Fabrication

2013.07.30

オープンソースのLobo CNC

Text by kanai

パーソナル3Dプリンターは実現した。しかし、3DプリントしたABSやPLAの部品がどんなところにも使えるというわけではない。フェノール樹脂、デルリン、木材、アルミニウムで作った部品が必要になる場合も多い。3Dプリンターの精度や仕上げでは満足できないこともある。数年前、MakerがMakerと呼ばれるようになる前は、パーソナルな3D工作機械と言えば、SherlineやMaxNCのようなデスクトップ型CNCフライス盤だった。Makerたちは、再びCNCフライス盤に注目し始めている。事実、MakerBotの安価で軽量な構造が、相当程度、ShapeOkoやZen Toolworksといった新しいデスクトップクラスのCNCルーターに影響を与えている。これらのマシンは、板状の素材の加工に適していて、あの素晴らしいSherlineデスクトップフライス盤の汎用性は持ち合わせていない。

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Lobo CNCフライス盤は、その2つの世界の橋渡しになればと私が立ち上げたオープンソースプロジェクトだ。Z軸の動きが限定的で、切削できる素材の固さにも限界がある通常のフラットベッド式CNCルーターのデザインと違い、Loboは従来のベッド式の設計を使いながら、Z軸の動きが大きく、より固い素材の切削も可能になっている。昔ながらのCNCフライス盤は数千ドルするのに対して、Loboはレーザーカットした鉄板を曲げて作っているので、低コストながらXYZ軸ともに非常に精度が高くなっています。木材やプラスティックの精細な加工にも対応する高速ルーターも採用している。

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安価なCNCマシンは、ほとんどが「オープンループ」ステッパー制御を使っている。これは、モーターに行き先を指定したら、あとはそこへモーターが行ってくれることを祈るというものだ。Loboでは、私はクローズドループ・サーボ制御をデザインした。これはエンコーダーフィードバック付きのステッパーモーターを使う。モーターのエンコーダーは、モーターの正確な位置を常にコントローラーに知らせ、それを見てコントローラーは、モーターの位置がずれたときに修正することができる。モーターのドライバーをオフにして、手でモーターの位置を変更することもできる。それでも、コントローラーにはモーターの正確な位置が示される。クローズドループ・サーボ制御は、業務用 CNC マシンに使われているものだ。Lobo は、サーボ制御付きで900ドルで作れる。従来のステッパー制御でよければ750ドル以下で作れる (組み立て済みの金属パーツ、モーターコントローラーボード、配線済みのモーターは購入可能。設計図からすべてを自分で作ることも可能)。

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私は試作品のLoboフライス盤を使ってアルミニウム製の生ギターを作ってみた。ブリッジは木材の削り出し、サドルは骨製、サウンドホールはアルミを切り抜いた。他にもいろいろなものに使っている。FRCロボットパーツ、電子工作のケースの製作、既存パーツの改良、アート作品もよく作る。安価な3D工作機械の世界で、これは新しいマシンのクラスをもたらすものだ。Maker はこれを使って、新しい分野のものが作れるようになる。

– Jeffrey Kerr

[原文]