Fabrication

2018.11.22

TechShop撤退後のサンフランシスコにTheShop.Buildがオープン

Text by Dale Dougherty
Translated by kanai

私は、TechShopが失われた後のメイカースペースの世界を観察してきたが、TechShopの突然の閉鎖から1年が経った今、いい流れが見えてきた。現在、TechShopの閉鎖で行き場を失ったMakerたちの受け皿となるべく、新しい人たちが立ち上がり、有料または非営利のメイカースペースを作り始めている。TechShopで働いて経験を積んだ元従業員も、そうしたスペースに新しい職を見つけている。これは、あのような予期せぬ失敗から立ち直る力がMakerにあることを示す、うれしいサインだ。

今日、私はサンノゼのTheShop.Buildを見学してきた。オーナーのDan Rasureは、カンザス州の出身で、このベイエリアに移り住み、2月にサンフランシスコに、8月にサンノゼに、TheShop.Buildを開店した。

オフィスパークの一画に位置する約5,200平方メートル(1,570坪)のスペースには、もちろんたくさんの機材が並んでいる。サンノゼのTechShopで使われていた機材の一部も、6月のオークションで落札されてここに来ている。だがRasureは、ホビイストに人気の機材に加えて、さらに多くの業務用工作機械をTheShop.Buildに設置した。Rasureは機械のことをよく知っている。木工エリアが一番人気だそうだ。

メイカースペースを訪問するときの一番の楽しみは、そこでどんなプロジェクトが作られているか、どんな人が、どんな理由でそれに関わっているのかを見ることだ。

13歳のときにサクラメントで起業したWyllis Greenwayは、つい最近、ベイエリアに引っ越してきた。彼はこれまで自宅で製品を製造していたが、やっといい作業場に巡り会えた。彼の製品はZatobaというものだ。パン職人の母から勧められた開発したという。木の柄にカミソリの刃がついたもので、パン生地に切れ目を入れる道具だ。小売価格25ドルで、年間に1万本売れている。自分のウェブサイト(zatoba.com)でも販売しているが、Williams & SonomaとAmazonでも買える。

彼はこの製品を高校生のときに作り始め、その後、大学に進んだが、会社を大きくするために中退した。しかしそのお陰で、彼は車を買うことができ、フルタイムで働けるようになったと話している。TheShop.Buildで彼は、もっとも製品がよく売れるクリスマスシーズンに向けて、製品を小さな木の箱に入れる作業をしていた。一仕事を終えたその日の午前中、彼は談話室で休憩をとり、19世紀の道具について書かれた大きな本のページを捲っていた。

Michael Randazzoは、人工股関節置換手術を行ったことで杖が必要になった。『スター・ウォーズ』のファンなので、彼はライトセイバー型の杖を作ろうと考えた。それはすでにザ・シャーパーイメージで売られていたが、300ドルか400ドルもする。「これなら自分で作れる」と感じたのだ。柄は、アルミから工作機械で慎重に削り出した。それには、ひねって外すまでは隠れて見えない継ぎ目がある。彼は昼間はHPの経理として働いているが、自分には工作機械で何かを作る腕があることを発見した。

TheShop.Buildの従業員であるGaiaは、談話室のパーティションをカラフルな布で飾る作業に追われていた。創造的な人間はなんでもできるのだと、彼女は私に説明してくれた。そこには、Maker Faireを手伝ってくれているDariusも従業員として働いていた。セールスマネージャーのVinnie DiMareは、大きなプロジェクトのアイデアを持っている。他の会員たちと仲良くなって、一緒にそれを作りたいと考えていた。人々は、メイカースペースに機材を使いに来る。しかし、作業後もそこに留まっている。楽しい仲間のコミュニティがあるからだ。

下は、私が撮影した写真を元にした動画だ。

原文