Electronics

2017.02.22

Amazon Dash Buttonを「寄付ボタン」にハックする

Text by kanai

現在アメリカで起きていることで、インターネットは、多くの人にとって、悲しみと怒りとフラストレーションの源になってしまっている。ニュースを読めば悲しい話ばかりで、無力感に襲われ、何をしてよいかわからなくなる。そんなときに、ちょっとでもいいことができたら? それが、Nathan PryorのACLU(アメリカ自由人権協会)Dash Buttonの目的だ。このボタンを押すごとに、自分の銀行口座からACLUに5ドルの寄付が送られる。

Photography by Nathan Pryor

Pryorは、彼の友だちの何となく言い出したAmazon Dash Buttonで寄付をするというアイデアを実現しようとして、これを作った。「こう考えるようになったのです。即座に誰かを喜ばせることができるアイデアを実体化できないかと。ボタンを押せば、本当にいいことができる」と彼は言う。

Amazon Dash Buttonは、初心者のためにアマゾンが考えた賢いデバイスだ。大好きなお菓子や、洗剤や、飲み物など、日常使っている製品の近くにこのボタンを置いておき、そのストックがなくなったときに、ただボタンを押すだけでアマゾンに注文ができるというものだ。多くの人がそうだろうが、Pryorも「一度もDash Button(というかIoT製品)を使ったことがなく、このボタンはちょっと馬鹿げていると思っていた」という。

ACLU_Dash1

彼は、アマゾンからカスタマイズ可能なIoTボタンを購入した。品物が届くまでの間に、彼はACLUに寄付されるようスクリプトを書き始めた。ACLUのページにはAPIがないため、スクリプトは寄付フォームを読み込んで、書き込んで、送信するという形になった。彼は「バグで自分のクレジットカードの上限まで払ってしまったりしないように」プリペイドカードを買ってスクリプトのテストを行った。その日の終わりまでには、彼はスクリプトを完成させ、テストだけですでに35ドルをACLUに寄付した。それから数日間、ボタンの到着を待っていた彼は、スクリプトを洗練させ、確認のテキストメッセージを加えることにした。

ACLU_don

ボタンが届いたとき、順調だった航海がストップした。ボタンはiPhoneアプリとプラグ・アンド・プレイのはずで、最初はうまく機能していたようなのだが、トラブルシューティングに数時間もかかってしまった。「うちのWiFiの問題かと思いました。またはプロバイダーが特定のポートをブロックしているのか。あらゆる要素を探りました」と彼は言う。結局、彼は自分の手でボタンの設定を変更して、やっと動作するようになった。あとは見栄えがいいようにステッカーを貼って、この話をインターネットで公開するだけだ。

ACLU_dash_button_construction-1

いろいろあったが、このプロジェクトが驚くほど簡単だったとPryorは言う。AWSのコーディングを始め、あれこれ詳細を調べたこと、そしてPythonでの初めてのプログラミングを経験したのにだ。Pryorは、このプロジェクトを発展させる気持ちはないそうだ。別のチャリティーにリンクさせる予定もない。だが、「他の団体がこうした製品を出してくれることを期待している」と言う。

Pryorが作ったこのボタンは、最終的には、このプロジェクトの後押しとなるコメントを書いてくれた友人のKatherineへプレゼントされることになった(もちろん、銀行口座のリンクは彼女のものに書き換えられている)。他のMakerたちに向けて、Pryorはこう助言する。「『もしこうだったら』とか『こうなったらいいな』という軽い気持ちのアイデアに耳を傾けることだ。それが自分のアイデアでも他人のアイデアでも、実現可能か考えてみよう。そうして。作ってみよう」

ACLUダッシュボタンを作りたい方は、スクリプトがここにある。また、Pythonの処理に関する詳細はここにある。彼の今後のプロジェクトに興味のある方は、彼のウェブサイトを見てほしい。

原文