シンガポールからアメリカ、そしてヨーロッパ全体に向けて、Edible Innovations(食べられるイノベーション)は、生産から流通から販売までのあらゆるステージで世界の食料システムを改善しようと考えるFood Makerたちを紹介しています。私たちといっしょに、この産業の大きな流れを、Makerの視点で探ってみませんか。優れた教育的な核を持ち、未来への偉大なる挑戦のための主要なツールとしてフードイノベーションを推進するFood Innovation ProgramのChiara Cecchiniが、世界のFood Makerたちの顔、話、体験を紹介します。
Charlieは2006年まで、マウンテンビューのGoogle本社キャンパスにある10箇所のカフェを取り仕切り、毎日4,000人分の昼食と夕食を提供していた。その後、パロアルトに自分のレストラン、Calafia Caféを開業。自動的に食事を提供するサービスの開発をDeepak Sekarと始めるようになった。
Deepak Sekaが開発した Sallyは、1分足らずでサラダを作るロボットだ。使い方も直感的でわかりやすい。客は皿をディスペンサーの下に置き、選択をする。あとはSallyが自動的に素材を組み合わせてサラダを作ってくれる。
食品と技術の交差点
Charlieは食品技術系Makerと言えるだろう。彼はシェフとして、厨房の中で食材を選び、組み立て、処理して新しいメニューを作り出している。彼が好きなのは、食品と技術の交差点で遊ぶことだ。それが彼に新しい観点を与えている。Sallyを最初に試す場所としてCalafia Caféを選んだのも、そこがサンフランシスコの技術系企業や学校が集まる中心地にあるからだ。Calafia Caféは技術と教育に貢献し、その学びと創造のコミュニティで人々の才能を開花させる手伝いをしている。
正確な栄養管理
Sallyの特許出願中の容器システムは、食材の完全性を保つよう考えられている。また、正確な供給システムにより、利用者が必要とする栄養素に適合したサラダを作ることが可能だ。Sallyが単なる自動販売機と異なるのは、センサーや数々の可動パーツが使われている部分だ。Sallyは考えて動いている。単に食材を皿に落とすのではなく、刻んだ素材、丸ごとの素材、そしてドレッシングなどが独立した容器に収められており、それらが常にソフトウェアと交信している。
開発は続く
どのプロトタイプもそうだが、Sallyに関しても、Sekarはまだ開発の手を休めることができない。細かく刻まれた素材は、ソフトウェアエンジニアが仕事中に食べるのには都合が良いだろうが、それでは柔らかい材料が扱い辛くなる。アボカドは悲惨な結果となった。果物も難しい。さらに、Sallyはまだサラダを混ぜることができない。上に重ねてゆくことしかできないため、混ぜるのは食べる人の役目となる。
学習の中心
Sallyは「食品と技術の出会い」を楽しく物語っている。異なる業種の結合は、ここでもイノベーションの要となった。Sekarたちは、ロボティクス、食事サービス、自動販売機を組み合わせて魅力的な製品を作り出そうとしている。さらに、彼らは製品をどこに置けばもっとも有効かを、よく考えている。Makerが作るプロトタイプも製品も、完成したらすぐにユーザーの手に渡すことが必要だ。技術好きの人々の中心地であれば、彼らがその製品の特性を活かして育ててくれる。
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