Electronics

2018.06.29

13歳のイタリアの少年たちが作ったスマートな次世代自転車「Ardubike」

Text by Yukin Pang
Translated by kanai

2018年5月12日、イタリアのボローニャで開かれたSchool Maker Dayで、5人の中学3年生(日本では中学2年生)が「Ardubike」を作って披露した。

IC9ボローニャ中学の教師、Luca D’Agostinoの指導のもと、この5人は30時間(週3時間ずつ)の課外授業に参加し、Ardubikeプロジェクトを進めた。

STEAM(科学、技術、工学、アート、数学)の能力を開花させて磨くことを目的に行われたこの授業では、彼らは次世代の自転車「2.0バイク」にどれだけの安全機能を加えることができるかに驚き、プロジェクトを開始した。Luca先生から最初のデザインの授業を受けると、彼らが思い描く自転車に持たせたいクリエイティブで重要な機能について話し合い、設計図を描いた。

その後、彼らは、Makeblock Inventor Electronic Kitに含まれているOrion(Arduino互換ボード)とMakeblockセンサーの使い方、ボードとセンサーの接続方法、STEAM教育用に開発されたプログラミングソフトウェア、mBlockでのプログラム方法を習った。この授業では、彼らは2つのグループに分かれて、それぞれ分解した自転車の部品を担当し、最終的にすべてを組み立てて自転車を完成させる予定となっていた。

完成した自転車には、ライト、方向指示器、コンパスを使った転倒警報器(S.A.F.E.:Signal Alert of Fall Embedded)が搭載されている。

システムの内容

Ardubike
・アドレッサブルRGB LEDテープ 0.5メートル 4本(前方と後方の安全灯と方向指示器用)
・Meジョイスティックモジュール 1個(方向指示器用)
・Me加速度センサーモジュール 1個(輝度4段階切り替え前照灯用)
・Meコンパス 1個(自転車の垂直の姿勢を確認し倒れそうなときに警報を鳴らす)
・Orionボード 1個

ヘルメット
・Orionボード 1個
・Meジョイスティックモジュール 1個(方向指示機用)
・Me RGB LED 4個(方向指示機用)

完成した自転車

Ardubikeには、乗る人の安全を守るための2つのシステムが組み込まれている。ひとつは周囲の人からの視認性を高めるためのもので、車幅灯(前方が白で後方が赤)、方向指示器(黄色)がある。もうひとつは、自転車が倒れそうになったときにトリガーされるもので、すべてのLEDが転倒して危険を知らせる。

仲間たち

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自転車が完成した後、彼らはこのプロジェクトのノウハウを活かしたもうひとつのプロジェクトを開始した。4つのRGB LEDとジョイスティックを使った自転車用ヘルメットはすでに作った。そこではMakeblockの部品を使ってウェアラブルな安全システムを開発したわけだ。このヘルメットは、来年にLuca先生が計画している新しいプロジェクトのプロトタイプになる予定だ。次は、自転車遠足を行った後に、Bluetoothモジュールを使って自転車用の安全アプリを開発することにしている(AppInventorを使用)。

ヘルメット

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MAKE:このプロジェクトのきっかけは?

新しいプロジェクトでは、子どもたちが熱中できて、個人レベルでも関われる個人的なものがよいと考えていました。そして、13歳の子どもたちには、現代に合った自転車を再構築するというプロジェクトが最高だと思ったんです。それがArdubikeです。最初の2時限を使って、自転車に必要な電子機器について学び、Makeblock Inventor Kitを学びました。そして、必要な道具を揃え、技術を身につけたところで、Ardubikeを組み立てました。

MAKE:いちばん難しかったのはどこですか? 解決にいちばん苦労した難問は?

Ardubikeでは、あまり問題はありませんでした。ただ、すべてを組み立ててプロトタイプの試験走行をしたとき、すべてのLEDを点灯させるにはバッテリーが小さすぎることがわかったんです(彼らはLEDが大好きで)。それを解決するために、ひとつではなく、2つのバッテリーを個別に積むことにしました。それで完璧に作動するようになりました。

MAKE:もし作り直すとしたら、どこを変更しますか?

どこも変えません。今年は計画もよかったし、予定どおりにすべてのステップを消化できたので、計画どおりにArdubikeが完成したからです。

MAKE:いちばん役に立った道具は?

コーディングに関する問題は、すべてmBlockが解決してくれました。Me 3 Axisを発見したときは大喜びでした。それで自転車に転倒センサーを搭載できました。

MAKE:Makeblockは、歩くロボットや電子機器が作れるキットですが、電子工作の経験が少ししかない、またはまったくない子どもたち(しかも13歳)の場合はどうでしたか?

Makeblockはピンで部品を接続できるので、とても簡単にプロジェクトを進めることができました。どんなものでも作れます。ちょっと配線するだけですからね。


英語版編集者より:このインタビューは、makeblock.comのYukinの取り計らいで実現しました。Makeblockは本記事のスポンサーではありません。この話がとても面白く、Makeblock Kitが実際にどのように使われているかを紹介する上でも適切だと考えて記事にしました。

原文