Fabrication

2014.10.29

貧困地域に3Dプリントで住居を提供する高さ6メートルのWASP 3Dプリンター

Text by kanai

新しいイタリアの企業が、貧困地域に3Dプリントで住居を提供するための巨大なポータブルマシンを披露した。

このプロジェクトは、3DプリンターメーカーのWASPがMaker Faire Romeでその技術を公開した。建物をプリントするこのプリンターは高さが6メートルという巨大さで、3本アームのデルタマシンだ。WASPのCEO、Massimo Morettiによれば2時間で設置可能。地元産の土と繊維質を使って、安価に家を建設できるという。これによって、一般的なレンガを使った四角い建物よりも、自然に馴染む形の家が造れると、彼は解説している。さらに彼は、単に手で家を建てるよりも、心のパワーを表現できやすくなると熱っぽく語った。

このイベントの間、時間と材料の制約から完成には至らなかったものの、プリンターは土のレイヤーを重ねていった。それでも、さまざまな素材を使ってデモンストレーションされた特製エクストルーダーからは、努力の跡が見られた。

wasp house printer

3Dプリントされた家は2年前からデモンストレーションされている。D-Shapなどの企業は、巨大なトラス式直行座標プリンターの実機やモックアップを展示し、大きな有機的スタイルの建造物をプリントしてきた。しかし、WASPは、その機動性と組み立ての簡易さ(ラチェット式ベルトで組み立てる)と、地産の材料を使える点は、素早く家を建てるという点において優れている。

このメーカーは、一般消費者向けのプリンターの売上げでこのプロジェクトを進めている。その性能の高さから、イタリア第二の大手3Dプリンターメーカーとなっている。同社のオリジナルマシン、WASP Evoは、XYZ型の3Dプリンターで、ミル(切削)やシリンジ(接着剤や食品)も装着できる。その下位機種はすべてデルタ型で、デスクトップから箪笥サイズのものまである。通常は一般の3Dプリンターと同じくプラスティックでプリントするが、彼らはセラミックでプリントできるエクストルーダーも開発した。これを使えば、プリントに釉薬をかけて焼くことができる。

Morettiは、このセラミックを使ったプリントが3Dプリントの本当の価値を生み出すと、イタリア人デザイナーとして熱っぽく語っていた。

公式な計画は何も発表されていないが、Morettiによれば、最初のWASPハウスは、来年、サルディニアに建てられるという。そこは、土のつなぎに混ぜ込む繊維質としてのウールが豊富にあるからだ。

– Mike Senese

原文