Electronics

2019.01.30

他のニュースでは見られないCES 2019で見つけた「Make:」好みのプロダクト

Text by kanai

今年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)も終わった。「Make:」は今年も、DIYとスタートアップの新星を求めて、壁のように立ち並ぶテレビや光るカラオケスピーカーや家電製品や、その他の「コンシューマー」で「エレクトロニクス」なやつを見て回った。

帰ってきてから印象に残っているものを、ちょっとメモしておく。

・最高潮の2019年CESだったが、その雰囲気はこれまでの数年間と変わらない。いちばん印象に残っているのは「もっとテレビを買ってください」という空気。
・すでに記事にも書いたけど、潜水ドローンが大量に展示されていた
・ほぼすべての会話にコロラド的な考え方が含まれていた。「これはイノベーションの新しいハブになるだろうか?」
・「Impossible Burger 2.0」のミニハンバーガーは、うまい食べ物屋がないことで知られるCES会場で我々の命を救ってくれただけでなく、じつに美味しかった。

では、本題に入ろう。

Bare ConductiveのMatt Johnsonは、彼らの導電性インク開発における最新の技術を見せてくれた。印刷された特徴的な格子模様と新しいコントローラーボードを使うことで、約10×20センチのシート上の手で触れた位置を検知できる。彼らは現在、大手企業との提携を進めているが、第1号はイケアだ。

FT Aviatorは、新型のドローン制御装置だ。開発したのは宇宙飛行士のScott Parazynski(写真)。直感的に操作できる昔ながらのジョイスティックといった感じだ。DJIドローン用に作られたコントローラーは、Kickstarterで資金を獲得したばかり。

Techniplasは、フュエルインジェクションの鋳型の会社としてスタートしたが、現在はデジタル分野で大きなビジョンを抱いている。Avi Reichental(元3D Systems)が率いるこの会社は、カリフォルニア州ベンチュラに本社を置き、自動化されたジェネレーティブデザイン・ツールと自社製金属3Dプリンターを使い、自動車のカスタマイズを行なっている。彼らがカスタマイズしたMini Clubmanの縁取りをよく見て欲しい。

OhmniLabsは、3Dプリントと画期的なメカニズムを使い、安価で、短時間に設計変更が繰り返せるロボットを開発している。最初の製品はテレプレゼンスロボットだが、同社の創設者は、再利用部品から即席に作りあげた一対の遠隔操作式ロボットアームをCES会場に持ち込んでいた。写真は窓拭き用に設定されたロボットアームだ。片手には雑巾を持ち、もう片方の手にはスプレーノズルが組み込まれている。

Mycroft Mark IIは、Amazon EchoやGoogle Homeのようなボイスアシスタントを自分専用に作れるというものだ。これはサーバーに接続しなくて済むので、個人データが収集されることもない。8つのマイクロホンアレイを搭載し、高音質で、画像表示スクリーンがある。WikipediaとWolfram Alphaに接続して、音声による質問にも答えてくれる。Kickstarterで資金調達に成功したばかりだ。

Arduinoは、MKR1000ボードを1万台無料配布するという大盤振る舞いを行なった。Arrow Electronicsのブースで配られ、その展示ホールの入口には大きな広告が掲げられていた。会場ではその時点で、いちばん目立つMaker向けコンポーネントの小売店となっていた。

このVRジェットコースター・シミュレーターは、CESの参加者に奇妙な体験をもたらした。

Desktop Metalは、歯車、蝶番、ゴルフクラブのヘッドなどを金属でプリントする技術を披露していた。デスクトップ型の金属3Dプリンターは1千万円以上という価格だが、プロジェクトのアイデアが湧き上がってくる。

FormlabsのMax Lobovskyは、驚くほど展延性の高いレジンやポリエチレンのようなプラスティックなどの最新の素材を見せてくれた(3Dプリントしたスプレーボトルは素晴らしかった)。ボストンに本社を置くこの会社は、500人の従業員を擁し、世界の多くの都市にオフィスを構える企業に発展している。

Electraflyは、電動の一人乗り航空機だ。パイロットの周囲の8つのローターがあり、股の下では200馬力のジェットエンジンが火を吹く。ユタ州のこの会社は、今年中に有人飛行試験を行うという。

Makerプロジェクトでないことはわかっているが、ニコンの最上位一眼レフのような複雑な装置のきれいなカットモデルは、本当に見とれてしまう。

これもKickstarterプロジェクト。VincrossのHexaは、自己学習型のロボットプラットフォームだ。障害物を乗り越えたり迂回したりする方法を自分で判断できる。北京に本社を置くこの会社では、これをロボット工学の教育に使っている。

今年のCESで目立っていたものは、何と言っても自律走行車両だ。フォードはフロリダで自律走行車両の実験をしているが、Schaefflerはそのホイールハブ方式の自律走行「ムーバー」を展示し、Velodyneも独自の自律走行シャトルを持ち込んでいた。関連技術の展示ブースの数で測るとするなら、LIDARは将来の交通の大きな部分を占めると考えられる。

1Sheeldの共同創設者、Amr Salehは、エジプトから最新技術を持ってきていた。Arduinoベースのブロックチェーン開発ボード、Elkremだ。

アナログ写真界の二大巨頭、ポラロイドとコダックは、それぞれ3Dプリントの技術開発の様子を披露していた。ポラロイドのプリンターは、コンパクトで学校の教室で使いやすく低価格(およそ5万6000円)だが、現在はイギリスとヨーロッパでしか購入できない。コダックのプリンターは、やや大型で、本格的な複合素材プリントができるデュアル・エクトルーダーを備えている。価格はおよそ38万円。アメリカでの出荷が始まったところだ。

イタリアのDress Codersは、ファッションにネオンのような要素を加える光る糸を展示していた。その効果は眩しいほどだ。

IndieGoGoの光のクリエイターツリーは、スタートアップ・ホールの美しい目印として輝いていた。

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