Fabrication

2015.04.21

塩ビパイプで6メートルの実用ジオデシックドームを作る

Text by Eric SchimelpfenigTranslated by kanai

Pic 27 (final dome)
びっくりするほど安く、めちゃくちゃ頑丈な構造物を150本の塩ビパイプで簡単に作る。

自分のシェルターを作るというのは、いつだって魅力的なアイデアだが、ごく普通の工作好き人間は、どこから始めたらいいのだろうか?

もっとも費用対効果が高い構造物は、塩ビパイプで作るジオデシックドームだろう。頑丈ながらポータブルなシェルターで、1日で組み立てが可能だ。

2014年にニューヨークで開かれたMaker Faireでは、私はSketchupチームとそれを作って見せた。なぜか? 簡単で楽しく組み立てられて、それでいて見栄えがよく、特別な工具を使わずに誰にでも作れるものが欲しかったからだ。ずいぶん大変そうに見えるが、実際は土曜日の午後にガレージで準備することができる。

ここでは、その作り方と、Sketchupで簡単にデザインして、いろいろなサイズで作る方法をお教えしよう。

まずは、Maker Faireで作ったドームと、下のビデオを見てほしい。

ジオデシックドームの歴史

まず、はっきりさせておこう。ジオドームは私たちが発明したわけではない。バックミンスター(バッキー)・フラーが発明したものだ。ここで、Buckminster Fuller Instituteを参考に、彼について学んでおこう。

Pic 4 (Buckminster Fuller)

1895年、マサチューセッツ州ミルトンに生まれたR. バックミンスター・フラーは20世紀の発明家、ビジョナリーとして知られている。フラーは、世界がすべての人のために動くよう生涯を捧げ、自らのアイデアを「アーティファクト」と呼ぶ発明品で表現する実用的哲学者として活躍した。

フラーの活動は一分野にのみ限られるものではなく、住居、シェルター、輸送、教育、エネルギー、エコロジカルな破壊、貧困など、世界のさまざまな問題を解決する「総合予測デザイン学者」として働いた。その生涯で、フラーは28件の特許をとり、28冊の本を書き、47の名誉学位を取得した。彼のもっとも有名なアーティファクトはジオデシックドームで、彼はそれを世界で30万回以上も作っている。しかし、彼が今日の世界に与えた本当のインパクトは、この世界をより持続性のあるものにしようと頑張る、数世代にわたるデザイナー、建築家、科学者、アーティストへの変わらぬ影響力だ。

ジオデシックドームの種類

ジオデシックドームはどこまでも細かくでき、しかも非常にシンプルなものだ。細かさのレベルは、テッセレーションと呼ばれる。テッセレーションが細かいほど、スムーズな形状になる。

よく作られるドームは、3Vから6Vドームだ。3Vドームとは、3種類の長さの支柱を使うもので、支柱を短くして数を増やすことで、より滑らかなドームができる。

ドームを滑らかにしたければ、支柱とハブの数を増やすというわけだ。下の図(SonostarHub.comより)は、各テッセレーションごとのドームの片側の支柱の配置を示したものだ。

3V Dome
3Vドーム

4V Dome
4Vドーム

5V Dome
5Vドーム

6V Dome
6Vドーム

最初に決めなければならないのは、ドームのサイズだ。Maker Faireでは、使用できるスペースが限られていた。

SketchUpを使えば、ごく簡単にドームを視覚化できるので、決められたスペース内に、どれくらいのドームが収まるかを確かめることができる。ドームを簡単に設計するために、私たちはダイナミックコンポーネントを作った。自動的にドームが描きあげられるというものだ。私たちの設定では、ドームの直径を入力すると、ドームのテッセレーションに応じてどれだけの支柱が必要かが自動的に計算される。

フリーのSketchupソフトウェア上で、私たちのドームのモデルを読み込んでほしい。

モデルをダウンロードしたら、それを右クリック(Macならコントロール+クリック)して、“Dynamic Components”を選択し、“Options”を選択する。

すると、下の図のようなメニューが表示されるので、そこでドームの直径を調整できる。メニュー下の“Apply”をクリックすると、ドームは設定どおりの形に描き変えられる。同時にパーツリストも示される(パーツリストについては後述する)。

Pic 9 (screenshot)

私たちは、このモデルを使うことにした。いろいろ話し合った結果、現地には、下の写真のとおり、2つのドームをつなげたものを製作した。

Pic 10 Pic 11

私たちが建てたモデルをダウンロードして、SketchUpで確認してほしい。

パーツリストをまとめる

ジオデシックドームは、さまざまな材料で作ることができる。爪楊枝を使って机の上に作ることもできれば、鉄骨を使って巨大なものを建造することも可能だ。何で作るにせよ、必要なハブの数と支柱の長さを割り出さなければならない。

ここはキッチリやっておかないといけない。大量の、そして高価な、使えない塩ビパイプの山を作ってしまうからだ。

そこで、支柱の計算に使用される理論について、ちょっと説明させてほしい。そのあとで、よい計算方法を解説したい。

Pic 12

UCバークレーのこの資料では、非常に詳しくジオデシックドームの数学的な理論が語られている。そこには、メッシュドームのための公式が載っていて、各支柱の長さがわかるようになっている。

ここから始めるのがいい。しかし、市販の、あるいは自作のハブを使うのなら、その分の長さを支柱から差し引く必要がある。

差し引くハブの長さがわかったら、ダイナミックコンポーネントに入力する。私たちは、SonoStarHub.comからハブを購入したのだが、彼らのサイトに独自の計算方法が説明されている。それが非常によくできている。

適切なハブを入手する

Pic 13 (PVC in truck)

ハブは支柱どうしをつなげて構造体を作るために必要なものだ。どこの店でも売られているというものではない。私たちは自作する方法をいろいろ調べてみた(無数にある)。しかし、結局は、SonoStarHub.comから買うことに決めた。時間の節約になるし、展示する際の安全性も確保されるからだ。SonoStarHub.comは、ハブばかりでなく、ボルトや完全なキットも販売している。

私たちが選んだハブは、1.5インチのSch40塩ビ管用のものだ。このサイズの塩ビ管はどのホームセンターでも売られている。サイズは内径を示している。外形は1.9インチだ。Home Depotの塩ビ管リストを参考にしてほしい。

私たちのドームには、15個のベースハブ(4又のもの)と、65個の5又、55個の6又のハブが使われている。

SAMSUNG CSC

支柱を作る

Pic 15 (saw)

ドームの直径が決まり、パイプの本数と長さがわかったら、パイプの切断にかかろう。私は、ホームセンターの相談カウンターで、3メートルの塩ビ管150本を注文して店員をびっくりさせたのはよかったが、そのあと、どうやってすべての支柱を正確なサイズに切断するかを考えなければならなかった。

通常は印をつけてマイターソーで切るところだが、これだけの量を考えると効率的ではない。これには、ストッパー付きのマイターソースタンドが必要だ。それなら、何本でも同じ長さに切れる。かなりしっかりとしたストッパーのついたものを選ぶことが肝心だ。

私が最初に買ったスタンドは、そうではなかった。なので、それを返品して、多少乱暴に扱ってもストッパーがずれないものに交換した。あとは、ストッパーと刃の間の長さをきっちり決めて、切り始めるだけだ。

Pic 16 (PVC on bench)

塩ビ管の山ができるはずだ。上の写真は、これでもドームひとつ分だ。次は、ハブを取り付けるためのボルトの穴を管の端に開ける。両方の側の穴の向きをきっちり揃えること。

それには、塩ビ管をストッパーに押し当てて、最初の穴を開けたら、管をひっくり返す。左側に打ったネジを穴に通せば、右側にも向きをまっすぐに揃えて穴が開けられるという具合だ。

Pic 17 (work bench)

左側にネジが打ってある。ドリルの右側の角材がストッパー。

ドームを組み立てる

パイプを山のように切断し、ラベルを貼ったら、さあお楽しみの始まりだ。組み立てよう。

Maker Faireの会場で組み立てる前に、私は、ひとりの友人に手伝ってもらって、彼女の家の庭で組み立ててみることにした。2人だったが、脚立を使って数時間で6メートルのドームを組み立てることができた。

ではここで、組み立て方を解説しよう。この記事の終わりに、すべてのモデルの組み立て方の順番など、もっと詳しい作り方の解説へのリンクがあるので、そちらも見てほしい。

Pic 18 (base ring)

最初のステップは、ベースとなる円形に管を並べて、4又ハブを使ってボルトでつなぐ。地面が完全に平らでなくても、気にすることはない。大きなくぼみなどがあるときは、木材や余った管などを差し込んでドームを支える(臨時措置)。

ベースの円形ができたら、次に五角形を作る。全部で6つある。完全に組み立てたら、近くに置いておこう。

Pic 19

次に、ベースの円形のハブにパイプを立て、その頂点の2つおきに6又ハブを取り付ける。

Pic 20Pic 21

ここで五角形を取り付ける。ハブを取り付けていない2本の赤い管の上に接続する。かならず、接続するごとにボルト留めしていくこと。

Pic 22Pic 23

五角形と五角形の間も管でつないでいく。

Pic 24

最後の五角形を頂上に取り付け、その瞬間を味わう。

Pic 25

すべて組み上がると、6又ハブでつながれている6本の支柱(赤)を取り除いて入り口を作ることができる。ドームを移動させたり回転させたいときは、とても軽くできているので6人も人手があれば簡単だ。

Pic 26

以上が塩ビ管のジオデシックドームの作り方だ。

非常に頑丈で、作る甲斐のある楽しい建造物だ。ここに完全な作り方の資料があるのでダウンロードして見てほしい。プリント可能なアセンブリーのドキュメント、3Dモデル、写真、ビデオも含まれている。

もっといい作り方を知っているという方がいたら、ぜひ GitHubに投稿してほしい。

原文