2013.11.27
スミソニアン博物館と3Dスキャナーの出会い
ワシントン D.C.のスミソニアン博物館で、3Dスキャンの世界の人たちと、博物館の人たち、合わせて数百人が出会うという楽しいイベントがあった。そこでは、Autodesk、3D Systems、スミソニアンを始めとする多くの博物館から集まった各分野の大勢の専門家たちによるプレゼンテーションが行われた。私たちは、ライト兄弟の飛行機、古代の武器、クジラやイルカの化石、エンブリーア蘭とケブカシタバチのCTスキャン、シャチの帽子について学ぶことができた。
基調演説を行ったのは、南カリフォルニア大学インスティテュート・オブ・クリエイティブ・テクノロジーズのデジタルの奇才、Paul Debevecだ。彼の技術は、『マトリックス』のバレットタイムでの背景の入れ替えや、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、『アバター』のナヴィの顔の入れ替えなど、ハリウッド映画の特殊効果に活かされている。
スミソニアンキャッスルでは、出展者による技術ギャラリーが展示されていた。なかでも私の目を引いたのは、3D Systemsの新型スキャナー、Sense だった。先週から話には聞いていたのだが、どうしても試してみたかったものだ。ArtecやF5やFaro Armといったハイエンドのスキャナーや、KinectやAsus Xtion Proといったコンシューマー向けスキャナーは使ったことがあるが、ハイエンドの3つは一般のMakerには手の届かないものであり、KinectとXtion Proは安いけれどソフトウェアが付属していない。Senseは、この月曜日に、399ドルでコンシューマー市場に登場した。直感的に使える優れたソフトウェアも付属している。下のビデオは、私が初めてそのソフトウェアを使うところをGlassで撮影したものだ。
昼食後は、専門家たちによる1時間ほどのパネルディスカッションがあった。参加者はスミソニアンのデジタル化チームから、Adam MetalloとVince Rossi、Direct DimensionsからMichael Raphael、3D SystemsからPing Fu、AutodeskのReality CaptureからBrian Matthewsといった顔ぶれだ。Q&Aセッションもあり、ファイル形式から他の博物館へのスキャン技術の導入から著作権問題など、いろいろ語られた。
技術ギャラリーで楽しかったのは、Occulus Riftを装着して3Dスキャンした環境を探検したことだ。私はインドネシアのフローレス島にある石灰岩の洞窟リアンブアの中を歩いた。私は採掘穴に落ちてしまい、システムをリセットするはめになった。
スミソニアン博物館は、Autodeskと共同でSmithsonian x3d Explorerを立ち上げ、誰でもその3Dコレクションをウェブブラウザで見られるようにするという。これは要チェックだ。まだ点数はそれほど多くないが、イルカの化石やミツバチは本当に面白い。123D Catch の改良版、Autodesk Recap Photoのことも知ることができた。現在は無料で公開されている。私が見たところでは、スキャンの精度を高めるための処理技術が向上したようだ。
夕方行われたレセプションで、私は、スキャンデータからプリントされた2つのクジラの骨の標本を見た。博物館では、すべての化石を実物大でスキャンする計画があるそうだ。それは博物館に展示され、誰でも自由に触れるようになるという。
レセプションのデザートは、The Sugar Labが提供してくれた。彼らは、砂糖を材料にしてエンブリーア蘭の食べられる3Dプリントを作ってみせた。味はちょっと粉っぽかったが、本物の蘭を食べるよりはよかった。
– Todd Blatt
[原文]