2015.06.12
Kickstarterから協調へ:都会の自転車屋が目指す次のレベル
Revolights共同創設者でCEOのKent Frankovich
アーバン・バイキング — おもに通勤に使われるだろうが、その他、ただ乗り回すだけでも都市の中を自転車で走ることをそう呼ぶ。その数はどんどん増えているが、まだちょっと怖かったり、不便だったり、不快だったりする。
自転車の伝道師は大勢いて(たぶん私もそのひとり)、自転車に乗るとよいことのリストをせっせと作っている。また、いろいろな製品を作るMakerのコミュニティがあり、自転車の敷居を少しだけ低くしてくれている。そして彼らは、それを行いながら、クラウドファンディングで作った製品を自転車に乗りたいと願っている人たちに届ける方法を探りつつ、製品を改良して出荷している。このチャレンジは、自転車製品だけに限ったことではない。ハードウェア系スタートアップ、とくに、クラウドファンディングで資金を得た後の企業に共通している。
話を自転車に戻そう。クラウドファンディングには、あるいは、クラウドファンディングで募金が目標に達するのを待っている製品が無数にあり、小さなハードウェア革命を起こそうとしている。優れたデザイン、新しい素材、新しいテクノロジーによって、自転車はより安全で、便利で、簡単に使えるものになっている。照明、ロック、ヘルメット、ウェア、そして自転車自体も、Kickstarterで成功を、ときには大成功を収めている。
「通勤(通学)に自転車を使ってほしいのです」と語るのは、RevolightsのCEOで創設者のKent Frankovich。「みんなに自転車に乗ってほしいんです」
Revolightsは、このトレンドの中心的な役割を果たしている。この会社は、Kickstarterで資金を得たスタートアップで、自転車のリムに装着して前後を照らすリング状のLEDライトを作っている。道路、自動車、後ろや横も照らすことができる。Frankovichによれば、RevolightsはKickstarterで開業資金を得た同じ志を持つ自転車スタートアップの小さなコミュニティーで、業界標準になったと言う。今は、その次に何をするかを考えている。
「私たちはみな同じゴールに向かっていますが、みんなそれぞれ違うことをしています」とFrankovich。「だから、みんなが泳いでいられる大きなプールの中に入るような感じです」
RevolightsのKickstarter同窓生には、ヘルメットと照明を組み合わせたTorch、非常に美しいデザインの鉄と真鍮で作られたベルのSpurcycle、車輪にマウントする発電機、Atomなどたくさんある。その一部はRevolightsが監督するショップに置かれている。電子関係の相談にくる業者もある。または多くの業者といっしょに、高価なInterbike(自転車の見本市)のブースを借りて目立つ場所に製品を展示したりしている。多くの業者がサンフランシスコに集中しているので、よく集まっては新しい挑戦について話し合っている。
Spurcycleを経営するNickとClintのSlone兄弟は、同じような考えを持つ自転車業者と協同で販売契約をしている。彼らはソーシャルメディアとコラボして、協同で写真撮影をしたりもしている。同業者と同じギアを着たりもしている。「どれだけ小さい予算で大きなインパクトを与えるかです。インキュベーターの指導は、こうしたゆっくり成長する計画にはそぐわないんです」とNickは語る。だから、TorchやRevolightsといった仲間との会話に頼るのだ。
「すでにそこを経験した人間のいるショップで話をするのは楽しい。ひとつのアイデアを大量生産に持って行こうと頑張った時期を笑って話せるからです。イベントを企画したり互いのブランドを広め合ったりするというシンプルなアイデアの時期を通り抜けて、私たちは、マーケティング戦略、小売り契約、投資家を比較して話ができるようになりました」とTorchの創設者、Nathan Willsは言う。FrankovichはTorchのデザインを手伝った。
多くのハードウェアスタートアップが直面している「Kickstarterの後の人生」問題を考えることは創造的な作業だ。Revolightsは、新参企業にも適用できる新しい大量販売の実例を見せていると言えるだろう。彼らは製品を作り、寄付者に出荷している。900セットすべてをだ。これは21万5000ドル相当の商売だ。彼らは新バージョンを開発し、さらに Kickstarterキャンペーンを行う。成功もあれば失敗もある。Mission Bicyclesとコラボして、Revolightsを最初から取り付けた自転車もそのひとつだ。Frankovichは医療品開発の仕事をやめて、カリフォルニア州エマリービルのスペースに引っ越してきた。彼らは銀行でローンを組み、シリーズAの投資も受けた。そして、REIとの完全な販売契約を結んだ。さらにShark Tank(訳注:アメリカ版の『マネーの虎』)に出演し、目標の2倍の資金を獲得した。
それ以前、Frankovichは面白いアイデアを思いつき、需要があると気がついた多くのMakerたちと同じ道を歩んでいた。ヘルメットに付けた照明に満足できず、もっと地面に近いところで、視線とは異なる角度で道を照らすことで凹凸を認識しやすくなる照明はできないものかと知恵を絞った。そこで、スポークにLEDを仕込むことを考えた。ブラケットをレーザーカットして設置した。ハブに取り付けてバッテリーや光らせる場所をコントロールする電子回路を収めるケースも作った(ホール効果センサーが前を向いている LED だけを点灯させる役割を果たしている)。
新しいバージョンでは、LEDはプラスティックのリングに埋め込まれ。車輪の両側に取り付けられるようになっている。ATmegaチップが光をコントロールする。リアのライトは速度が遅くなると点滅する。
このごろはインフラも整備されてきた。自転車専用レーン、オフィスのシャワー、自転車持ち込みオーケーの電車など。自転車通勤がしやすくなってきたとFrankovichは言う。業界には、古参もスタートアップも含め、まだやるべきことがある。「みんなで悪いところを見つけて声を上げることにかかっている」と彼は言う。
「問題の形を変えるのではなく、解決策をデザインすることが楽しい。サイクリングコミュニティの人々は、みんないい人です」とWillsは言う。「Torchをはじめとするクラウドファンディングで起業した業者の透明性に対する評価は高いはずです」
Revolights – Life After Crowdfunding from Revolights on Vimeo.
[原文]