Maker Faire Romeで、IntelとArduinoは心臓部にIntelのCurieモジュールを採用した新型ボード、Arduino 101を発表した。発売は2016年の第一四半期を予定。価格は約30ドルとなる(アメリカ以外では、Genuinoとして販売される)。
Curieに含まれる技術によって、Arduino 101には、6軸加速度センサー、ジャイロスコープ、Bluetooth無線通信用ハードウェアを搭載する。さらに、おなじみのArduino UNOと同じ入出力能力を持つ。
IntelとArduinoはいっしょになって、この共同ブランドのボードを使い、Arduino 101 in the Classroomという計画を推進しようとしている。11歳から14歳の子どもを対象に学校でコンピューターサイエンスとデザインの最先端技術を教えるというものだ。Arduino 101はまた、IntelとTurner Broadcasting Systemが近く放映するリアリティーテレビ番組、America’s Greatest Makersで、出場者たちが使用するCurieの規定ハードウェアにもなる。
Arduino 101
Arduino 101は、現在のArduinoユーザーには馴染みの深い形態をしている。70mm×55mm×20mmというArduino UNOと同じフォームファクターだからだ。しかし、よく見ると、オンボードのアンテナがあったり(上の写真の右下)、Curieモジュールとして知られる新しい低電力の32ビットプロセッサー、Intel Quarkマイクロコントローラーが搭載されている。このQuarkもさることながら、これまでと大きく違っている点は、6軸加速度センサー(ジャイロ)とBluetooth通信ハードウェアが搭載されていることだ。
Arduino 101のプログラミングは、Arduino UNOとまったく同じだ。Arduino IDEを使ってコードを書き、コンパイルして、アップロードする。Intelでは、Curieモジュールの固有の機能である加速度センサー(ジャイロ)やBluetoothなどを利用しやすいように、特別なライブラリを提供している。これらの機能のソフトウェアサポートが、発売時点でどの程度まで充実するかはまだ不透明だが、Intelのソフトウェア環境は常に改善されるものと期待できる。
Intel Curie モジュール
2つのIntel Curieモジュール。左に見えているテープは普通の幅のスコッチテープ
今年、CESの会場で初めてCurieを見たときは、Intelは小さなボタンサイズのモジュールにパッケージングしていたので、このボードはウェアラブル・プロジェクト用に発売されるものと思っていた。今、私たちが知る限りでは、あのモジュールの発売予定はないようだ。Curie搭載のArduinoというのが、このテクノロジーの新しい方向らしい。
これは、Intelの新しいGo-to-market戦略だ。ひとつ前のシステム・オン・チップであるEdisonは、Intel自身でパッケージングしている。Edison用のアクセサリーボードもIntelが作っている(SparkfunもEdison用アクセサリーボードを作っているが)。
Intelと Arduino
これは、IntelとArduinoの初めてのコラボではない。2年ほど前、これもまたMaker Faire Romeの期間中だったが、IntelとArduinoはGalileoを発表した。Arduino互換ヘッダーを持つマイクロコントローラーボードだ。Edisonと同じく、GalileoもArduino公認のボードだが、Curieを搭載したArduino 101は、Arduinoとの共同ベンチャーだ。公認ボードではない。Arduinoそのものだ。それだけにArduinoコミュニティの関心は高まるだろう。
Arduino に合わせる
Arduino 101の発表の前に、Curieの動作電圧は一般のボタン電池で動く1.8ボルトと公表されていた。Curieモジュールの動作電圧も同じだ。しかし、Arduinoエコシステムの動作電源は、I/Oに適切な電圧を送るために最低3.3ボルトとなっている。この共同プロジェクトの性格からすると、Arduino 101上のCurieはボタン電池では動かないだろう。
もうひとつ。Curieモジュールは、機械学習アプリケーションに使用できる128ノードのニューラルネットワークを持っていることで知られているが、それのソフトウェアサポートは、今回の発売には間に合わないという。Intelは、追ってサポートすると話していた。
これら2つの違いを別にすれば、Curieモジュールの使用はCESで発表されたときのものとまったく同じだ。
CTCのEpisode 1: Processing (Part III) をプレゼンする David Cuartielles
教室でのArduino 101
今回のパートナーシップの最後の局面は、Arduinoの共同創設者、David CuartiellesのCreative Technologies in the Classroom(CTC)プログラムをIntelがマーケティングすることだ。学習教材は、Arduino 101が新しい機能(Bluetoothなど)を増やすごとに更新される。すでに、Arduino UNOを使って、11歳から14歳の子ども向けに(と言っても万人にとって最適なのだが)、プログラミング、電子工作、メカニカルデザインなどを楽しく教えられるカリキュラムがある。アメリカではあまり知られていないが、CTCは世界の125の学校で採用され、約3,500人の生徒がこれで勉強している。Intelの後押しによって、このプログラムがより世界中の何千何万という学校に広がる可能性がある。
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