Fabrication

2018.10.24

バンクシーの作品を切り刻む額縁を3Dプリントするデータが公開された

Text by Mike Senese
Translated by kanai

反動的で謎多き大人気のストリート・アーティスト、バンクシーが、恐らくこれまでの中でも最高の、大胆な悪戯をやらかしてくれた。オークション会場で、彼の版画作品がおよそ100万ドルで落札された直後、大勢の眼の前でその版画を切り刻んでしまったのだ。このときの様子は大ニュースとなって世界中で報道されたが、同時にそれは、会場にいた人たちの、わけのわからない恐怖と驚きの表情と相まって、非常に面白い映像作品となった。

その後、バンクシー自身が公開した断片的な情報をもとに、版画を自動的にシュレッダーにかけるメカニズムに関する論議が広がった。会場ではシュレッダーは途中で止まってしまったが、あれはわざとなのか? 本物の版画を切り刻んだのか。それとも、あらかじめ切ってある偽物を額縁の下から出して見せたのか? これを競売にかけたオークションハウスのサザビーズは、グルなのか?

そんな中、ひとりのMakerが、バンクシーの作品を切り刻む額縁の製作を買って出た。絵を裏側に巻き取っているというコンセプトに基づくものだ。誰でも作れるように、彼はデザインファイルを公開している。

ブルックリンで活動するプロダクトデザイナーで機械エンジニアのDave Buchananは、Make:にこう書いてくれた。「3Dプリントで作ろうと思いつき、まずはアパートにあった身の回りの材料で、そのメカニズムを実験してみました。満足のいくメカニズムを完成させたあと、CADで細かい部分を仕上げていきました。2日間かけてプリントして(Prusa I3 MK3)、部品の調整に1日使い、土曜日に動画撮影しました」

Daveは「鉛筆が持てるようになったときからアートを製作しています。アートとデザインを合体させることが大好きなので、これはまさに完璧なプロジェクトでした」と話している。彼のコンセプトは、昔ながらの紙を紙幣に変えるマジックをベースにしているという。

「私は以前から、バンクシーの大ファンです。これは、彼の最新のパフォーマンスアートの種明かしの実験でした。こうやったのだろうと考えたのですが、作ってみてわかったのは、実際に切ったのだろうということです」

Daveのinstagramはinstagram.com/davebuchanan90でフォローできる。

原文