Fabrication

2013.04.03

DeltaMaker:ロボットと3Dプリンターの結合

Text by kanai

Top Shot

先日、Kickstarterで成功を収めたDeltaMakerは、デルタロボットのプラットフォームで作られたエレガントな3Dプリンターだ。デルタロボットは、その驚くほどの速度と敏捷性に定評があり、何十年間も工場での物品の取り出しと梱包に使われてきた。DeltaMakerは、MakerSlideアルミ押し出しフレームにDelrin V字ホイールとベアリングを組み合わせて作られているため、通常のプリンターよりも動きが速い。たとえば、低速な長ネジと違い、Z軸方向の動きに制約がない。

私は、 DeltaMakerのメカニカルエンジニア、Zack Monnigerから、プリンターとデルタロボットについて話を聞くことができた。

やあ、Zack。あなたのDeltaMakerチームでの仕事を教えてもらえますか?

私には2つの大きな役目があります。ひとつはグループのメカニカルエンジニアです。つまり、DeltaMakerの「仮想」バージョンの維持管理と、あらゆる細かい部品設計と、それにともなう製図の責任者です。成り行きとして、部品表と基本的な工学資料の管理規定の事実上の責任者ということになっています。

2つめの役目は「ビジネスマン」です。たぶん誰もやりたがらない退屈な仕事です。

見ていると面白いという以外に、3Dプリンターをデルタ構造にすることの利点は?

工学設計の観点から言えば、デルタにはいくつかのクールな特徴があります。3Dプリンターの設計では、メカニズムの速度(プリント速度)と、メカニズムの精度と、製作サイズとの駆け引きがあります。

これは基本的に、運動量との戦いです。可動パーツの重量が少ないほど有利になります。DeltaMakerでは、どちらもベストな状態で得ようと考えました。ハイエンドの直進運動システム(MakerSlideアルミ押し出しフレームで構築)を採用し、可動重量を最小限にしました。これにより、大きなものもプリンターヘッドが対応できるようになり、速度も向上しました。

Maker Slide

通常のデカルト座標式のものと比較して、デルタマシンを設計製作するうえで困難だったことは?

いろいろな意味で、デルタのアプローチはより自然に適合するように感じます。前にも話したとおり、速度、精度、製作サイズは3Dプリンターの制約の中で駆け引きをしています。工場でのデルタの動きをビデオで見ると、システムがいかに速く正確に動けるかがよくわかります。動くシステムという観点から言えば、しっかりと作られたデルタが、パーソナルな3Dプリンターには最適のプラットフォームです。正しく設計すれば、サイズも自在になります(小型化も大型化も可能)。

ソフトウェアの面では、JohanのRostockプロジェクトが助けてくれました。オープンソースのファームウェアで、プリンターを三角座標に対応させています。オープンソースのソフトウェアのソリューションとして、Marlin、Slic3r、Repetier Hostがあり、我々のような新参者でも素晴らしいハードウェアが作れるわけです。

プリンターには3Dプリントした部品は使われてますか?

プリントしたハードウェアを使った製品を出荷するつもりはありません。3Dプリントはその役割を果たしました。今は、製品としてのハードウェアに移行するときです。

DeltaMakerの速度とプリントサイズの制限は?

プリント範囲は直径10インチ(約25センチ)、高さ11インチ(約28センチ)に最適化されています。この設計の素晴らしいところは、どの方向にもスケールできることです。私たちは、最大200nm/秒で動くリアルタイムの映像をYouTubeで公開しました(下のビデオ)。プリントしたパーツを工業製品と置き換えることで、これをさらに向上させていきたいと思っています。

デルタボットのセットアップと調整はどれほど複雑なのですか?

全体的な難しさは他のシステムと同等でしょう。私たちは自動調整機能を計画しています。今、それに取り組んでいるところです。デカルト座標のマシンと違うのは、XYZが実際に動くシステムから抽出されることです。どちらのシステムでも、機械的にもソフト的にも調整は可能ですが、デルタのメカニズムの場合はソフトでの調整のほうが自然にフィットする感じです。私たちはそこにフォーカスを当てています。

3D プリントの未来にいちばん期待することは?

私は10年以上、この業界で設計技師として3Dプリンター技術を頻繁に使ってきましたが、私たちはそれを「ラピッドプロトタイピング」と呼んでいました。私たちは、2〜3人のラボがあり、そこに大型の業務用マシンが3〜4台あって、エンジニアリングの大きな戦力になっていました。この技術は何十年も前からあったのですが、工業の分野で発展し、大きな資本のあるビジネスでの有用なテクノロジーとなりつつあります。

私が期待するのは、製品開発の民主化です。DeltaMakerは、製品としては、低価格な3Dプリントで実現しました。Kickstarterのようなメカニズムがあり、3Dプリントのような技術が使えれば、小さなチームでも、ほんの数年前に比べても数分の1のコストで製品を作って消費者に届けることができます。大きな資本がなくても、製品を作って市場で試すことができるのです。

DeltaMaker

DeltaMakerホームページ
Delta Robotの情報

– Eric Weinhoffer

原文