Crafts

2013.10.04

私の初めての記念すべき失敗はMaker Faire New York

Text by kanai

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私は今、ここニューヨークで、列になってブースを設置し、ガジェットやクラフトを並べるMakerたちを見ているのだが、突然、2010年の私が初めて参加したMaker Faireのことを思い出した。あれは最初からドツボだった。

私はニューヨーク大学のITP大学院で開かれたMaker Faireのミーティングに参加した。Arduinoの共同開発者(で、その後私の教授となる)Tom Igoeが、ある課題を提示した。フラッシング・メドウズ・パークのクロームのユニスフィア(1964年の世界博覧会で作られた)が、New York Maker Faireの会場となるNew York Hall of Scienceのすぐ隣に建っている。彼はそのユニスフィアを話題に取りあげて、「あれをハックしろ!」と言ったのだ。私はチャレンジが大好きな人間なので、彼の提言を絶対の命令と受け取った。

Maker Faireの会場とユニスフィアとの距離は、ユニスフィアの縮尺で、だいたい地球と月の距離に相当することがわかった。そこで私は、これからクラスメイトになる仲間を集め、段ボールを使って直径8.4メートルの月球儀を作ることを決めた。それはボロボロの作業だったのだが、なんかしらの教訓があり、何より最高に楽しかった。

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私は、速乾性の紙用接着剤を40リットルほど買いに、ニュージャージーへ車を走らせた。そこで、業務用グルーガンについて学んだ。接着剤とそのほかの材料をMaker Faire会場に運び込むと、再び車に飛び乗り、夕暮れのクイーンズへ向かい、段ボールを拾い集めた。あちこちの歩道やスーパーの駐車場をあさって、山のように材料を溜め込むことができた。ひとつ計算外だったのは、段ボールは何枚も重ねたところで強度がないということだった。

我々が作った円形の部材は、まるで伸びたパスタだった。2Dではよく出来たが、その先はハシゴとたくさんの人手が必要だった。ビデオまでも失敗してしまった。エンコードした上のビデオでは、私の声はリスがピーピー騒いでいるように聞こえる。聞き取れない人のために書き出しておこう。

あっちのシティフィールドの横にあるユニスフィアを地球の大きさとすると、これが月の大きさだ。実際の距離はこの2倍になる。この会場の反対側の端ぐらいだ。アポロ宇宙船に乗るとしたら、大きさは針の先よりも小さくなる。速度は1秒間に2.5センチだ。それは時速4万キロに相当する。これがムーニスフィアだ。僕たちが出した結果だ。鍵は、作った物にではなく、そのプロセスにある。旅は目的地に達した。ボクたちは到達したんだ。

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あれから3年、今日、私は戻ってきた。Makerとして、さらにMAKEのスタッフとしてだ。ムーニスフィアを一緒に作った友だちやクラスメイトは、みなすごいことをやっている。なかでも
Eric HaganはITPの非常勤教授としてMaker Faireでスピーチを行う予定になっている。それに我々は、大の仲良しになった。

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今日、あのムーニスフィアを作った場所を歩いてみて、どれだけ驚いたか想像してほしい。そこには巨大な半球形の構造物が建っていた。大きさも負けてない。これはCircus Warehouseという会社が建てたものだ。この枠の中で、子供たちに空を飛ぶ訓練をするのだという。

あの忌まわしいムーニスフィア建設の苦労は、空を飛ぼうとする試みだったのだと思いたい(顔から地面に叩き付けられはしたが)。あれから1週間たたないうちに、ITPの創設者、故Red Burnsは、「What I Hope for you」と題したスピーチで我々にこう言ってくれた。「リスクを冒し、ミスを冒して、失敗から学ぶ」。Maker Faireの展示を見るとき、またはMAKE誌上で紹介されたプロジェクトを見るとき、それを作った人たちは、ほとんどすべてが、成功するまで何度も地面に顔を叩き付けているのだということを思い出してほしい。失敗は恥ずかしいことじゃない。それどころか、成功の必要条件なのだ。

ムーニスフィアの写真提供:Traci Lawson

– Michael Colombo

原文