SpikenzieLabsは、彼らの製品Wrap it Up boxの最高に笑えるビデオを公開した。彼らはほかにも、PovardやVoiceShieldなどの楽しいキットを販売している。私は、これらのキットを作った人たちに会いたいと、ずっと願っていたのだが、ついに今年のMaker FaireでMarkとAndyに会うことができた。素晴らしい連中だった。彼らのMakerビジネス物語をどうぞ。
まずは、MarkとAndy自身のことを聞かせてください。あなたたちは何者で、どんな生い立ちで、何がきっかけで物作りを始めたのか。
Mark:私たちは90年代に同じコンピューターショップで働いていた同士の2人組です。数年後、いっしょにベンチャーを立ち上げ、それからずーっと長い間、2人でIT産業に身を置いています。
Andy:物心ついたときから、私は物を分解して中の構造を調べようとしていましたね。子供ながらに、アマチュア無線のオークションに出かけては、あれやこれやを競り落として、何カ月もかけて分解したもんです。あちこちのモーターを焼き切らせて、家のフューズを飛ばして、ネジ回しをいつだって左に回してはエレクトロニクスとご対面していました。
Mark:私の場合、物作りは私が始めたものではありません。私の家族が、いつも何かを作っていたのです。物作りに関して、もっとも大きな影響を受けたのは父ですね。父はなんでも自分で作りました。家具や木の彫刻や、私が「弾」と呼んでいたものまで。父は昔の火縄銃を持っていたのです。その弾丸を、鉛を溶かして型に入れて、自分で作っていました。その弾を、缶入りの火薬と銃に詰めていました。今どき、そんなことをしている人は、ほとんどいないでしょ。もう一人、強い影響を受けたのは、私のベビーシッターの夫であったハンフリーズさんです。第二次世界大戦の退役軍人で、元技術者です。彼は私に、あらゆる分野の技術的な助言をくれました。
SpikenzieLabs 設立のきっかけは? ビジネスを立ち上げるにあたって、もっとも大きな障害は何でしたか?
Andy:SpikenzieLabsはいい会社です。名前もオリジナルだし。その質問に答える前に、もっとよく聞かれる質問に答えさせてください。我々の名前の由来です。Markは高校時代、尖った髪型をしていました。だからみんなから「スパイク」と呼ばれていた。名前は尖ってるけど、すごくマイペースなやつです。店では、金曜日の夕方、みんなで「Metal of Honor」というネットワークゲームで遊ぶのが流行っていて、Markも連合国チームに入ってプレイしていました。彼のキャラクター名は、長年のニックネームである「スパイク」です。そのうち参加プレイヤーが増えて、敵味方のバランスをとるために、Markは枢軸国側にまわることになったのですが、ゲームの舞台はほとんどが第二次世界大戦中のドイツだったので、スパイクを「スピケンジー」と、なんとなくドイツ語っぽい “Sprechen Sie Deutsch?” みたいな響きの名前に変えたんです。そうして、新しくてユニークなニックネームが生まれたというわけです。
Andy:SpikenzieLabsは、Markが自分のアイデアをみんなと分かち合いたいという願いから始まりました。彼はいつでも、インターネットで提供されているさまざまな貴重な情報を、心から有り難いと感謝していました。そこで思ったんです。彼のプロジェクトも、みんなにとって貴重な情報だと。そしてSpikenzieLabsのウェブページを立ち上げました。SpikenzieLabsのプロジェクトのページを公開すると、このプロジェクトはどこで買えるのかという問い合わせのメールがどんどん来るようになって、そこでキットビジネスを始めようと思うようになったんです。
Mark:しばらくすると、SpikenzieLabsにとられる時間がどんどん長くなって、Andyに助けを求めるようになりました。
Andy:我々は、SpikenzieLabsのことを「ホビジネス」と呼んでいます。ホビーから発展したビジネスという意味です。その当時、昼間はまだIT関係の仕事をしていたのですが、キットの箱詰めや部品の注文やキットの発送などに昼間の時間が費やされるようになっていきました。魔法が起きるのは夜です。Markは夕方になるとEagle CadやMicrochips MPLabに没頭していました。
Mark:我々のビジネスのスタイルは、ゆっくりとした成長です。自己資金で運営できるようにです。借り入れをすれば、リスクもコストも高くなります。障害はと言えば、それほど多くはありませんでした。たぶん、このビジネスでもっともイライラさせられる点は、海外の業者との取り引きです。言葉の壁も大きいし、約束どおりに荷物が届かないこともしばしばです。
自作のものも含めて、かなりクールな道具を使っていますね。お気に入りのツールは?
Andy:私たちの自慢はEpilog Laser Cutterです。普段は工房の隅で眠っている巨獣ですが、ひとたびスイッチを入れるとブンブン言いながら切ったり彫ったりしてくれます。動いているときは、めちゃくちゃやかましいです。でも、SpikenzieLabsのいちばんすごいところは、Markの地下室にあります。完全な木工と金属加工の設備に、電子工作用作業台があります。さらに、分解したジャンクが信じられないぐらい山積みにされています。このジャンクが、プロトタイプを即興的に組み上げたり、市販品を探すのが難しいバネやスイッチなどを調達できて便利なんです。彼のジャンクの山は、「ゴミ屋敷」と「すっげー宝の山!」の間の微妙なバランスを保っています。
Makerビジネスは、将来どうなると考えますか?
Makerビジネスは急成長しています。Arduinoをはじめとするプラットフォームが「何かをする」ための間口を大きく広げる要因になっていますね。ほんの数年前まで、それをやろうと思ったら「天才」になるか、山ほどの情報や知識を必要としましたが、今は35ドルのArduinoで何でもアリです。
より多くの人がMakerになりますよ。電子キットの分野だけでなく、あらゆる分野でね。サンマテオのMaker Faireでは、この目で実際に見て感じてきました。そこには、あらゆる分野のMakerが集まっていました。ワンオフのものを作る人もあれば、我々のようにキットビジネスに繋げた人もいます。自分で物を作ることを大切に思ってきた人が、その報酬を得られる方向に確実に向かっています。SpikenzieLabsとしては、キットを応用してクールな電子プロジェクトを作りたいと考えている人たちの手助けなればと願っています。Drum Kit-KitやVoiceShieldなどのキットは、より大きなプロジェクトの素材として使えます。
我々は、問題の解決法やコンサルティングの相談を、しょっちゅう持ちかけられています。何週間もぶっ通しでカップの中にコンデンサーを分け入れるといった作業は、キットビジネスでもっとも退屈な部分です。一方、新しいキットの開発、新しいアイデアや発明の創造、みなさんのプロジェクトに関する相談に乗ることが、今は最高に楽しいですね。
Maker Shedより
Voice Shield kit for Arduino
Prototino ATMega328 kit
Povard – POV kit
– John Park
訳者から:AndyとMarkのどちらが話しているか、原文では最初の2段落にしか指定がなく、あとは訳者が推測して段落の頭に名前を付けていますが、どちらかわからないものには名前を付けていません。すいません。ところで、WRAP IT UP Boxは、アメリカのコメディアン、デイブ・シャペルのコント番組「Chapelle’s Show」のウソコマーシャルに登場するウソ製品。話の長い人に「巻きでお願いします」と伝えるための道具なんだけど、それをホントに作っちゃったというわけ。
[原文]