Fabrication

2018.07.13

[MAKE: PROJECTS]オープンソースのDIY点字プリンター「OpenBraille(オープンブライユ)」

Text by Carlos Campos
Translated by kanai

このプロジェクトは、私がAlvinoに出会ったことで始まった。彼はバハマの出身だが、生まれつき目が見えない。今は政府から点字プリンターに補助金が出るカナダに移住しているが、それでも点字プリンターは高価で、修理代も馬鹿にならない。そこで、彼がアコーディオンを弾くときに点字の楽譜が読めるよう、点字プリンターを自作しようと考えた。

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最初に思いついたのは、ピンとロータリーエンコーダーを組み合わせて、新しい仕組みの点字プリンターを作ることだった。市販のプリンターは、一気に衝撃を加えて、一組の点字をエンボスする(盛り上がらせる)が、私が考案したOpenBraille(オープンブライユ、Brailleは「点字」の意味)は、物理的なエンコーダーとローラーを使う。これだと、エンボスは少しずつ作られるが、小さな力で済み、部品も3Dプリンターで作れる。

私はデザインとエンコーダーのプリントを開始した。

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エンボス用のヘッドが紙の上を前後に動き、3本のピンが点字の点を打っていく。これらのピンは、3Dプリントした3つの独立したトラックのあるエンコーダーホイールによって上下する。カムとカムフォロワーによるメカニズムで、正確に点字が形成される仕掛けだ。

ピンは釘と六角ナットから作られている。機械加工が必要な唯一の部品だ。しかし、ドレメルと万力があればできる。

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残りのメカニズムは、3Dプリンターによく使われる機構と合板で組み立てた。

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3日間、昼夜作業した後、最初のカードをエンボスできるまでになった。Alvinoにそれを渡すと、彼はメッセージを読み取ってくれた。それには「Hola, Alvino」(やあ、アルビノ)と書いてあった。

この点字プリンターは既存の3Dプリンターの部品をベースにしているので、プログラム作業も少なくて済んだ。私は、Arduinoのためのファームウェアを書き換え、点字をG-codeに変換するプログラムをPythonで書いた。

OpenBrailleは、私と私のルームメイト、Christelle Fournierで結成したホームメイドラボ、LaCasaLabの作品だ。Sensorica、Eco2Fest、そして、ユーザーインターフェイスをプログラムしてくれたDavid Pacheに感謝したい。またこのプロジェクトは、2017年に開かれたInstructablesのArduinoコンテストで大賞を受賞した。

このプロジェクトは、決して完成したわけではない。オープンソースプロジェクトのマシンなので、このデザインを他の人たちが磨き上げてくれるものと期待している。もし興味がおありなら、また手伝っていただけるなら、チュートリアルを見て欲しい。OpenBrailleのコミュニティーを一緒に作りましょう。

その他の資料

[+] 3Dプリント用ファイル

[+] プロジェクト用コード

[+]必要な部品
・3Dプリントする部品(thingiverse.com/thing:2586738から無料の3Dファイルをダウンロード)
・Arduino Megaマイクロコントローラー
・RAMPS 1.4 3Dプリンター・コントローラー(Arduino Mega用シールド)
・ステッピングモーター・ドライバーボード 3個
・エンドストップ 2個
・サーボモーター(マイクロサイズ)
・ステッピングモーター 2個(NEMA 17サイズ)
・リニアシャフト 2本(8mm径、400mm長)
・シャフトクランプ 4個(8mm)
・ネジシャフト 2本(M8、400mm)
・ピロー形軸受 4個(8mm)
・リニア軸受 4個(8mm)
・シャフト用ユニバーサルジョイント 2個
・ネジ(M3)
・電源、スイッチ(直流12V、10A、120W)
・プリンターカートリッジ
・釘 3本
・六角ナット 3個

原文