Fabrication

2015.11.06

ぴかぴかのTechShopがパリにオープン

Text by Dale Dougherty
Translated by kanai

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写真:Dale Dougherty

フランスで最初の、いやヨーロッパで最初のTechShopのオープニングセレモニーがパリで開かれた。この新しいTechShopは、今年の2月に発表されていたものだが、DIYショップのLeroy Merlinとサンフランシスコに拠点を置くTechShopとのパートナーシップにより設立されたものだ。2万平方メートルの名前はTechShop Ateliers Leroy Merlinといい、イブリー・スール・セーヌ市のLeroy Merlinの巨大な店舗の隣にある。2階建ての工房には150台もの工作機械が並び、その規模は本家サンフランシスコのTechShopを上回る。作業スペースや工具の多さも目を見張る。

「これらのマシンは、多くの人に自由に使ってもらえます」と、案内してくれたStéphane Calmesは胸を張って言った。彼はLeroy Merlinのプロジェクトリーダーだ。ローランド製の大判UV LEDプリンターの前に立ち、「あの店で」とLeroy Merlinの店舗を指差し、「材料を買ったお客さんがTechShopのツールを使ってそれを加工するのです」と期待を述べた。Calmesは、ローランドのプリンターで製作したカラフルなICのプリントで覆われたドアを例として示した。これは自宅ではできない加工だ。もうひとつの例として、天板に月面の写真を貼り付けたテーブルも見せてくれた。

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TechShopの案内をするStéphane Calmes

Calmesは、我々を金属加工コーナーへ案内し、それから木工コーナーへ連れていった。そこには昔ながらの工作機械といっしょに、ShopBotがケージの中に置かれていた。フランスの法律に従ってそのように置かれている。彼はウォータージェットも見せてくれた。「もっとも壮観で、いちばん高価な」マシンだという。このTechShopには、新しい安全性のための工夫がなされていると彼は話してくれた。ウォータージェットに人が近づくと、柱に埋め込まれたセンサーがそれを感知し、マシンを止めるのだそうだ。自転車用の工房もある。

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Mark Hatchは、オープニングセレモニーに集まった人たちに向かってスピーチを行った。「ツールのコストは90パーセント下がった」とHatch。それを、TechShopの会費で使えるようにすることで、エンドユーザーのコストを同等に下げることができたという。「TechShopは、創造的階級のための新産業革命を起こしたこれらのツールを開放しました。そして今、Leroy Merlinはこのツール革命をパリにもたらすのです」

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スピーチを行うMark Hatch

Leroy MerlinのCEO、Thomas Bouretは、こんな問いかけからスピーチを開始した。「なぜ、Leroy Merlinはこの冒険に出たのか?」彼によると、彼らは2011年からTechShopと話し合いを始め、メイカームーブメントについて学ぶために、サンフランシスコとニューヨークでMaker Faire を見学したという。彼は、メイカーはDIYの新しいセクターの先端であり、Leroy Merlinにとって重要だと考えている。また、メイカームーブメントは3つのトレンドによって定義できるという。ひとつは、こうした技術がみな民主化されたこと。ひとつは、アイデア、デザイン、データを世界中の人たちと共有できるようになり、新しい人たちが参加できるようになったこと。そして、熱烈なコミュニティが育っていることだ。

彼は、Leroy MerlinのTechShopが人々の「プロジェクトを創造し、製造し、分かち合う」になり、そこから革新的な製品が生まれてくるこを期待している。Leroy Merlinは、現在新たに2つのTechShopの準備を進めている。ひとつはLeroy Merlinの本社があるリール、もうひとつは、フランスアルプスのグルノーブルだ。全体で、フランスに5件のTechShopを建設する予定で、移動式ショップも作る計画だ。

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UVプリンター

Leroy MerlinのTechShopのジェネラルマネージャーはIsabella Iglesias-Musachioだ。彼女はワシントンDCのTechShopでも同じような役職についている。6カ月前にこのプロジェクトに加わり、DCから仕事を支えてきた。ビザが下りたのは3カ月前だ。「これは冒険でした」と語る彼女の温かい笑みに安堵を覚えた。彼女は、ドリームコーチ9人、フロントデスク管理者3人、エリアリーダー4人からなる16人のチームをまとめている。10月30日の正式オープンの日を本当に心待ちにしているようだった。彼女の新しいスタッフたちも同じ気持ちだ。

「TechShopは、興味を追求し、やがてはプロを目指す人たちに、完全装備のプラットフォームを提供します」と語るのは、パリでLe Fab Shopを運営し、昨年のMaker Faire Parisを主導したBertier Luytだ。「それはFab Labでのデジタルファブリケーションから発展したものですが、同時に、マシンが揃っていることが普通になるということも意味します」

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Techshopのために作られたカスタムドア

数年前、私はパリ周辺のFab Labやメイカースペースを訪ねたが、どこも狭くて予算も限られていた。そのため、メイカームーブメントもあまり盛り上がっていなかった。このTechShopは、それを変える可能性がある。新しいMakerを呼び込み、彼らに実験や協力の機会を与える。ほんの数週間前、ピッツバーグのMaker Faireで、私は多くのMakerに会い、彼らのコミュニティにTechShopがあるからこそ実現した多くのプロジェクトを見た。1カ月前、TechShopサンフランシスコでは、支援技術のメイカソンが開かれ、19のプロジェクトが技術を競った。大勢のMakerがいっしょになってスキルや専門知識を出し合い、互いに助け合う様子を見るのは、とてもエキサイティングだった。

TechShopのロケーションについて尋ねると、「いや、よくないです。でも、とにかく人は集まりますよ」とTechShopのスタッフのひとりは答えてくれた。もちろん、Leroy Merlinとしては、材料を買ってすぐに最新の工作機械で加工できるロケーションは利便性が高いと踏んでいる。しかし、その潜在的なインパクトはずっと大きい。とくに、ここを中心にコミュニティが作られたときだ。どれだけのマシンが揃っているかも重要だが、どんな人が集まるかも同じぐらい重要だ。

TechShopは、パリの街でメイカームーブメントを実現させる。さまざまなスキルレベルのMakerたちの能力を拡大し、これがなければ縁遠かったであろう多くの人たちをMakerにする。おめでとう、TechShop et Leroy Merlin。

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原文