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2014.02.10

製造エンジニアであることの喜び

Text by kanai

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MAKEのいろいろな記事を読んでいると、大人になっても「作ること」を続けられるよう、工学エンジニアを職業に選びたいと希望する若者の話がよく出てくる。私なら、そんな若者たちに、もっと適した職業を勧める。製造エンジニアだ。私は、36年間、いろいろな分野で製造エンジニアを務めてきたが、この職業に就いてよかったと、最初から思っている。

子どものころから、私はずっと建築家かエンジニアになりたいと思っていた。どちらも自分の想像力のよい出力方法のように見えたからだ。私はよく、家の設計図を描いたり、プラモデルを作ったりした。自分の部屋に、ベッドよりも大きな製図台を持っていたのだ。私の周りには、いつでもデザインしたり作ったりするためのものがあった。

高校と大学の夏休みは、小さな製造業者で設計士またはデザイナーとしてアルバイトをしていた。今思えば、そのときの経験がとても貴重なものだったとわかる。工具製造業者からのフィードバックは大変に勉強になった。彼らは私に、作れるものと作れないものを違いを、ときには手振り身振りでわかりやすく教えてくれた。

大学を探していたとき、私は建築学で有名な2校に絞り、そして、建築学部には空きがないので待たなければならないと知らされていたのだが、カリフォルニア州サンルイスオピスポにあるカリフォルニア・ポリテクニック州立大学を選択した。建築学部の空きを待つ間、私は機械工学を専攻した。実習室での作業は楽しかったが、理論中心の授業は違うと感じていた。2πθの答が、この世でいったい何の役に立つのだろう。それより、答が秒速15フィートだとか、質量7ポンドとか、そういうことを学びたかった。幸いなことに、建築学部の空きを待つ間、大学の製造エンジニアリングというプログラムを見つけた。1年後、学部長助手から空きができたと報告を受けた。しかし私は丁重に辞退した。建築学部への転入を断った学生はひとりもいないと言われた。たぶん、私が最初だろう。

製造エンジニアリングプログラムは素晴らしかった。特定の作用の理論を習うだけでなく、その後すぐに実習室へ行き、理論を実証するのだ。機械やエレクトロニクスで実習が大切なのは当然だが、化学や物理でも同じことが言える。カリフォルニア・ポリテクニック大学は、授業だけでなくいろいろな点で、最高の大学だと私は思っている。大学の信条は「実行して学ぶ」だ。今でも、カリフォルニア・ポリテクニック大学の卒業生は引く手あまただ。就職第一日目から実践で活躍できるからだ。

たとえば、私の4年のときのプロジェクトで、射出成形金型をデザインし製作というものがあった。私はクフ王のピラミッドをモデルに選んだ。製図道具を使って壁の薄いピラミッドの設計に取りかかった。やがて製図が完成し、先生からオーケーをもらい、材料を機械で加工して組み立てた。あとは、射出成形機に金型をセットして、実際に射出を行った。まさに、デザイン、開発、実施を現実に体験したわけだ。

大学に行けて、しかも心底好きになれるコースに出会えたのは本当に幸運だったと思う。MAKEの記事を始めとするいろいろな著述を見ると、書き手は工学エンジニアになりたかったのだなとわかる。私は若いMakerたちに、自分に合った製造プログラムのある大学を探すよう勧めたい。2年のコースと4年のコースがあると思うが、そこを出れば、工業の世界で「作ること」をずっと続けられる。しかもそれで生活ができるのだ。

– Bill Ryder

原文