バーやレストランには、飲み物のグラスを置く使い捨てのコースターを出してくれるところがある。店のロゴやちょっとした絵が描かれた楽しいものもよく見るが、それが自分でも簡単に作れたとしたら、面白いと思わないか? 手描きのコースターのことを言ってるのではない。Barton Dringが開発したCNCコースターマシンの話だ。
コースターカッター「Coasty」
Grblを使ったレーザーカットを学ぶために、また、何かしら面白いものを披露するために、毎月のハードウェアミートアップに参加していたDringは、レーザーでエッチングやカットを行うコースター用のマシンを作ろうと考えた。バックパックに入る大きさで、バッテリーかUSBで駆動できるもので、その目的は「バーの連中をビックリさせること」だ。
彼が考案したデバイスは、3Dプリントしたケースの中に2軸のモーションコントローラーが組み込まれていて、四角いコースターを入れると小さなレーザーが好きな模様を切り抜いてくれるというものだ。X軸は、一般的なオーバーヘッドガントリーの上を行ったり来たりする。Y軸は、ステッパーコントロール式のローラーで制御されている。マシンの側面にあるスロットにコースターを入れるだけで、きれいに模様が切り抜かれて出てくる仕組みだ。
最初のバージョンでは、レーザーが外に漏れないように、装置は完全にケースの中に隠されていた。だが、それでは焼き付けの工程を見ることができない。そこで、次のバージョンでは窓が付けられた(上の動画)。Dringは現在、このデザインのテストを行ってるが、やがてはソースファイルを公開し、うまくいけばキットの販売も行うという。
Dringはこう説明している。
コースター1枚を作るのに数分かかるが、たいていは2分以内に終わる。最適な時間だ。これはなんだと聞かれたとき、私はコースターをこれに入れ、作業を始めさせ、何をしているのかを説明する。ちょうど説明が終わるころ、コースターが出来上がって出てくる。同じ程度の模様なら、エッチングも同じぐらいか、短い時間で終わる。
コースターメーカー「Polar」
Coastyは四角いコースター専用だ。では、吸水性の丸いコースターしか置いてない店では、どうしたらいいのか? Dringはそこもちゃんと考えている。その答えがPolar Coasterだ。
このマシンには円形のベッドがあり、156歯のプーリーが備わっている。このベッドにコースターを載せ、6つのタブで固定する。これが、ステッパーモーターとベルトでつながっていて、回転する仕組みになっている。
カンチレバー式のアームがベッドの上にあり、別のステッパーモーターとプーリーによって移動する。3Dプリントした部品にマーカーを固定する(こちらはレーザーではなくマーカーペンを使う)。サーボモーターがペンの上下運動(Z軸)を担当する。コースターの表面はでこぼこしているため、ペンはバネを使ったメカニズムによって、上下のブレを吸収できるようになっている。
目に悪い装置を使っていないので、こちらには装置を覆うケースがない。動いている様子をよく見ることもできるし、メンテナンスも楽だ。
この2つのマシンを作った理由をDringはこう説明している。
人が集まる場所で話題を提供するような、すごく小さなマシンを作りたかった。だからそれは、ポータブルで、バッテリーで駆動する必要があった。それに私は、プロジェクトごとに、何か新しいことを学ばないと気が済まない性格なのだ。
彼はその結果に大変に満足している。上に示したリンクから、Polar Coasterのデザインファイルが手に入る。レーザーカッターのほうは、もう少しレーザー部分を改良してからソースファイルを公開して、さらにキットを販売するかどうかを考えるという。それまでは、これを手本にして、超小型CNCマシンプロジェクトを自分で考えてほしい。
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