Electronics

2015.01.07

Piper:Raspberry PiとMinecraftでエレクトロニクスを学ぶ

Text by Matt Richardson
Translated by kanai

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Raspberry Piなどのプラットフォームが、コンピューターの学習を目的として、子どもたちにも手が届く価格で提供されていることは間違いない。しかし、手に入りやすいということ以外に、子どもたちがこれらのプラットフォームの可能性を探るための努力は、どれほどなされているだろうか。Piperのスタッフは、Raspberry Piベースの学習プラットフォームを使って、まさにそれをやろうとしている。子どもたちのモチベーションを高めて学習を促す鍵となるものは、Minecraftだ。すでに、世界中の子どもたちが、この3Dゲーム製作環境を使って、長い時間、ゲームを作ったり遊んだりしている。Mark Pavlyukovskyy、Alex Stokes、Shree Boseが開発したPiperは、Minecraftの改造版をRaspberry Piで走らせるもので、回路やインタラクティブシステムの作り方をわかりやすく教えるようになっている。

Piperはまだ開発途中の段階だが、彼らはすでに学校や博物館で長時間の実地テストを重ねている。数週間前、サンノゼのThe Tech Museum of Innovationで彼らに会い、話を聞くことができた。そこで彼らは、博物館の来場者を対象にPiperの試験運転を行っていた。

Matt Richardson(MR):まずは、お時間を割いてくれてありがとう。最初にPiperのことを聞かせてください。

Mark Pavlyukovskyy(MP):Piperは、子どもたちにMinecraftで遊びながら電子回路の組み方を教えるハッカーツールボックスです。またこれは、メイカームーブメントに乗りたい人、エンジニアになりたい人のための乗船手続きでもあります。

MR: なぜMinecraftなの?

Alex Stokes:Minecraftは子どもたちに大人気で、大勢の子どもたちがそれで遊んでいます。だから、Minecraftのように子どもが好きなものを利用して、子どもたちがメイカームーブメントに興味を持ちやすいようにと考えたのです。MinecraftはRaspberry Piの回路で遊べます。これはまさに天の引き合わせです。

MR:みなさんがPiperを作ろうと集まった経緯を聞かせてください。

Shree Bose:ずっと前、何年か前に私とMarkが出会いました。私たちはNIH(アメリカ国立衛生研究所)で働いていたのです。そのとき、MarkはAlexと知り合いでした。彼らはときどき合っては、いっしょにコードの勉強をしていたのです。それはクールだと思いました。私は高校生のころ生物学の研究をたくさんやっていて、同時にコードの勉強もしていたのです。私は高校生のときにGoogle Globel Science Fairで優勝し、子どもたちに講演をするために、ほうぼうを回ってきました。

子どもたちは、かならずこう聞いてくるのです。「生物学に興味があるんだけど、何をしたらいいですか?」と。そのとき私は、師匠を見つけろと答えます。何か興味を持つものを見つけて、それを追いかけろとも言います。しかし、テクノロジーに関しては、キミが興味を持つテクノロジーはこれだ、とはっきり答えられるものがありません。実際に自分の手を動かすしかないのです。しかし、それに適したツールがありませんでした。そして、MarkとAlexに相談したところ、そういうツールを作ろうという話になったのです。そこから、ウェブプログラミングゲームを搭載したPiperの最初のイテレーションができました。

私たちがほうぼうを回って子どもたちに話を聞くと、彼らはこう言います。「ほんとにクールだと思うよ。でも、Minecraftみたいのはないの? ボクたち、Minecraftが大好きなんだ。ああいうのが欲しいんだよ」と。

そんなわけで、このアイデアが生まれました。私たちはこの将来性には大きなものがあると感じていて、このプロジェクトに大変興奮しています。プロジェクト自体、わくわくさせるものですが、これを使って、すべての世代の子どもたちがここから何を学ぶか、これを何に使うかを考えると、もっとわくわくします。未来はすごいことになります。それが楽しみです。

MR:今はテスト段階ということですが、これまでにわかったことは?

MP:いくつかあります。最初はまったく違っていたいんです。Shreeが言ってたとおり、子どもを対象にした小規模なコンピューター教室で、HTMLウェブサイトの作り方を教えるというものでした。私たちは、子どもが自分の手で何かを作るというアイデアを気に入っていました。そしてテスト期間中、私たちは子どもたちも作ることが大好きであることを知りました。Minecraftで遊ぶことも大好きでした。そこで、この2つを合体させて、子どもたちにMinecraftで遊ばせながら、物理的な何かを作るというものにしようと考えたのです。

成長する段階で、私たちはゲームの改良点について、ボックスの物理的デザインについて、何が不要で何が子どもたちに人気か、子どもたちを夢中にさせるものは何か、といった貴重なフィードバックを得ました。

SB:もっともエキサイティングな部分は、常にソフトウェアのゲームをプレイし仮想世界に身を置くという環境にあって、物理的な部品から何かを作ることに子どもたちが熱中するというところだと思います。彼らは、この現実な世界でものを作ることを非常に楽しんでいます。これは将来への明るい兆しだと思います。

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MR:テストに関して面白い話はありましたか?

AS:そうね、今日来ているひとりの子ですが、彼は最初のレベルで遊んでいました。そしてこう言ったのです。「オーケー、なんかわかった気がする」と。彼は次のレベルで遊び始めたのですが、ちょっと難しくてイライラしていました。「どうすればいいんだ? 何をすればいいんだろう? 何をすればいいんだ?」と彼は言いながら挑戦し続けました。何度もやって、やっと解決すると、両手を高く伸ばして「イエス!」と叫び、大喜びします。

テストを行った学校でも、こうしたことが見られました。子どもたちは、ひとたび理解すると、彼らは本当に楽しいゲームをプレイし始めます。まずMinecraftから入り、それからそれを使って何か新しいことを始めて、素晴らしい体験を得るのです。

MR:Raspberry Piに関して聞かせてください。最初からRaspberry Piを使うつもりだった? そうでないなら、どうして最終的にRaspberry Piになったのですか?

AS:Raspberry PiはMakerコミュニティのなかで大変に人気のあるボードです。私たちにとって価格が安いというだけでなく、Piperを使いたいという人たちにも安価に提供できます。非常に安くて、ソフトウェアの数も充実しています。なので、今のところ私たちのプロトタイプには最適の選択なのです。

MP:コストと、そのコストでできることとのバランスが取れているのです。35ドルで、膝の上でMinecraftが走るのです。今、それができるボードは他にありません。

MR:今後の開発のタイムラインと発売の予定は?

MP:これから数カ月をかけて、使い勝手を改良します。つまり、物理的なプレイ感覚、レベルの調整、チュートリアルの改善、これで作れるもの、プロジェクトを改善していきます。2015年の2月ごろにKickstarterキャンペーンを行います。KickstarterはMakerと、プロジェクトに他人を引き込みたいと考える人たちの集まりなので、私たちにとって最適のプラットフォームです。

MR:Piperは成功すると思いますか?

MP:これを子どもたちに与えれば、すぐわかりますよ。作ったものをみんなと分かち合えるプラットフォームができます。それを使って子どもたちが何かを、私たちには思いつかないようなものを作っているところを見ると、大成功すると確信できます。

Piperに関する詳細は http://build.withpiper.com/ をどうぞ。

原文