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2023.09.12

細胞、ミトコンドリア、DNAなどを太巻き寿司やカレーなどの料理としてつくって、身体で“かがく”を理解するユニークな新刊『かがくを料理する』は9月27日発売!

Text by editor

細胞、ミトコンドリア、DNAの複製・転写、ニューロン、金属結晶など、さまざまな「かがく」にまつわる題材を料理として再現するユニークな料理の本。細胞は太巻き寿司に、ミトコンドリアはとんかつに、血液と免疫細胞はあんみつに、そしてニューロンがいかつくね串になるなど、驚くような20の料理のレシピを紹介、実際につくって食べることが可能です。それぞれのメニューには「かがくの解説」も掲載。科学の基本的な原理を伝える強力な“道具”としての新しい料理の楽しみ方を伝えます。本文オールカラー。


●書籍概要

石川 繭子、石川 伸一、加賀 麗 著
2023年09月27日 発売予定
132ページ
ISBN978-4-8144-0044-7
定価2,200円

◎全国の有名書店、Amazon.co.jpにて予約受付中です。
◎目次などの詳細は「O’Reilly Japan – かがくを料理する」をご参照ください。


●はじめに

■なんでも料理に見える現象

「パレイドリア現象」を知っていますか。月の濃淡がウサギに見えたり、コンセントが人の顔に見えたりする錯覚のことで、自分の身近なものに置き換えようとする、脳のはたらきだそうです。

ハンドクリームがクリームチーズに見えたり、山の斜面を固めるコンクリート壁がワッフルに見えたりなど、食べものに関する錯覚も多そうです。小さい頃、おいしそうな石を思わずなめてしまった人もいるかもしれません。料理ではないものが料理に見えるのは、それだけ頭の中が料理でいっぱいになっているということなのでしょう。つまり、食いしん坊が“空目”すれば、なんでも料理に見えてくるのです。

■料理で科学との距離感が近くなる

過去に、おもしろいと話題になった授業がありました。それは、応用数学が専門のマイケル・ブレナー教授らが、ハーバード大学で行った「科学と料理」という講義です。その中で、応用物理学が専門のデビッド・ワイツ教授は、レアやミディアムに焼いたステキ肉を使って、弾力性などの物理化学的な変化を説明しました。

ワイツ教授は、「学生に科学のおもしろさを伝えるのは長年の課題だったが、今回は大きな手応えを感じた」と語っています。この講義からわかるのは、科学の基本的な原理を伝える“道具”として、料理がとても強力なツールになるということです。

■“料理を科学する”はよくあるが、その逆はなかなかない

“料理を科学する”のは調理学という学問分野ですが、その逆の“科学を料理する”ことは、これまでにあまりなかったようです。つまり、生物学や化学などの分野で知る細胞や分子を、料理で表現するという世界です。

科学の世界を料理でデザインしようとすると、教科書では気づかなかった、自分だけの特別な発見があります。また、手を動かしてつくってみると、頭だけでなく身体全体で「わかった!」感覚が味わえます。そしてなんといっても、自分でつくった「かがく」を食べることができるため、文字通り、身になるのです。

科学好きと料理好きがひたすら妄想してつくったのが、このレシピブックです。ぜひ、つくって体感してみてください。また、この本に載っていない「かがく」がどんな料理になるか、教えてくれたらとてもうれしいです。

著者一同