2019.04.24
[MAKE: PROJECTS]100円LEDキャンドルとクリップで作る超安価なSTEAM教材「スクラッピー・サーキット」
子どものSTEAM(科学、技術、工学、アート、数学)学習のために1ドルを使えるとしたら、いちばんの使い道は、1ドルショップに行って電子ガジェットを買って分解することだ。ミニ扇風機、LEDライト、リモコン、ヘッドホンを調べてみれば、風車や信号やスピーカーやキーボードなど、現代のデバイスの仕組みが学べる。
次のステップは、1ドル電子ガジェットの分解だ。もう一歩進めるなら、2つのガジェットを合体させたり、スイッチを入れ替えたり、新しくてユニークな何かを作る。その出発点として最適なのが、「スクラッピー・サーキット」(解体回路)だ。
スクラッピー・サーキットは、カーネル大学の教育支援プログラム、Xraiseで一緒に働いていたChris ConnorsとEva Lunaと共に開発したのが始まりだ。最初はスイッチを簡単にDIYする方法を探っていたのだが、それが50セントのLEDキャンドルを元にした自作発明システムに発展した。教師は、20ドルほどの経費ですべての生徒と一緒に作ることができる。事務用品が手元にあって、1ドルショップが近くにある人なら、5つの「コアブリック」(基本のブリック)を約1ドルで作れる。では、それらの作り方を解説しよう。(日本語版編注:「
LEDキャンドル 100均」で検索すると日本で入手可能なさまざまなLEDキャンドルが見つかります)
LEDキャンドルを分解する
電池入れを開き、3ボルトのボタン電池を取り出す。円筒型のケースから底の板(LEDホルダー)をこじ開ける。ここから使用する3つのパーツを取り出す。LED、電池、円筒形のケースだ。電気の流れ方を見せるために、LEDの足で電池を挟む。長いほうの足が陽極(プラス)に接するように。
電池ブリック
スクラッピー・サーキットの電源となるブリック。
・長方形に切ったダンボール(これがブリック)にバインダークリップをひとつ挟む。
・片方のつまみを前に倒す。
・クリップの反対側のブリックの端を、クリップのアームよりも少し長くなる位置で切る。
・クリップのつまみのうえに電池を載せる。プラスの面(ツルツルしたほう)が下になるように。
・反対側にもうひとつのクリップを挟み、つまみを電池の上に倒す。
・ブリック上のそれぞれのクリップの側に、プラス「+」とマイナス「ー」の極性がわかるように印を書き込む。これが、LEDを点灯させるときに役に立つ。
LEDブリック
コアブリックの中で、唯一の負荷ブリック、つまり電気を消費するものだ。
・LEDの足を開く
・ダンボールの端にLEDの長いほうの足をバインダークリップで挟む。こちらに「+」記号を書いておく。
・マイナスの足も同じようにクリップで挟み、「ー」記号を書いておく。
バインダークリップ・スイッチ
部屋の照明用のトグルスイッチをまったく同じ役割を果たす。
・ブリックの両側にバインダークリップを挟む。
・片方のつまみを倒す。このとき、もう1つのクリップに接触しないことが大切。触れてしまうようなら、ブリックをもっと大きく作り直す。
・もう1つのクリップのつまみを倒すと、つまみ同士が接触して回路が閉じる(オンになる)。つまみを上げるとオフになる。
プッシュスイッチ
押すとオンになり、手を放すとオフになるモーメンタリースイッチ。
・ブリックにバインダークリップを1つ挟む。
・つまみを倒す。
・倒したつまみに交差するようにゼムクリップを置く。
・もう1つのバインダークリップでゼムクリップを挟んで固定する。
・挟んだら、ゼムクリップの端を持ち上げて、下にあるバインダークリップのつまみから少し浮くように曲げる。
・ゼムクリップを押すと回路が閉じて電気が流れ、LEDを点灯することができる。
ダイヤルスイッチ
LEDキャンドルの円筒形のケースを利用したスイッチ。
・ブリックの両側にアルミホイルをスティック糊で貼り付ける。2枚のアルミホイルがブリックの中央で接触しないように。
・両側にバインダークリップを挟む。
ケースの裏の縁に、円周の半分から75パーセントぐらいの部分にアルミホイルを糊付けする。
・ブリックの中心に穴を開ける。
・一部分を真っ直ぐに伸ばしたゼムクリップを、ケースの穴とブリックの穴に通す。
・裏側に出たゼムクリップの端を曲げて抜けないようにして、粘着テープで貼る。長すぎるときは切る。
・ケースを回転させると、オンになったりオフになったりする。ケースの底のアルミホイルが、ブリックの両側のアルミホイルに同時に接触すれば電気が通る仕掛けだ。片方だけに接触しているときはオフになる。
スクラッピー・クリップ
ブリック同士の接続は、ワニ口クリップでも行えるが、スクラッピー・クリップも使える。スクラッピー・クリップの作り方はこうだ。およそ20センチに切ったアルミホイルを何回も折りたたんで細長くして、その両方の端を、ゼムクリップの輪が一重の側に巻きつけて、ペンチできつく締めつける。
回路を作ろう!
スクラッピー・クリップを2本、電池ブリック、LEDブリックを用意する。2つのブリックを、スクラッピー・クリップで接続しよう。電池ブリックの「+」のクリップと、LEDブリックの「+」のクリックをスクラッピー・クリップでつなぐ。次に、それぞれの「ー」のクリップをスクラッピー・クリップでつなげば、LEDが点灯する(うまく点かないときは、バインダークリップのスクラッピー・クリップが接触する部分を紙ヤスリで磨き、手で強く押さえてみるとよい)。この美しい輝きをしばらく眺めて、悦にひたろう。これは立派な電子回路だ!
次に、スイッチを接続して、回路をコントロールしてみよう。スクラッピー・クリップを1箇所外して、それをスイッチにつなげる。スイッチのもう片方のクリップと、外したところを、もう1本のスクラッピー・クリップでつなぐ。これで、スイッチを使ってLEDをオンオフできるようになる。
次は何をしよう?
www.scrappycircuits.comを覗いてみて欲しい。ブザーや魔法の杖や光センサーの作り方が紹介されている。世界中の発明家の卵にスクラッピー・サーキットを広めるためのKickstarterにも、ぜひ協力していただきたい。
材料
・LEDキャンドル(100円ショップでは2個セットで売られていたりする)
・小さいバインダークリップ10個
・ゼムクリップ(スクラッピー・クリップ1本につき2個。プッシュスイッチで1個)
・ダンボール
・アルミホイル
[原文]