2013.09.25
計画的陳腐化をくつがえすFixers Collective
偶像破壊的エコノミスト、Herman Dalyは、「定常状態の経済」という用語の普及させた。この考え方は、多くのMakerが、意識するしないに関わらず受け入れているものだ。詳しくはここで読めるが、要は、新しいインプットや材料がなくとも回り続ける自然と同じ、閉じたループのシステムだ。自然は、それが依存する天然資源を使いすぎないよう、成長しない定常状態を保っている。修理、再利用、リサイクルによって、そうしたシステムが成り立つ。
もちろん、私たちはその反対のシステムの中に住んでいる。新しい材料で新しいものを作り、去年のモデルと入れ替えて、壊れたり流行遅れになったものは捨てている。このモデルでは、「計画的陳腐化」という手法が使われている。人に新しいものを買わせるための優れた手法だが、地球にとっては困ったことだ(Great Pacific Garbage Patch、landfill leachate、climate changeを参照)。
しかし、前にも述べたように、Makerたちは、壊れたものを直したり再利用することの美徳を知っている。私が好きな実例に、つつましやかなFixers Collectiveがある。彼らは、自分たちのことを「即興的修理改良を奨励して計画的陳腐化と戦う継続的社会実験」と称している。ニューヨークで活動している彼らは、壊れた家電製品や電子製品を修理して、それらに第二の人生を与えている。これは、2008年にアートプロジェクトとして始まったのだが、参加者たちが、みんなでものを直したり教え合ったりすることの楽しさに目覚めたことで、ずっと継続している。
Fixers Collectiveは、Maker Faire New Yorkに出展する予定だ。彼らは参加者に壊れた家電品を持ち寄ってもらい、会場でその直し方を教えるという。しかし、会場まで壊れた家電品を引きずってくる人は少ないだろうと考えたVincentは、いくつか家電品を用意しておき、会場に来た人たちに分解してその構造を見てもらうようにもすることにした。
このプログラムの責任者、Vincent Laiは、再利用や修理のほうが、リサイクルよりもよいことが多いと話している。廃棄を回避できるリサイクル素材は、全体の40から60パーセントにすぎないからだ。それに加えて、参加者が修理方法を習得して、壊れたランプを直し、チェーンを引いて点灯させたときの「やった」という瞬間を見るのが楽しいと彼は言う。
定常状態の経済をまだ受け入れる準備ができていないにしても、壊れたトースターやランプを自宅で、自分で直せるということを知れば、力が湧くだろう。Fixers Collectiveはそれを教えてくれる。Fixers Collectiveはニューヨークの団体だが、全米に同じようなグループが存在する。マップを見てほしい。
– Stett Holbrook
[原文]