Fabrication

2018.01.24

“なんでも作れる夢の箱” ではなく、日常の道具として3Dプリンターを使う

Text by Tyler Winegarner
Translated by kanai

3Dプリントがホビイストの間に普及してから数年になるが、いまだにおもちゃでしかないという評価に甘んじている部分がある。ポップカルチャーのフィギュアやら、クリスマスの飾りやら、つまらない小物やらなにやら、そんなものばかりプリントしてるように見られているが、3Dプリンターにはもっと大きな力がある。単純なものなら、パーツやツールや治具などを簡単に試作できる。自分でデザインもできるし、インターネットに蓄積されたデザインを使うこともできるのだ。

ThingiverseやRedditの中の/r/functionalprintは、3Dプリンター活用のための絶好の入口だ。ちょっと探せば、困っている問題をすでに解決した人の答えや、解決した方法などを知ることができる。それともなければ、家の周りで何かが壊れるのを待つことだ。オーブンのドアの取っ手やリモコンの電池の蓋などは、よく壊れる。そのときこそ3Dプリンターを実用的に活用するチャンスだ(コツは、まず検索すること。必要なパーツをすでに他の人がデザインして公開している確率は高い)。

自分でパーツをデザインするようになれば、自分の3Dプリンターの可能性は飛躍的に広がる。SketchUpやTinkercadといった手軽に使えるデザインツールがたくさん揃っている。だが、OnshapeやFusion 360などの高度なツールに投資して勉強しても損はない。パーツのデザインでは、安い物でかまわないから、デジタルノギスのような細かい寸法が測れるツールがあると大いに助かる。また、短時間でテストプリントを行えば、そのパーツが目的の部分にぴったり合うかどうかを確かめることができるし、いい勉強にもなる。時間と材料を使って本番のパーツを作る前に、ぜひこれを行ってほしい。

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ハードウェアへの接合

3Dプリンターを持つということは、小さな工場を持つことと同じだ。だが、何かにプリントしたパーツをつなげて使うときには、ちょっとした技が必要になる。取り付けたり外したりを繰り返すパーツの場合は、ネジとナットを使うと便利だ。その場合、熱圧入ナットをプリントしたモデルに埋め込めば、ネジが使えるようになる。または、ナットをはめ込む六角形のくぼみを作っておくのもよい方法だ。ネジの径は、一般的によく使われるものを選んでおくとデザイン工程が楽になる。また、いろいろな長さのネジに対応できるようにしておくことも大切だ。回転するパーツの場合は、ベアリングを埋め込むとよい。金属にくっつけて使うものなら、ネオジム磁石を埋め込むという手もある。

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素材を選ぶ

3Dプリントしたパーツは、その他の製造方法で作られたパーツに比べて弱いのが普通だ。だからと言って、3Dプリントパーツが使えないというわけではない。家庭用の熱溶解積層法プリンターでプリントしたパーツは、大きな機械的圧力に耐えることができない。とくに、Z軸方向の張力には弱く、層が剥がれてしまうことがある。それを避けたいときは、モデルの角度を変更して、プリントの方向を変えることだ。面取りやフィレットも、パーツの剛性を高める手段となる。インフィルのパターンや密度を調整することも大切だ。素材の選択も強度に影響する。ABSは冷えると縮むという欠点があるが、PALのようにもろくない。高温に設定できるプリンターを持っているなら、ナイロン、PETG、ポリカーボネートといった素材を試してみるのもよいだろう。だが、3Dプリントの最大の利点は、簡単に作り直せることにある。壊れたら、またプリントすればよいのだ。

ほんのわずかであっても、パーツをデザインしてプリントすることで問題が解決できるという感覚を身につければ、世界が違って見えてくるはずだ。自分だけの問題を解決できる特別なパーツが欲しいと思うようになれば、もうそれを作る力が身についたのと同じことだ。特別なブラケットや電動工具の治具ばかりでなく、家や職場の整理に役立つフックを作るだけでも、3Dプリントは、デザイン、創造、発明の大いなる機会を与えてくれる。

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実用事例

3D プリント聴診器

経済的に恵まれない、または戦争で荒廃した地域の医師たちはこの聴診器モデルを利用している。材料費はほんの数ドルだ。

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ケーブル不要のアンテナ

空中にはデジタルの高解像度テレビ放送の電波が飛び交っている。このアンテナがあれば、それをキャッチできるのだ。このフラクタルベースのモデルは、とても効率がよい。

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自転車のライトのマウント

私の新しい自転車は、太めのハンドルが気に入ってるのだが、前から使っていたライトのマウントが合わなくなった。そこで、Fusion 360を使ってこれを急いでモデリングした。

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原文