Fabrication

2014.11.05

独占公開:Inventablesの新型3Dカービングマシンは夢のCNCルーターだ

Text by kanai

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Inventablesは、CNCルーター加工を工房の作業台の上で行いたいと考えた。そして彼らは、スタイリッシュなCarveyという新型マシンを発表してその夢を叶えた。

CNCフライス加工やルーター加工は、積層造形法よりも前から工業を支えてきた。しかし、Inventablesの創設者、Zach Kaplanが呼ぶところの「3Dカービング」は、3Dプリンターと違って、いまだデスクトップ上では活躍していない。その理由としてすぐに思い浮かぶのは、それを使いこなすには工学的知識が必要であることと、削り屑と騒音の問題だ。

だがこれはCarveyによって塗り替えられるかもしれない。美しくシンプルにデザインされた完結型のCNCルーターだ。Inventablesのシンプルな無料CNCソフト、Easelと相性良く使うことができるばかりか、G-codeにも対応し、完全な3Dモデルを削り出すことができる。

Inventablesは、このマシンを本日、Kickstarterで発表する。1,999ドルの寄付をした人には、Carveyが謝礼として贈られることになっている(価格は最初の100台以降は2,399ドルとなる)。

「これがMaker Labを次のレベルに引き上げてくれる気がします」とKaplanは話している。

密閉型のベッド、強力なスピンドル、オープンソースの電子回路。

電子レンジほどのサイズのエンクロージャーと 8×12インチのベッドサイズは、CarveyがOthermillなど他のデスクトップ型ルーターと大きく異なる点だ。CNCルーター加工では、大量の削り屑と大きな音が出るのが普通で、そのために工場で使うものとされてきた。Carveyの場合は密閉型なので、オフィスやスタジオの机の上でも使える。エンクロージャーの中に削り屑も音も封じ込められるのため、稼働中でも近くで電話の会話ができるほど静かだ。

エンクロージャーのお陰で安全性も非常に高くなっている。防護眼鏡を掛ける必要もないし、髪の毛や衣服が機械に巻き込まれる心配もない。インターロック機能も備えていて、蓋を開けると機械が止まる仕組みになっている。また、正面には緊急停止ボタンもある。

稼働中のスピンドルはLEDで照明され、スモークガラスを通して見ることができる。正面の蓋はガススプリングで軽く開く。内部には、ネジやクランプで素材を固定できるウェイストボードもある。

Carveyの電子回路はオープンソースで、GRBLと特別なInventablesのファームウエアは間もなく公開される。スピンドルは300ワットDCスピンドルで、Easelからの命令で自動的に動く。

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仕様も紹介しておこう。作業エリアは12 x 8 x 2.75インチ(約30×20×7センチ)、フレームはShapeokoよりも頑丈で、公差は0.001インチ。3軸すべてに工業規格の直行ベアリングが使われ、フレームはアルミの無垢材から作られている。これにより、より精度は高まり、はめ込み加工が正確にでき、電子基板の削りだしや、その他の業務規格の品質での切削が可能になった。素材は、硬木、軟木、カーボンファイバー、合板、プラスティック、コルク、電子基板、リノリウム、アルミ、金、銀などの軟らかい金属に対応する。

3つの軸はすべて自動的にゼロにリセットされる。Smart Clampによって素材のXとYが登録され、センサーがZ軸をゼロにする。

これにより、すべてのユーザーはEaselのcarve(切削)ボタンをクリックするだけで作業できるようになる。CNCルーター加工のための主な作業はそれだけだ。

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これは新しいShapeokoではない

2013年、InventablesはオリジナルのShapeokoキットの成功を受けて、Shapeoko 2 CNCルーターの販売を開始した。この低価格のオープンソースハードウエアは、CNCルーター加工を多くの人々に開放した。2014年、InventablesはCNCルーター加工のためのブラウザーベースの無料ソフト、Easelを公開した。誰でも簡単に使えるようにと、CADとCAMとG-codeをひとつのパッケージにまとめたものだ。

InventablesはEaselで使えるShapeoko 2の販売とサポートを継続する。Carveyは、キットを組み立てるよりも、オブジェクトを工作するほうに興味のある人たち、とくに3D切削やCNCの経験のない人たちのために作られた。Carveyは完全なプラグアンドプレイのマシンであり、箱から出してすぐに使える。現在販売されているどのマシンよりも簡単で安価なものだ。

Kaplanによれば、Carveyのデザインと技術的決断は、すべてが、創造性を刺激し使いやすいという点に基づいて行われたという。独自のオブジェクトを作りたいと思う、まったく新しい顧客層が得られることを彼は期待している。

CNCルーター加工のもっとも難しい点は、素材に合わせて切削速度とフィードを調整することだ。しかし、InventablesのEaselでは、素材ごとのプリセットによってだいたいの設定が行われるようになっている。さらにCarveyは、ビットを色分けすることでさらに利便性を高めている。ユーザーは、素材を選択し、正しいビットをCarveyのER11コレットに装着するだけでよい。

簡単に使えて、安全で、静かなこのマシンは、学校や図書館や美術館にも適している。あらゆる分野のMakerの工房にも置ける。KaplanはCarveyを、3Dプリンターのようにプロトタイプのためのマシンではなく、完成品を作るためのマシンだといえる。

– Elizabeth Koprucki

原文