Electronics

2013.02.27

ブリザードによる3日間の停電を乗り切る

Text by kanai

long_way_to_go

南部ニューイングランド地域に住む人はみな同じだが、我々も強烈なブリザードに襲われた。3日間停電しただけでなく、道路は倒れた木でふさがれたし(物資の供給ラインが絶たれた)、天然ガスのヒーターも電気が来なければ使えない。だから、その3日間をどうやって乗り切るかを考えなければならなかった。大変な事態だが、わくわくするチャレンジでもあった。

数日間停電することは、このあたりでは珍しいことではない。なのでうちでは普通に備えをしている。薪ストーブ、84ワット相当のソーラーパネル(屋根に取り付けた24ワットのパネルは雪の下だ)、たくさんの充電池などを備えているのだ。

ダイアルトーンを維持せよ

電気が止まると、携帯電話もつながりにくくなるが、なんとか使える。しかしうちでは、昔ながらの有線電話を大切にしている。だからダイアルトーンは失いたくない。少し前、うちはVerizon FIOS(訳注:電話とテレビとインターネットの高速通信サービス)に切り替えた。これでうちのダイアルトーンは、独立した安定的な電源を手に入れたわけだ。Verizonは、システムに7.2Ah 12Vのバッテリーが使っている。取り付け業者が親切にも予備の電池を置いていってくれたので、月に1度か2度、ローテーションして最高の状態を保つようにしている。スペアのバッテリーが欲しい人は、ここで安く買える

このバッテリーがどれくらい持つのか、Verizonはなかなか教えてくれない。彼らは8時間と言っているが、聞く人によって、それが通話時間だったりバックアップの時間だったりする。うちの場合は、フル充電で12時間とちょっとだった。それでは3日間は持たない。しかし幸いなことに、このバッテリーはソーラー発電で通常使うものよりもやや小さいタイプのものなので、一般的なソーラー発電用の充電コントローラーでそのまま使える。もうおわかりのように、FIOSのバッテリーは、臨時のソーラー発電システムの一部に組み入れられたのだ。

暖房と調理

うちは電気ストーブを使っている(自分へのメモ:ガスストーブを探すこと)。だから薪ストーブがなかったら、すごく寒かったに違いない(停電している間、外の夜間気温はマイナス23度まで下がった)。

薪ストーブのおかげで家にいられたし、なんとか快適だった。昼の間は室温を16度まで上げることができた。セーターを重ね着していたが、立派なもんだ。

薪ストーブを燃やし続けるためには、薪小屋まで行かなければならない(嵐が来ると聞いてポーチにたっぷり薪を準備しておいたのだが、早々に使い切ってしまった)。道が寸断されているため、家の前の道を除雪したところで意味がない。それより、薪小屋までの道を除雪しなければ。

Made it to the woodshed

お宝に到達

料理用にキャンプ用コンロをセットアップしたのだが、薪ストーブのほうがはるかに火力が強いことに気がついた。鋳鉄製のフライパンはストーブの上で大活躍してくれた。コーヒー用のお湯もストーブで沸かした。残念なことに、愛用のChemex(昔ながらのドリップ式コーヒーメイカー)のフィルターが切れてしまったので、ドリップメイカーにお湯を注いでコーヒーを入れた(フリーズドライのインスタントコーヒーでも十分にハッピーだったかもしれないが)。

ガジェットを充電させておく

何年も前、私はある程度のソーラー発電システム(小型のパネルとポータブルパワーパックのセット)を購入し、屋根に取り付けた。その後、XantrexパワーパックをDuracellのものに交換したのだが、それがよく働いてくれた。少なくともノートパソコンと携帯2台を同時にパワーパックにつないでフル充電できる。だが残念ながら、ソーラーパネルは数フィートの雪の下に埋まっている。家の中の寒さを考えると、窓を開けて屋根に上り、パネルの雪かきをしようなんて気には、嵐の最後の日の、暖かくなってきた月曜日までなれなかった。

2日と半日停電したハリケーンアイリーンの後、私はアマゾンから250ドルほどで60ワットのソーラー充電キットを購入した。ハリケーンサンディーのときもそれが役に立つと思っていたが、幸い、うちは停電を間逃れた。しかし、FIOSのバッテリーも、携帯電話もコンピューターも、みんな電気が切れてしまったとき、今こそ、そいつの出番だと感じた。

making_the_panels

4枚のパネルを装着するフレーム。

キットには4枚のパネル、塩ビフレーム、たっぷりの配線(パネルに接続する3.6メートルの延長ケーブルもある)、充電コントローラー、インバーターが含まれている。

組み立ては難しくなかった。作業の大半は、塩ビフレームの組み立てと配線の取り回しだ。バッテリーと充電コントローラーとインバーターは裏手のデッキに配置して、ケーブルはネコ用のドアから引き込むことに決めた。

charger

ネコ用のドアからケーブルを引き込む。

大成功だ。ときどき外に出てパネルを太陽の方向に動かす必要はあったが、システムはFIOSのバッテリーを最良の状態にして、家族の携帯電話を充電するのに十分な電力を提供してくれた。空になったバッテリーの充電には少なくとも1日かかった。夜の間もつないだままにしておき、翌日に確実にフル充電されるようにしておいた。バッテリーを充電中でも、携帯電話の充電ができた。私はときどき、持っているなかでもっとも効率的な充電器に切り替えて使っていたのだが、そうする間に、私は充電器の効率表示協定(PDF)について学ぶことができた。私はLevel V microUSBチャージャーを持っていて、写真に写っているものの代わりにこちらを使い始めた。いい~12V->5Vアダプターを買うか作るかすれば、インバーターを外してもっと効率を上げることができる。

help

騎兵隊が到着した!

騒々しい嵐の到来と同様に、この物語も賑やかな月曜日の夕方の数々の出来事で幕を閉じることになった。National Gridと電力会社から高所作業車が4、5台やってきて道路に列を作った。うちの停電は、給電線の交換や電線の張り替えでは直らなかった。電柱が折れて、トランスが落下し、オイルが漏れ出していたのだ。そのため、修理は大事となった。古い電柱を引き抜き、穴を開けて、新しい電柱とトランスを設置し、そこに電線を渡す。

家を温め、食事をとり、停電のなかで充電する方法を探るのは、とても楽しかった。電気が付いたときは、大喜びの感謝でいっぱいだった。

こうして、我々は嵐を乗り切り、その後の後片付けをした。みんなの話も聞いてみたい。コメントをください。

訳者から:「充電器の効率表示協定」のリンク先の日本語版がこちら。単一電圧外部交流-直流および交流-交流電源装置のENERGY STAR®プログラム要件

– Brian Jepson
(日本語版編注:Brianは、「Arduinoをはじめよう」や「Make: Electronics」など、MAKEシリーズの技術系書籍の原書編集者です)

原文