Fabrication

2012.06.20

Makerムーブメントは子供たちの手にゆずろう

Text by kanai

Anpzlbzcaaa640R-1
Maker Faire Bay Area 2012へ来てくれた人たちもみんなそうだろうけど、私はまだ興奮が冷めやらない。何千人ものMakerたちに会い話をした経験は強烈で、ものすごいエネルギーをもらった。こんな体験をさせてくれるものは他にない。今日は父の日なので、私の頭から離れない光景について書こうと思った。これがみんなの心にも焼き付いてくれるといいな。:)
Makerムーブメントは、今、移行の時期を迎えている。私たちのような大人たちは、もうかれこれ10年ほどMakerムーブメントと呼ばれる動きのなかで活動してきた。私たちはみな出身も経歴も違う同士で、私たちの努力の結果、DIYが大きく花開いたことを大人としてうれしく思ってきた。しかし、私たちの時代はもう終わる。私たちが活動を止めるという意味ではない。次の世代に鍵を渡す時期が来たということだ。鍵はすでに彼らのものだ。
Maker Faireや、世界中のMake/DIYイベントで会った子供たちは、Makerが実在し、自分もそうなれるし、自分も同じように物が作れるようになるとわかっている世界に住んでいる。Maker Faireもハッカースペースもオープンソースの電子キットも、彼らは生まれたときから知っている。物を作ったり、分解したり、みんなと共有することは当たり前で、最初からそう思って育ってきた。平均的Makerは35歳の男性ではなく、3Dプリンターを持っている10歳の女の子や男の子だ。オープンソースハードウェアのロゴも、我々大人が、ナイキやコカコーラやAppleのロゴを知っているように、それが何であるかを知っている(実際に使ったこともある!)。
こうした子供たちは、ほぼあらゆるものにRaspberry PiコンピュータやArduinoが組み込まれている時代を生きることになる。プロジェクトをGoogle+ ハングアウトで公開し、DIY.orgやInstructablesに投稿する。自分で作ったものをクリエイティブコモンズやオープンソースライセンスを与えて発表する。2005年に私たちがMAKEを創刊したときに10歳だった子供は今は17歳だ。Maker Faireで会った親御さんたちは、iPodにLinuxをインストールしたり、TV-B-Goneを作ったりしたことで、子供たちが大きく変わったと話してくれた。世の中の物事の仕組みにより深い関心を寄せるようになり、アートや科学や工学の方面に進むようになったという。今10歳の子供たちは、3Dプリンタもレーザーカッターも身近なものとして知っている。ファイルをダウンロードしたり、いろいろ教えてくれる人も周囲にたくさんいる。私たちは自分で作ったものを世界に公開して、自由にコピーできるようにしているが、それは単にCADファイルやコードだけの話ではない。子供たちは、共有したいという意志と、技術的な進歩のみならず社会的な利益のためにオープンソースの利点を考える私たちの気持ちを「コピー」するのだ。
子供たちの想像力が何で弾けるかは、誰にもわからない。その可能性のあるものは、今の世界には無数にある。子供たちにとって、なんと幸せな時代だろう。だから、すべてのママ、パパ、教育者、子供たちの友だちに、Makerムーブメントを引き渡そうではないか (私たちはその環境作りに十分いい仕事をしたと思う)。父の日に際して、みんなに感謝したい。お父さんだけじゃない。この7年間、「Making」を育ててくれたみんなにだ。
上の写真はDaveの娘さんたち。Twitterより – 「子供たちが持っているのは技能章バッジです」 キットを正しくハンダ付けできたので、お父さんから技能章バッヂをもらったのだ。よく見ると、電子キットも手に持ってる。未来がそこにある。
– Phillip Torrone
原文