2022.12.23
おとでん通信 #22|フォステクスのスピーカーユニットと塩ビ管とくすみアクリル板で「8」の形のスピーカーを作りました!
本格的に寒くなってきてコートだけでなくマフラーや手袋も欲しくなってきた今日このごろ、みなさんいかがお過ごしでしょうか? おうちでぬくぬく過ごす日はぜひ工作をしてみてはいかがでしょうか? 今回は「おとでん通信」久しぶりの工作記事です!
乙女電芸部は、FabLab SENDAI-FLATさんの企画、Advent Calender Challengeに昨年から参加させていただいいています。クリスマスの25日まで、12月1日からカウントアップしていくアドベントカレンダーですが、1日ずつ25組のクリエーターがそれぞれの数字を作っています。
乙女電芸部は今年は8日の「8」を担当。せっかくなので電子工作要素を入れたいな、と思いスピーカーを作ることにしました!
作り方はFabLab SENDAI-FLATのページでも紹介していますが、こちらではもっと詳しく書いていきます!
素材選び
まずはスピーカーを選定します。8という数字に見えるように、なるべく小さいもので、きちんとデータシートのあるもの、固定しやすそうなものを選びます。秋葉原周辺にはジャンク品もたくさん売っていますが、データシートがあるととても設計しやすいです。今回はFostex P650Kを選びました。公式ページでデータシートを見ることができます。
筐体には塩ビ管を選びました。8という形を作るには、丸い形を作らなければいけないため、スピーカーの素材として定番の木材だと加工が難しいためです。そこで、もともと円形になっている塩ビ管に、アクリル板をレーザーカットしたものを嵌め込んで筐体を作ることにしました。
スピーカーが65mm角なので、100mmくらいの直径の塩ビ管だと良さそう! と思いホームセンターに向かいます。塩ビ管は規格があって呼び径と言われるいくつかのサイズが決まっています。また用途によって使い分けるVP管とVU管があって厚みが違うので、私たちは厚みの薄いVU管を選びました。普通の塩ビ管はスピーカーとして使うには長く、切り出す加工は大変なので、もともと短いもので塩ビ管同士をつなぐ役割のある継手(ソケット)を購入することに。
アドベントカレンダーということもあり、ワクワクするようなおしゃれな見た目にしたかったので、アクリル板にもこだわり、くすみグリーンを採用しました。カラーのアクリル板と言えばビビッドな色合いを思い浮かべる方も多いと思いますが、実はパステルやくすみカラーも売っているんです。ファンタレックスというブランドのパステルシリーズは色味がかわいいだけでなく、片面がマット仕上げになっているので指紋もつきにくく、インテリアにぴったりの仕上がりになります。
アクリル板、スピーカー、塩ビ管、端子台
材料リスト
- アクリル板 ファンタレックス パステルシリーズP-202M
- 塩ビ管 VU100 継手(ソケット)×2
- スピーカー Fostex P650K ×2
- 端子台 ×2
- スピーカーケーブル
- カッティングシート
データ作成
材料が決まったら、レーザーカッターで切り出すためのデータを作成します。
レーザーカッターのデータ仕様に合わせて作成します。
Adobe Illustratorでレイヤーを分けてつくると設計しやすいです。データ作成時は先ほども触れたスピーカーのデータシートから数値を入れます。塩ビ管も規格のデータシートがありますが、念の為、ノギスなどで実測します。
8の形はどういうものがかわいいかな? と色々なフォントを見たり、Pinterestで検索して参考にしました。インテリアに馴染むよう、シンプルなゴシック体を目指しました。バランスが良くなるよう、下の丸は上の丸より大きめに。机に接する部分は直線になるよう調節し、スピーカー全体が自立するようにしました。
試作とデータ修正
データができたら黒い端材のアクリル板で試作をしてみます。一発でぴったり作れることはほぼないですし、レーザーカッターだと0.001mmなどとても細かい単位で調整できるので、一度試しに端材に出力することをお勧めします。
端材を活用しています。
塩ビ管の外側と内側にアクリルパーツを嵌めます。
スピーカーもねじを取り付けて、穴位置にズレがないか確認します。今回はほとんど試作でうまく行ったのですが、スピーカーを取り付けた丸板が塩ビ管の内側にぴったり嵌まらず少しゆるくなってしまったので、サイズを微調整しました。
試作が完成しました!
いよいよ本番!
データを修正できたらいよいよ本番のアクリルを切り出します。
塩ビ管はそのままだと無骨なので、ベージュのカッティングシートを貼りました。カッティングシートをフチまで貼ってしまうとアクリル板がきれいに嵌まらないので、上下3mmずつのところにハイトゲージで線をひき、その部分はカッティングシートを剥がしました。
ハイトゲージでけがきします。
カッティングシートの両端をはがしました。
スピーカーと端子台をねじ止めして、アクリル板のパーツをどんどん嵌め込んでいきます。スピーカーのねじ止めは、この後、上に化粧板を貼りたいので、サイマコーポレーションさんの超低頭ねじを使っています。作業しているDMM.make AKIBAの中でリサイクル素材の提供コーナーがあり、そこでこのねじをゲットしました!
スピーカーと端子台はスピーカーケーブルでつなぎます。内部ではずれないようにはんだづけをしました。
自分が設計したものがぴったり嵌まると気持ちいいです。
最後に化粧板を両面テープで貼り付けて完成です!
音楽を流してみました
アンプにつなげて試聴してみます。思ったよりもかなりいい音が鳴りました!
映像ではわかりにくいですが、8のスピーカーから鳴っています。机がびりびり震えたりすることもなく、しっかり2つともスピーカーが浮いているのできれいな音です。
(左)地面からも浮き、二つの塩ビ管の間にも隙間があります。(右)裏側から見るとこんな感じです!
実際にステレオスピーカーとして聴く場合は横置きにして聞くのがよいと思います!
レーザーカッターを使えば、このように簡単にオリジナルスピーカーを作れます! また、スピーカーでなくても好きな数字や文字をモチーフにものづくりするのは楽しいです。年末年始、何かテーマのあるものづくりに挑戦してみてはいかがでしょうか?
FabLab SENDAI-FLATさんのページでAdvent Calender Challengeをご覧いただけます! 他の方の数字も素敵なアイデア満載で作られていますので、ぜひご覧ください。
おとでんの日常
11月に開催されたEdgeTech+2022で、オライリー・ジャパンのブースの中の「Maker Faire Tokyo出張版」コーナーに出展しました!
組み込み技術が中心の展示会のため、Maker Faire Tokyoのことを知らない方もたくさんブースにお立ち寄りいただきました。当日は乙女電芸部の紹介とキットや新聞を販売していたのですが、想像していたよりもたくさんの方にキットを購入していただき、次回のMaker Faire Tokyoにお越しいただくきっかけづくりができたかな、と思います! 一緒に展示をしていたAIオセロを開発している山名さんのブースも、常に人だかりができていました。