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2018.07.19

身近な野あそびから森で生きる方法まで――新刊『生き物としての力を取り戻す50の自然体験』は7/26発売!

Text by editor

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「Make:」から、『子どもが体験するべき50の危険なこと』『退屈をぶっとばせ!』に続く、ユニークなアクティビティブックが刊行されます。

書籍概要

『生き物としての力を取り戻す50の自然体験――身近な野あそびから森で生きる方法まで』
カシオ計算機株式会社 監修、株式会社Surface&Architecture 編
2018年07月26日 発売予定
A5判/236ページ
ISBN978-4-87311-842-0
定価2,376円

●全国の有名書店、Amazon.co.jpにて予約受付中です。
●目次など詳しい情報は、O’Reilly Japan – 生き物としての力を取り戻す50の自然体験を参照してください。

書籍紹介

本書は、身近な公園や街中で体験できる野遊びから、本格的なアウトドアシーンで楽しめるブッシュクラフト(森や藪で何かを作る技能)まで、感性や心の野生を取り戻すユニークな50の自然体験を紹介した本です。

自然体験といっても、山登りやキャンプ、アウトドアのガイド本ではありません。どんな体験が書かれているのか、少しだけ、本の中身をご覧いただきましょう。

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誰でもいますぐにできる最も身近な自然体験がこれ。アスファルトのすき間から勢いよく顔を出す「スキマ植物探し」です。意識してみると、本当にいろいろな種類のスキマ植物があることに驚かされます。

お子さんのいるご家庭は、夏休みの自由研究のヒントにぜひご活用ください。話題の「粘菌」探しや、葉脈標本づくり、さまざまな場所から集めた土の色の違いを実感できる「土絵の具」づくりなど、親子で楽しんではいかがでしょう?

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海に出かける予定があるなら、波辺の漂着物を集める「ビーチコーミング」も楽しそうです。

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自分の住む地域の流域地図を描く、なんていう体験は、大人のほうがハマってしまいそうです。

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腕に覚えのあるお父さんには、ぜひ「五寸釘を七輪で熱してナイフを作る」という野鍛冶体験にチャレンジしていただきたく思います。

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自然の匂いを抽出して香水を作ったり、身近な薬草「オオバコ」で軟膏を作る、という体験は、女性にもおすすめです。

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「食べる」ことをテーマにした章もあります。担当者の子ども(4歳)は、秋になると、毎日ポケットに大量のドングリを忍ばせて帰ってくるのですが、本書にはドングリからデンプンを抽出してドングリもちを作る体験もあります。これは秋に絶対試してみよう!と思っています。

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各記事を執筆している著者陣がユニークなのも、この本の魅力です。写真家、研究者、発酵クリエイター、サウンドデザイナー、照明デザイナー、おさかなマイスター……など、さまざまな肩書を持つ“その道のスペシャリスト”が、それぞれの視点から、自然とのつながりを再発見できる体験を提案しています。

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生物学者・福岡伸一先生のコラムも

読み進めていくと、自然は何も特別なものではなく、わざわざ山や海へ出かけたり、専門の装備を備えて出かけなくても、身の回りのふとしたところにあるものだと気づかされます。

どの記事も写真や図版が豊富で、ページを眺めるだけでもわくわくした旅に出かけられそうです。それぞれ難易度や所要時間、必要なものなどがまとめられているので、ページをめくってみてビビッと感じたものから、どんどん試してみてください。

さらに、Maker Faire Tokyo 2018では、本書の中の内容を実際に体験できるワークショップも予定されていますので、こちらもぜひ足をお運びください!

ブッシュクラフトスペシャリスト 川口拓のペグ作りでナイフの基本を身につけよう
(『生き物としての力を取り戻す50の自然体験』出版記念ワークショップ)
日時:8月4日(土)13:00-14:00、15:00-16:00、17:00-18:00、8月5日(日)11:00-12:00、13:00-14:00、15:00-16:00
参加費:500円
所要時間:60分
申込方法:当日アトリウムチケットブースにて申し込み

 


●本書より(岡村祐介「生き物としての力を取り戻す」より抜粋)

本書は、自然の新しいリアリティを体験から感じ、人を拡張させることを目指している。では、どう拡張させるのかというと、それが本書のタイトルである「生き物としての力を取り戻す」ということだ。生き物としての力と言うと、身体的なたくましさの方が思い浮かぶが、本書で意図するのは、身体的な野生やたくましさよりも、むしろ抑圧されない、開かれた感覚や心の野生である。

先日、六本木で開かれた展覧会で中沢新一さんは、「野生への入り口」と題し、こんな文章を書いている。

「農業革命が開始されるとともに、感覚と思考は次第に自由さをうしなっていった。感覚は美の基準にしたがって統御されるようになり、思考は合理性の基準にしたがって管理されていくようになった。野生の美に代わって、文明のおしゃれが優勢となり、野生の思考に変わって、家畜動物さながらに合理性によって管理された『飼いならされた思考』が支配的になっていき、いつしか野生の感覚と思考は世界のニッチに追い込まれていった。」

企画展「 野生展:飼いならされない感覚と思考」
21_21 DESIGN SIGHT

この文章を読んだ時、まさに考えていることを言い当てられて、はっとするような思いがした。「野生の感覚と思考」この2つこそ生き物としての力であり、自然の新しい姿を捉える体験から取り戻そうとしているものだ。

最後に、野生の感覚や思考を取り戻すためのちょっとしたコツを紹介したい。それは、「自分もまた自然の一部をなす生き物である」という意識を持つことだ。都市で生活していると自然はどうしても鑑賞するものとして向こう側のものになってしまう。自然のなかにあるものを食べ、道具を作り、そこで寝る、そういう多様な関係性のもとに自然と向き合うことで、きっと野生の感覚と思考を開くことができる。

人は癒しを求めて自然に触れる。しかし、本来は自分も自然の一部なのだ。自分もまた自然の一部をなす生き物であるという意識は、儚い人間の世界よりも雄大でプリミティブな世界に属しているという感覚から、心に力を与える。「生き物としての力」とは、こうした意識の元に、鋭い感性や感覚をもち、困難を軽やかに超えていく力なのだ。

本書で紹介する体験が、生き物としての力を取り戻すきっかけとなり、読者が自分自身のなかに、野生をふたたび見いだせることを願っている。