Electronics

2013.05.08

The Internet of Things:インスピレーションと必要なもの

Text by kanai

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AtmelのTom VuとInternet of Things Councilのメンバー、Michael Kosterがお送りする3回シリーズ「Internet of Things」の第一回目です。

Tom Vu(以下、TV)IoTツールキットを作ろうとしたこと、また IoTコミュニティにモノのインターネットのデータモデルについて教育しようと思ったきっかけは?

Michael Koster(MK):
1年ちょっと前、私はパートナーといっしょにInternet of Things(IoT)の研究を始めた。日常的な品物の管理に役立つ「従者」のようなシステムを作りたいというアイデアがあった。そのころ、私たちは電気と水道の供給網の外で生活していた。自分たちで電気を起こし、水道も自前で、かなりの時間を自宅から離れて過ごしていた。私たちは、何が使えるかを考えた。そして、自分たちが考えるような形で物事を連動させる上で、プログラムのレイヤーをひとつも必要としないシステムなど存在しないとわかった。

複数のデバイスの相互運用は、自分で「モノのインターネット」を構築しようと思えば、すぐに普通のこととなる。すべてをスマートにして、クラウドに接続するのだ。そのようなデバイスをKickstarterで買えば、しばらくは遠隔操作の能力と自動化を楽しめるだろう。私たちは、インターネットなどのサービスに接続できるデバイスを販売する業者をたくさん見つけた。ある業者はオープンソースクライアントを販売していたが、彼らのサービスに縛り付けられていた。私たちは、さまざまなデバイスを複数のサービスに接続したいのだ。家庭環境コントロールや、エネルギー管理、庭の水やり、家畜の自動化などだ。これには、複数のデバイスがアルゴリズムでつながっていて、値、ドア、ファン、照明、ブラインド、バッテリーを制御できるようになっていないといけない。デバイスとサービスが縦割りにインテグレートされている場合、すべてのデバイスが接続できないことが多い。相互運用できるように標準化されていないからだ。

するとすぐにこう考えるだろう。どうしたら、そうしたシステムを2つか3つ結合させて、デバイスと人間との間に新しい関係が作れるか、インタラクションができるようになるかと。そして、システム同士の結合は非常に複雑であることを、すぐに悟る。

モノのインターネットを自分で構築しようと思えば、これらは普通のことになる。Kickstarterからデバイスを買えば、遠隔操作の能力や自動化をしばらくは楽しめる。しかし、すぐにこう考えるようになる。こうしたシステムを2つか3つ結合してデバイスをインテグレートすることで、物と自分たちとの新しい関係を作るには、相互作用を可能にするにはどうしたらいいかと。そして、それは簡単ではないとすぐに気づく。

IFTTT(IF This Then That)というサービスがある。そこには、いくつかの人気IoTサービスのAPIに接続できるソフトウェアコネクターがある。ルールエンジンを提供して、条件に基づく簡単な論理を適用し、アクションを生成する。If(もし)this(こう)then(ならば)that(そう)という具合に。よく出来ていて、それは需要がある証拠だ。しかし一般の使用には十分でない。

そこで私たちは、DIYなアプローチに頼ることにした。SparkfunやEvil Mad Scienceのようなサービスを使って底辺から作り上げるのだ。また、Arduinoのようなコンポーネントも利用した。その多くはATmega ARM Cortex-M3を使っている。どちらもAVR ARMマイクロコントローラーで、強力なオープンハードウェアであり、IDEとエコシステムも整っている。私たちは、測候所、環境センサー、環境LED表示板、電源モニターなど、ネットワークに接続可能なセンサーをいくつか集めた。これらをPachubeにつなぐのは比較的簡単だった。これでモニターと記録を行ったのだが、多くの制約があるために、私たちの目標が達成できないことがわかった。

同じ状況は、縦割りの統合システムにもあった。オープンではなく、多くの異なるデバイスをつないで、全体を管理する大きなアプリケーションを構築するという標準の方法だ。「プラットフォームとしてのサービス」を提供する一部の業者は、IFTTTによく似たルールエンジンと、プラットフォームの内側で他のアプリケーションロジックを走らせていたが、私たちは、ソフトウェアを走らせる場所を自分たちで選べる方法を探していたのだ。とくに、クラウドサービスとローカルなハードウェアゲートウェイの両方でだ。これにより、埋め込みデバイスと接続されたセンサーを、特定のハブを使わずに、IoTがドライブされる大きなシステムに成長させられる可能性が生まれる。

私たちのネットワーク接続は、天候やその他の可変要素のインパクトを受けることが多いので、これは重要だ。誰でもある程度のインパクトは受ける。DSLやケーブルサービスでもだ。頻繁なサービスの切断を経験した私たちは、ネットワーク接続の切断に対する許容力が重要であると学んだ。ネットワーク接続の信頼性が十分に高かったしても、サービスが停止するという問題があり、遅れを生むイベントを作り出す。バックアップのないクリティカルなサービスにとって、それが不安定要素となる。

数カ月の調査の末、私たちは、すべてのデバイスとものとのインタラクションを行う頑丈な共通の方法が必要条件であると判断した。インターネットの黎明期のような感じだ。ウェブ以前、ハイパーリンク、HTML、httpプロトコルが発明される前、ハイパーリンクを作るといった、ドキュメント内でインタラクトする共通の方法はなかった。

モノのインターネットも同様の開発段階にある。IoTは他のマシンとインターアクトするための規格が必要だ。簡単にインタラクトできるようになるソフトウェアの規格が重要だ。

共通のツールとサービスのベースセットを提供するプラットフォームは、オペレーティングシステムと同様、IoTユーザーにとって必要条件だ。このプラットフォームによって、IoTのアイデアを素早く実現させることが可能になる。

アクセス性と相互運用性は、モノのインターネット時代にユーザーがスマートな接続デバイスの構築を可能にする鍵となる。

みんながモノのインターネットに期待することを行うための標準の方法を見つけることができたなら、そしてそれが今のウェブのように簡単にアクセスできて利用できるようになったなら、モノのインターネットを、インターネットの次の段階と思われるところへ拡大、発展させる手助けになることは明かだ。

私たちは、IoTコミュニティといっしょに、いくつものIoTの使用ケースについて研究した。そして、誰もが使えて、共有、貢献、配布、拡張ができるツールの共通のセットで何が必要かを取りまとめた。私たちは、すでに存在している規格、インフラ、システムコンポーネントを使いたいと考えた。そして、私たちや他の人たちが、それを使って端から端までのIoTシステムと製品を作ることができるオープンソースのプラットフォームを構築したいと考えた。

プラットフォームでは、私たちは、センサーとデバイスからのマシンツーマシン(M2M)接続とアプリケーションソフトウェアを提供したかった。さらに、記述と接続のための共通言語を構築するために、デバイスと他のIoTデータストリームの間で簡単に広がる共通のデータモデルを再利用したかった。

私たちはこのプロセスをソーシャルメディアから始め、LinkedInで同じ考えを持つ人たちに手を伸ばした。この調査の間、私たちは、私たちが発見した問題は、広く知られていないし、論議されてもいないことを知った。多くの人たちは、IoTのための共通のツールを持っていなかった。

私たちは、コミュニティの学習には、RDFLinked Dataなどにおいては、すでに急激な学習曲線が必要であることを知った。それが、人々に意味データモデルとLinked Dataをドライブすることを教育するためにこのIoTブログシリーズを開始する理由のひとつにもなっている。同時に私たちは、同じ考えを持つ人たちとコミュニティを築くためにシリコンバレーでOpen Source Internet of Things Meet Upを開始した。

創設の原則は、オープンソースとモノのインターネットの周囲にコミュニティを作るということだ。求心力のある原則は、コミュニティと相互運用性という2つの成功した原理から生まれる。実際、モノのインターネットの本質は、オープンソースとコンウェイの法則との相性がいい。私たちはシステムを構築したいのだ。私たちが思い描く、コミュニティと共有に基づく構造を築くのだ。

Tom Vuは2012年、デジタルマーケティング・エクストラオーディネアとしてAtmelに入社。Atmelのデジタル展望の伝導性を変革し最適化する手助けをしている。Tomは熱心なMakerであり、マーケティングの多くのデジタル局面でリーダーを務めている。Tomの半導体空間の縦走はさまざまな企業経験に端を発する。ソフトウェア空間で醸造された超観念が、管理と実行のための彼の鋭敏な技術羅針盤の命になっている。

– Tom Vu

原文