2011.09.16
Zero to Maker(ゼロからのMaker):外からの意見を聞くことの大切さ
これから1カ月ちょっとの間、ちょっとヤル気のなかったMaker、 David LangがMakerカルチャーに身を沈め、我らの仲間、TechShopの寛大なるご協力のもと、できる限りのDIYスキルを習得していく様子をレポートします。彼は、何を学んだか、誰に会ったか、どんなハードルをクリアしたか(またはしなかったか)など、奮闘努力の過程を定期的に報告します。きっと面白いものになるよ。 – Gareth
で、これで動くかな?」と私は、少し心配そうな顔で(しかし好奇心と期待を込めて)尋ねた。
「難しいね」とZack。「でも、私たちでなんとかうまい方法を見つけられると思うよ。それに、これはすごくいい勉強になるはずだよ。こう考えてみたらどうだろう……」
こうして、私が指名した TechShopの「ドリームコーチ」Zack Johnsonとの会話が始まった。私がずぶの素人であることをまず説明してから、OpenROVプロジェクトの目標と、9月17日にニューヨーク市で開かれるWorld Maker Faireに、爆弾投下装置を披露したいことを伝えた。Zackは電気工学が専門だが、TechShopのドリームコーチはみな、そこにある工具の使い方に精通している。彼にわからないことがあっても、それに詳しい他のドリームコーチを紹介してもらえる。今まで、OpenROVは私の友人、Eric Stackpoleによる独創的な発明だったのだが、機械工学専門の彼には限界があった。加えて、何ひとつ技術的専門知識がない私は、ひとつもプロジェクトの力になれずにいた。思い通りの動作するプロトタイプの前に立ちはだかる壁を越えるには、外部の知識と、私の勉強が必要だった。Zackは私たちの2つのチャレンジを理解してくれて、いっしょになってプランを考えてくれた。
この初会合で、私は彼に、このプロジェクトの目標と、技術的問題点(私が理解できる範囲で)、そして私が学ぶべきだと自分で考えた事柄について話した。彼の助言は、まさに私が求めていたものだった。Zackは、何をすればよいかを教えるだけでなく、なぜそうするのか、そして、そこから学びとることが、プロジェクトを完成させることと同じぐらい重要であると教えてくれた。私たちは、やるべきことを大きく2つのカテゴリーに分けた。「クラス」と「ワークフロー」だ。クラスは、私が作業についていけるようにする学習時間だ。ワークフローは、OpenROVのプロトタイプをMaker Faireまでに完成させるためのスケジュールだ。私が受けるクラスには、レーザーカット、電子工作、CNC(これが何なのかすら私は知らなかった)、Autodeskのソフトウェア、Arduino、シリコン型製作などだ。彼は、金属のフレームを作ることになったときのために、溶接クラスも受けておくようにと助言してくれた。これらのクラスを受講することに、私は大変に興奮したが、ワークフローによって自信も得られた。これが私にいちばん欠けていたものだ。ZackはEricから直接説明を聞いたわけではなかったのだが、チャレンジに立ち向かうための彼の秩序だった思考プロセスは、とても参考になった。以前、弁護士からこんな話を聞いたことがあった。法律専門学校のいちばんの目的は、弁護士的な考え方を身につけさせることだと。事前情報がほとんどない問題に取り組むためのプロセスをZackから聞かされたとき、技術者にも同じことが言えるのだなと私は思った。
Zackの細かい話はほとんど理解できなかったが、彼のやり方とEricのやり方には、少しだけ違いがあることはわかった。ここは、3人で会って話す機会を作るのがベストだと考えた。
1週間後、私たちは時間を工面して集まることができた。私はまず、この会合の目的を説明し、EricとZackの問題解決の作戦に少々違いがあることを説明した。その後は、私は椅子の背にもたれかかり、2人がすぐさま高揚してワケのわからない専門用語を応酬する様を眺めていた。それでも、話の流れはなんとなくわかった。彼らは「ああ、そうか。それはいい考えだ。私の案よりもそっちのほうがいいね」といった言葉が双方からしきりに飛び出した。私はまた、ときどき彼らの話を止めて、難しい専門用語を門外漢にもわかる言葉に置き換えるという重要な役割も果たした。これは、とてもいい頭の体操になった。この会合は大変に実りあるものとなった。そんなこんなで、私たち3人は、Maker FaireまでにOpenROV 2.0のプロトタイプを完成させられると、確信を持つことができた。
次回は『Zero to Maker:レーザーカッターを習う』です。
これまでの話はこちら:Zero to Makerの旅
– David Lang
[原文]