2015.09.07
常にISSを指し示す装置
国際宇宙ステーション(ISS)が最高のものの塊(人類が作ったもっとも高価な構造物、地球軌道上の最大の人工物、もっとも長い有人衛星、最新最高の技術の結晶、最高にクールな空飛ぶ実験室……)だとしたら、いつもいつもISSのことを考えていたいのに、どうしても何時間か、または何日間か忘れてしまうときがある。
現在と将来の宇宙探査計画に対する人々の興味が薄れてしまうと、宇宙計画のための予算がどんどん削られてしまうと恐れる人たちが増えている。そこで、直接的に人々の興味を向けるあの方法が役に立つ。そう、指さしだ。
これは、国際宇宙ステーション軌道追跡ポインターの第一号プロトタイプだ。ST Microelectronics Nucleo F401でコントロールされている。クロック84 MHz、メモリー512KBというArduino互換ボードだ。これは軌道伝搬機であり、SGP4モデルの移植版を使って座標系変換を行う。
ステッパーモーターが方位角をコントロールし、サーボが高度をコントロールする。スイッチを入れると、即座に可動域ルーチンを開始し、仕事を開始する。つまり、ISSの位置を指し示すのだ。ISSは、90分間で地球を1周するので、ポインターは時計の分針ぐらいの速さで動くことになる。見ていてもあまり面白くない速度だが、ときどき見るにはいい速さだ。
これはプロトタイプなので、いくつかの制限がある。スイッチを入れる前にポインターを真北に向けて初期化する必要がある。また、ISSの軌道の変数は開発ボードにハードコーディングされているため、ときどき更新してやらないとポインターがずれてくる。定期的に正しい軌道をダウンロードして、自分で更新ができればよいのだが。
このデザインは、いろいろな発展系を連想させる。航空宇宙関連の賞もほしいが、高校生が学校で作ったキューブサットの方向を指し示したり、アマチュア無線のアンテナをマウントしたり、いろいろな衛星の場所を示してくれる子ども科学館の展示物にできる。屋外に大きなものを作れば、街のランドマークにもなるインスタレーションができる。
だがこのプロトタイプは、ISSを指し示すだけでいい。私にとって、世界最高の驚異的人工物が今どこにいるかを思い出させてくれるものだ。
[原文]