2014.02.07
AfiniaのStratasysへの反論2:古い特許とプリンターの情報を隠していた
今日、Afiniaは、Stratasysの3Dプリントに関する特許に対して、さらに大きな一手を打った。反論の改訂版だ。そこでAfiniaは、次の3つの証拠を使ってその主張を強化した。ひとつは、Stratasysはその特許を使って市場を独占しようとしているというさらなる証拠、ひとつは、Stratasysが彼らの所有する特許のひとつが、出願された新しい特許の新規性を否定することを特許庁に示すことができなかった証拠、もうひとつは、Stratasysが彼らの所有する特許のひとつが、別の出願中の新しい特許の新規性を否定することを特許庁に示すことができなかった証拠だ。
我々は、StratasysとMicroboards Technology(Afinia 3Dプリンターのメーカー)という2つの3Dプリンターメーカーの間で起きた訴訟問題について、訴えが起こされた昨年の11月から取材してきた。この訴訟は、プリンターそのものに含まれる技術に関するものであり、この当該2社だけの話に止まらない問題を抱えている。Stratasysの特許に関する主張が正しいとなれば、市販されているほぼすべてのデスクトップ3Dプリンターに影響が及ぶことになるのだ。
簡単な背景
今回のStratasysの訴訟の背景についてはここを、またAfiniaの最初の反論についてはここを参照してほしい。どちらにも、常に覚えておくべき警告が含まれている。これらの申し立ては、この場合、Afiniaによって行われたものだ。Afiniaは、それらには法廷で使うに十分な真実性があると思っているが、本当のところは法廷が開かれるまではわからない。言い換えれば、Afiniaの主張がすべて正しいとは限らないということだ。
Stratasys – 3Dプリントの世界で古くから確固たる地位を築いた企業 – は、Afiniaのデスクトップ3Dプリンターに使われている技術が、自社の4つの特許を侵害していると主張している。繰り返しになるが、Stratrasysの主張では、その特許がカバーする範囲は非常に広く、現在のほとんどのデスクトップ3Dプリンターがその影響下に入ることになる。オープンソースのプリンターも例外ではない。Afiniaは、Stratasysの申し立てに対して、それらの特許の正当性に問題があるとして反論している。
この反論は大変に重要だ。なぜなら、これはAfiniaが単に自社のプリンターがStratasysの特許を侵害していないと証明するだけのことではないからだ。Afiniaは、もっと大きな視点に立って、Stratasysの特許自体が無効であると訴えているのだ。もしそれが通れば、Stratasysは、もう誰に対しても特許侵害の訴訟を起こせなくなる。その違い、つまり、Afiniaの特許侵害に対する反論と、特許無効の主張の違いは、この訴訟が進行する間、ずっと心に留めておくべきだろう。前者が通れば、Afiniaと、それとまったく同じ方式のプリンターにとっての勝利となる。後者が通れば、より広範な3Dプリンター世界に大きなインパクトを与える。
今日の進展
本日、Stratasysの最初の申し立てに対して、Afiniaが反論を行った。すでにお知らせしたとおり、Afiniaの最初の反論は、Stratasysの特許にそれらの技術を組み入れた方法、そして、特許出願当時すでにその特許が存在していたことに集中していた。Afiniaは、既存の要素を回避するためにStratasysが特許の範囲を狭めることに合意した経緯を記録した書類を提出している。範囲を狭めた結果、その特許に触れるものは何もない(とくにAfiniaのプリンター)とAfiniaは確信した。
本日の反論では、3つの証拠が加わった。
Stratatsysは市場を独占しようとしている
Afiniaは最初の反論で、この訴訟にはStratasysの3Dプリント市場を独占しようとする意図があると主張した。今回の申し立ては、その主張を裏付けるAfiniaの証拠を強化するものだ。
まず、すでに多くのプリンターを販売しているAfiniaは、先ごろ合併したStratasysとObjetとで、工業用3Dプリンター市場の50パーセントを支配していると主張している。この市場占有率により、Stratasysは3Dプリンター用素材、たとえばABS樹脂などの価格を操作している。
二番目に、すべてのStratasysプリンターには使用許諾契約が伴っていること。これは、ウェブサービスを使うときの利用規約とよく似た、プリンターのサービス規約だ。この使用許諾契約の中で、Stratasysのユーザーは、Stratasysと、すべてのStratasysの「顧客、使用許諾者、その他の認定されたユーザー」はセカンドライセンスに同意することを求められる。このライセンスは、Stratasysのプリンターを使って作られた「3Dプリント装置、3Dプリント装置の機能の使用、かつまたは、3Dプリント装置の作動中に使用された、または作られた組成物」を含む「すべての特許および著作権」のためのものであり、それは「知的所財産かつまたはStratasysの業務上の機密から派生かつまたは改良された」ものに関係する(全文はAfiniaの反論の11ページにある)。
Afiniaの主張では、この使用許諾契約は非常に単純で、改良された3Dプリント工程を開発したStratasysの顧客は、それをStratasysに無償でライセンスしなければならないという。さらに、新しい改良は、Stratasysの顧客にも無料でライセンスされなければならない。このセクションの冒頭に書いたことを思い出してほしい。それが市場の50パーセントに及ぶのだ。
こうした条件(Afiniaはいろいろな理由で問題が多いと指摘しているが)が招くのは、3Dプリントの世界で独自性を持って革新技術を開発しようという意欲の低下だ。新しい発明が、すぐに市場の半分の潜在顧客にライセンスされてしまうとしたら、誰だってヤル気をなくす。
Stratasysは特許を隠していた
Afiniaの最初の反論の概説にも書いたが、Afiniaの作戦の大部分は、Stratasysが、先行技術に直面したときに、どのように特許の範囲を狭めたかを示すことにあった。
‘925号特許の文脈からすると、プリントに含まれる気泡を抑えるための押し出す割り合いの調整に関する特許の範囲も狭められる。しかし、925号が出願された時点では、Stratasysはすでに、プリントの気泡を抑える押し出す割り合いの制限に言及した特許(329号)を取得していた。
これは、先行技術に関する問題のように思えるが、ちょっと違う。その“先行技術”もStratasysの特許技術であり、Stratasysは、関連するすべての情報を特許庁に見せる義務を負っていた。なので、これは不公正な行動と考えられ、Stratasysはその正当性の如何に関わらず、その特許権を行使できなくなるかもしれないのだ。
Stratasysは古いプリンターを持っていた
今回の新しい反論では、Afiniaは、Stratasysが特許を取得するより前に、その技術があったことを示すさらなる証拠を発見したようだ。それは身近なところにあった。Afiniaによると、Stratasysは、058号特許でカバーされている技術を使ったプリンター(FDM-1650)を販売していた。
上記の329号特許と同様、Stratasysはその情報を、特許出願中に提出するよう求められていた。そして、329号特許のときと同じく、Stratasysの自社製プリンターの技術が出願中の特許でカバーされているものだったという話が本当なら、情報の隠蔽という不公正な行為になる。こうした行為は、Stratasysが特許権を行使する際の障害になる。
これから何が起きるか
いろいろな意味で、われわれは基本的にAfiriaが最初の反論を行った1カ月前と変わっていない。特許侵害の訴訟に直面したAfiniaは、弁護士を立て、Stratasysの特許に関する申し立てを覆すと確信する証拠を提示して戦う姿勢を見せた。今はまだ、StratasysとAfiniaのどっちの言い分が真実に近いかに関して、法廷は判断を示していない。その結着を見るには、判決または和解を待つしかない(または両者が訴訟を取り下げるかだ)。
大きな違いは、Stratasysの特許を否定するであろうとAfiniaが信じる証拠が、より多く揃ったという点だ。それがもし真実なら、925号と058号には大きな制約が加えられることになる。この訴訟でのStratasysの戦意も低下するだろう。
しかし、これ以上の方法がAfiniaから出てこないので、ボールは今、Stratasysの法廷にある。今回の新しい情報にどう対処するか、この訴訟においてそれがどんな意味を持つのか、彼らは考えなければならない。
– Michael Weinberg
[原文]