Crafts

2019.06.20

コンピューターを用いた表現のための学校「School for Poetic Computation(SFPC)」YCAMにて開催

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今年の3月に開催された YCAM InterLab Camp vol.3「パーソナル・バイオテクノロジー」(レポートはこちら、#1#2)の記憶も新しい、山口県山口市の「山口情報芸術センター」[通称:YCAM(ワイカム)]にて、コンピューターを用いた表現のための学校「School for Poetic Computation(SFPC)」が開催されます。以下は、SFPC Summer 2019 in Yamaguchiの企画者の一人でもある城 一裕さんのコメントです。

僕がSFPCに衝撃を受けたのは、2013年の設立時のインタビューでした。その中では、設立者の一人のザカリー・リーバーマンが『School For Poetic Computation』という名前の由来を説明しているのですが、「よくコンピューターのコード、プログラムで、オーディオやビジュアルの表現をすることをクリエイティブ・コーディングと呼ぶけれど、その言葉を使うことには抵抗がある。なぜなら、クリエイティブ・コーディングと言ってしまったら、それは同時にノン・クリエイティブ・コーディングがあることを認めることになるし、商業的な感じもする。一方で詩(Poet)っていうのは基本的にお金儲けの役には立たないけれど、コードと詩の間には豊かな関係性があるように思える。それこそをこの学校で探求していきたい」ということを言っていて、おおっと思ったんですよね。

また、彼らは「More Poetry, Less Demo」というモットーを掲げています。これは、かつてMITメディアラボが掲げていた「Demo or Die」、とにかくDemoしなきゃ始まらないっていう有名な言葉(最近は、「Deploy or Die(実装か死か)」と言っている)に対するアンチテーゼのようにも思えて、競争すること・戦うことを是とするのではなく、YCAMもその理念として掲げている「ともにつくり、ともに学ぶ」ことに根ざした、表現と美しさのあり方について考えさせられました。

その後の彼らの活動を見ていると、ますます実際に確認してみたいという思いが強くなってきまして、昨年開催したYCAMオープンラボ2018では設立者の一人のチェ・テユンに来てもらい、当事者の口からSFPCの思うエデュケーション(教育)について話してもらいました。

プログラミング教育の必修化に際して、プログラミング的思考、の重要性が声高に叫ばれていますが、コンピュータの仕組みを知って、活用することができれば、それだけで良いのでしょうか。今回のSFPC in Yamaguchiは、YCAM自体のこれまでの活動も含め、既存の枠組から少し離れて、様々な視点から「コンピュテーション(計算)」による表現について考える機会になればな、と思っています。テクノロジーを、遊び、いじくり、改造する、ことを日々探求しているMakerの皆さんの受講、ぜひお待ちしています

詳しい情報、お申し込みは、https://www.ycam.jp/events/2019/sfpc/にて。締切は2019年7月9日(火)。応募者多数の場合は、参加者の多様性を重視して選考をおこなう、とのことです。