Fabrication

2016.10.12

最先端の調理を生み出す5つの食品プリント技術

Text by Chandi Campbell
Translated by kanai

このごろは、3Dプリンターで実験を行っていない業界を探すのが難しい。食品業界も例外ではない。食べ物をプリントするなんて、考えただけでも楽しくなるが、そのほかの応用方法も登場している。ロボットシェフなどの目新しいだけのものを超えて、キッチンの形を変えてしまうほどのアイデアもある。

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1. 食べられる盆栽

石油由来のプラスティックが、すぐに高度なバイオプラスティックに置き換わったように、3Dプリント食品も、直接的な抽出からより高度なプロセスに変化している。賞を獲得したChloé RutzerveldのEdible Growth(食べられる盆栽)プロジェクトは、食べられる幾何学構造に有機物を入れ込むことでそれを実践していた。このコンセプトは、バイオの足場を作ってさまざまな器官を作る手法と同じだ。この食べられる生態系は、全体をプリントして、あとは育てるようになっている。

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2. 加工されたパンケーキ

PancakeBotはパンケーキをデザインしてプリントするための専用マシンだ。オープンソースのCADソフトウェア、PancakePainterを使って、画像を読み込んだり、自分で描いたりできる。パンケーキで作った友だちの肖像画なんていうのも可能だ。それを奇妙だと思う人はいないだろう。朝に朝ご飯を食べる人も、夜に朝ご飯を食べる人も、チューバッカみたいな朝ご飯が好きな人も、この300ドルのマシンで十分に楽しめる。

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3. プリントできるピザ

ピザは好き? ではピザの宇宙風はいかが? NASAは長期の宇宙旅行で宇宙飛行士の栄養と精神状態を正常に保つために、食品のプリントを研究している。そうして、2013年にBeeHexプリンターが、NASAのSBIR(スモールビジネス・イノベーション研究)補助金を使って開発された。BeeHexを創設したJordan French最高マーケティング責任者は、現在は「地球ピザ」の開発に専念しているという。2017年には、野球場の売店や遊園地などのいろいろな場所でピザをプリントする事業を開始する予定だ。BeeHexには3つのノズル(3種類の素材に対応)があり、空気圧で素材が押し出される。

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4. 食品のプラグ・アンド・プレイ

熱溶解積層型のプリンターをすでに持っているなら、プラスティック用のエクストルーダーとホットエンドのアセンブリーをペースト用のものに交換できる。PrintrbotではPrintrbot Simple用に330ドルで機械式エクストルーダーを販売している。

交換は難しくないと言うけれど、アセンブリーを付け替え、配線をし直して、新しいファームウェアをインストールしなければならない。しかしその代償は“スイート”だ。加熱シリンジによって、チョコレートやアイシングを安定した温度でプリントできるようになる。

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5. 高齢者のための食品

PERFORMANCEプロジェクト(Personalized Food using Rapid Manufacturing for the Nutrition of Elderly Consumers[高齢消費者用栄養のためのラピッドプロトタイピングを利用したパーソナライズされた食品])は、欧州委員会によって設立され、嚥下障害を持つ患者のためにカスタマイズされた食品の製法を研究している。

通常、嚥下障害のある人は流動食に限られている。食欲をそそらないピュレだ。しかし、熱溶解積層法、レーザー焼結法、粉末法など、さまざまなプリント技術を使うことで、昔ながらの味や形で特殊な食感の食品が作れるようになる。

原文