Electronics

2009.07.27

デスクトップ産業革命

Text by kanai

Fast CompanyにThe Desktop Manufacturing Revolution(Jamais Cascio)という面白い記事が載った。- 現在の製造-産業経済モデルが終わりに近づいている。しかし、それに代わるものがないとしたら、どうなるのだろう?

クレイ・シャーキーは、先頃、こんな発言をしている。「……古い物は、次に代わる新しい物が現れる前に崩壊してしまう」彼は新聞のことを指していたのだが、この言葉が暗示する意味は、もっと多くのことに当てはまる。たとえば、広告は自らを改革して生き延びようとしているかのようだが、既存のモデルがボロボロになっていく一方で、今すぐそれを引き継ぐ新しい形が明確に見えていない。教育もまたしかり。これと似たようなことは、権力と政治が支配する世界中の国々で起きていると指摘する人もいるだろう。
先月、ReBootカンファレンスを締めくくったブルース・スターリングの基調講演を聞いたとき、私はそんなシャーキーの見解を思い出した。講演の後半、スターリングはこんな言葉を投げかけた。「オブジェクトはプリントアウトだ」 このあと彼は、どんどん不安定になっていく世の中で、物質を所有することとの関わりを、どう考え直すべきかを論じていったのだが、「オブジェクトはプリントアウトだ」という一句が非常に印象に残った。これは単に物質所有の習慣を言い表しているだけでなく、次世代の経済のひとつの形を、じつに簡潔に表現した言葉だと感じたからだ。

この記事も、ブルース・スターリングの講演も、読んで聞く価値あり。
– Phillip Torrone
訳者から:ブルース・スターリングの講演の内容は、ざっとこんな感じ。20世紀型の節約生活は “死んだフリ” と同じこと。生きている間は、生きている人間にしかできないことをするべきだ。それは、お金を使うこと。「物質はプリントアウトと同じ」とは、これからの “所有感” を示した言葉だ。製品とは、いろいろな人の手を経て作り上げられたもので、多くの人間の関わり合いが物質化したものと言える。大切なのは、関わり合いのほうで、その結果ではない、という考えだ。だから、物もお金もどんどん流通させるのがよい。倹約は世の中のタメにならない。ある程度お金を持っている人間なら、不要品を売り払って、そのお金で本当にいいものを買うべきだ。高級なベッドや、すごく気持ちのいい椅子を買おう。という内容。物を直して使うというDIY的な思想は否定されているんだけど、説得力あるなー。
この記事のタイトルは、Fast Companyに掲載されたコラムのタイトル。こっちは主に3Dプリンターの出現で製造業やマスマーケットが大きく変化するカモという話だ。だから、ブルース・スターリングの話とはちょいと違う。単なる「プリントアウト」繋がりって感じ。
原文