2012.08.24
Kickstarterの次はなんだ?
Kickstarterは、その名が示すとおり、「スタート」にすぎないことがわかった。30日、7日、48時間というタイマーのカウントダウンに翻弄されて、1カ月間の短距離走を走っているような勘違いに陥ってはいけない。Kickstarterキャンペーンは『帝国の逆襲』でルークがヨーダの特訓を受けるシーンのダイジェスト版みたいなものだ。この凝縮された時間の中に、さまざまなことが起きる。しかし、この前には長い準備期間があり、さらにその後にはもっと多くのアクションが起きることになっている。うんと長いプロセスの中の、ほんの短いドタバタの1カ月に過ぎないのだ。
数週間前、私はKickstarterキャンペーンのための準備と、それを理解するための私のメンタルモデル、「演者観客比率」について書いた。私は、Seth Godinによる、Kickstarterプロジェクトは 「最後のステップ」であるという説の誤りを暴こうとしたのだが、詳しく伝えることができなかった。現在、私たちのOpenROVプロジェクトはKickstarter後の狂乱状態にあり、この問題についてじっくり考えるべきときが来たと感じている。
ともかく、この熱狂は想像以上だった。これは資金の獲得に成功したKickstarterプロジェクトに共通して言えることだと思うが、とくに、実際の製品をすでに作っている人たちはなおさらだろう。全体を俯瞰すると、今後の方向には幅があり、それは製品をどれだけ作るかによって決まるということがわかる。
その片方の端は、基本的に自家製の製品がある。The Floating Globe Lampみたいなやつだ。この場合、次なるステップは明確だ。製品を作って発送するということだ。Etsy、Unique、Craft Fairなどのプラットフォームやツールを活用するのが一般的だ。だが、こうした製品は、Kickstarterではロングテールの少量生産プロジェクトに属する。どんな方法をとるにせよ、需要が一定のラインを超えると、作り手の作業速度の限界がボトルネックとなる。
もう片方の端には、Pebbleのような製品がある。プロジェクトも製品も、Kickstarterでは熱狂的な支持を得た。これを売り出すためには、徹底した製造戦略を必要とする。見るからに複雑で圧倒されるような製品なのだが、こちらも次なるステップはじつに明確だ。たとえば、PCH InternationalやDragon Innovationsと手を組んで、中国の深圳で製造させることだ。
もちろん、これらはごく単純化された例だ。それでも、自分でハードウェアビジネスを立ち上げたり、パートナーに製造を依頼するというのは、思いの外大変で骨の折れる仕事だ。ここを絶対に甘く見てはいけない。しかし、私がもっとも憂慮するのは、この2つの例の中間に位置するものだ。手作りビジネスながら大ヒットしてしまったものや、大手製造業者に依頼するほどではないがまとまった量の製造を必要とするものたちだ。OpenROVもそこに入る。私の知っているMakerの多くがこの部類だ。
ここはなぜか、あまりしっかりと探索されていない未踏の地域となっている。MakerBotや3D Roboticsが足跡を残し、TechShopやPonokoは、この新しく急成長してきた事業を支援しようと躍起になっているが、まだまだ足りない。
ひとつわかっているのは、私たちは短い時間で多くのことを学ばなければならなかったということだ。法務や会計といったビジネスに必要な基本的な事柄から、部品の調達方法、在庫管理、場所探しなど、まさに嵐のようだった(今も続いてはいるのだが)。Ericと私は、考えていることのすべてを、彼のガレージにあったホワイトボードに書き出した。数日後には、部品調達、リードタイム、設計変更、試験の必要性、そのほか、とっちらかった頭の中に止めておけないあれやこれやで埋め尽くされていた。ある時点で、私たちはホワイトボードをしばらく見つめ、そして互いを見つめ合い、またボードに目を戻した。自分たちはなんとかやっている。しかしそれにしても膨大な仕事だ。
私たちは、OpenPOVをできるかぎりオープンに透明にしたいという理念がある。そんなプロジェクトの性質上、また滅多にないこのチャンスを活かして、私たちの次に続くグループが少しでも楽に道を進めるように、部品調達、在庫管理、梱包と発送、場所探しなど、Makerのためのビジネスの基本に関して、個々の問題点を掘り下げてブログに書こうと決心した。
みなさんの質問をお待ちしてます。私は専門家ではありませんが、自分が学んだことをお教えすることはできます。
– David Lang
[原文]