Fabrication

2014.09.26

Idea Builder:ドレメルから一般向け3Dプリンター

Text by kanai

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便利な機能、スマートなパッケージング、そして999ドルという価格。これらを見れば、ドレメルの3D Idea Builderは、マスマーケットを狙った製品であることは明らかだ。

ニューヨークで開かれているMakerConで発表されたIdea Builderは、大手工具メーカーから発売される初めての3Dプリンターであり、家庭での積層造形の未来を象徴するものだ。最初は、Home Depot、アマゾン、Canadian Tireといった老舗の工具販売店が取り扱うため、そこで新しい分野のユーザーを取り込むことになるだろう。

Idea Builderはシングル・エクストルーダーのプリンターで、すべてのものが本体に収まっている。軽くて、しっかりとした感じがあり、外観はプラスティックのすっきりとしたケースになっている。青い蓋は取り外しができ、両サイドのパネルも外せる(内部が高温になったときの対策と思われる)。造形エリアは230mm x 150mm x 140mm。ベッドが取り外せて、モデルの取り出しがしやすい工夫がされている。過熱プラットフォームはない。なので、PLA専用だ。

成型されたマシンの内部には、造形プラットフォームの左側にカマボコ型のフィラメントのスプールが入るようになっている。スプールを内部に収めたことで、全体の床投影面積は小さくなり、可動部分が少ない印象を受ける。蓋がついているので、プリント中に造形エリアに髪の毛やアクセサリーが落ちてしまう事故を防げる。取り外しができるので、フィラメントの交換やプリントの取り出しやメンテナンスのときは楽だ。正面には透明アクリルのドアがあり、小さな磁石でパチンと閉じるようになっている。

最初から洗練されたコンシューマー製品であるこのプリンターのデザインを見ると、ドレメルのデザインチームは箱から出すときの喜びを考えていたなと思わせる。箱の中には、分かりやすいフルカラーのクイックスタートガイド、ドレメルのマークが入ったBuildTakが2枚、モノクロのプリント解説書が入っている。ドレメルのような大手メーカーだから、説明書は期待どおり充実した内容でわかりやすく作られている。3Dプリント初心者のMakerたちのための用語解説も嬉しい。

ドレメルは、世界中の製造業者と提携して工具などの製品を作ってきた長い歴史がある。だから、このIdea Builderも中国のメーカー、Flashforgeとの提携から生まれたものだと聞いても驚くには値しない。ここは、Replicatorのクローンとして人気のCreatorのメーカーだ。Idea BuilderはFlashforge Dreamerをベースにしている。だが電子回路のCPUには、Creatorシリーズに使われているATmegaではなくARM Contex-M4 CPUが使われている。また、Autodeskとも提携して、ユーザー向けのデザインソフトウェアを開発している。

ドレメルの3Dソフトのインターフェイスと機能は、MakerwareやCuraのものとよく似ている。MacとWindowsの両方に対応している。造形エリアの上のモデルを3Dレンダリングして表示させる機能もある。モデルの移動、回転、スケールが可能で、サポート材が必要な部分がハイライトされる。プリント温度の変更、インフィルの割合、ラフトに関するオプションはなく、自作のG-codeファイルを使うことはできない。これらは、入門者にやさしいマシンというドレメルの方向性のために犠牲になった。しかし、これらの機能は、今後改良を加えられる間に搭載される可能性があるとドレメルは言っている。

スライシングエンジンは高速で、解像度は低、中、高が選べる。それぞれ、0.1mm、0.2mm、0.3mmのレイヤー高となる。インフィルのレベルはあらかじめ設定される。

Idea Builderのソフトウェアは高度な設定ができないが、滞りなく作業を完了できる流れるような手順、操作感覚、エコシステムはきちんと受け継がれている。ドレメルは、ウィスコンシン州ラシーンの実績あるカスタマーサービスのネットワークを使って、ドレメルのエキスパートによる無料サポートも行っている。電話、Skype、電子メールとさまざまな方法で問い合わせが可能だ。さらにその流通の力も利用して、新しいチャンネルへ製品を送り込もうとしている。

ドレメルが3Dプリンターの世界に進出したことで、主流の3Dプリンターの競争がヒートアップすることは間違いない。Idea Builderの魅力的な価格と機能は、さまざまな分野のユーザーに購入を検討させることになるだろう。で、このマシンは我々の過酷なテストにどんな結果を出したか? その詳しい報告は、次号のMake:マガジン(英語版)に掲載する。テストに使用したモデルは今週末に公開するので、みなさんの家で楽しんでいただきたい。

– Mike Senese and Tom Burtonwood

原文