBアクセサリーを接続できるようにしたいと話している。それでも、下の動画を見てもらえばわかるが、なかなかの出来だ。1つ目の動画は起動する様子を、2つ目の動画はBluetoothキーボードで「カラテカ」をプレイしているところだ。
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