2019.08.07
Maker Faire Tokyo2019 レポート #2|フードテックが実現する培養肉や不思議な食品に次世代型食品リサイクル
回を追うごとにブースが増えているフードゾーン。このエリアでは空腹を満たすだけでなく、テクノロジーを駆使した調理方法や、不思議な食品によって好奇心も満たすことができる。今回は、そうした展示のなかからフードテックの文脈で面白かったものを紹介しよう。
細胞培養で「食肉」作りを実現するためのキットやマニュアル
動物を殺さない食肉を目指す「Shojinmeat Project」では、自宅できる培養肉に関する展示を実施。
都合により「培養肉」そのものの展示や試食は行っていないが、個人でも手に入れられる材料で作る「DIY細胞培養液」の材料とレシピ、細胞を増やすための「卓上純肉培養器」のプロトタイプ、培養の元になる細胞の摂取方法などを解説した自主制作のマニュアル本を展示している。
おいしい料理を科学する「分子調理」の一端をワークショップで体験
「分子調理学研究室@宮城大学」では、分子調理について知ってもらうためのワークショップを開催。料理と調理を化学や科学の観点から捉え、分子レベルでの加工方法を生み出し、おいしい料理を作り出すことを目指すのが分子調理だ。
このワークショップでは、事前に口に含むことで、酸っぱいものを甘く感じるようになる「ミラクルフルーツ」の体験を行なっていた。また、参加者には、メチルセルロースでできた「食べられる紙」のお土産も配布していた。
食品廃棄物の問題を生物の力で解決を目指す「黒い箱」
食料において「食べること」そのものと同じくらい大切な廃棄の問題。そこにハエの一種であるアメリカミズアブを用いて次世代型食品リサイクルで取り組んでいるのが「Grubin」だ。
展示されている独自開発したハエの飼育装置は、なぜか金魚鉢が載っている黒い箱。それに生ゴミを投入すると、ハエの幼虫(ウジ)がそれを食して成長し、それを養鶏の餌にするといった食品サイクルの確立を目指している。実際に企業の社員食堂に設置し、試験運用が行なわれている。
飼育装置は単にハエの幼虫を格納するだけでなく、さなぎになる直前の幼虫が高いところに上ろうとする性質を利用して自動的に幼虫を集める機能や、生ゴミの臭いを取り除く消臭装置などが組み込まれている。