Electronics

2020.04.20

サンフランシスコのハンバーガーショップが作ったオープンソースの手回し式「エアロック」で安全なテイクアウトが可能になった #DIY感染予防

Text by Keith Hammond
Translated by kanai

新型コロナウイルス危機の影響でレストランは店内の食事スペースを閉鎖し、テイクアウトのみの営業を強いられているが、ここに店員と客の両方の安全を可能なかぎり守ろうというDIYプロジェクトがある。サンフランシスコのロボット・ハンバーガー・レストラン、Creatorは、テイクアウト引き渡しウィンドウを開発した。これは小さなエアロックのような構造で、外の空気が店内に入らないように気圧が調整され、自動的に消毒するベルトコンベアまで備えられている。基本的にアルミのTスロットで構成されているが、McMaster-Carrでも買える金物と、ファイルが無料公開されている3Dプリント部品を数点使用する。

この混乱状態に免疫を持つ人間はいない。ハイテクなロボットハンバーガー店を運営する我々の友人たちも同じだ。しかし、Creatorには、他のレストランにはないものがある。彼らは、いつでも新しいツールを工夫し発明できるエンジニア集団なのだ。ハードウェア工学の責任者、Michael Balsamo(マイケル・バルサモ)と数名のエンジニアと製造要員たちは、先週このプロジェクトに飛びつき、それをオープンソース化した。この新たな現実と共に戦おうと、あらゆる小売り店を支援するために、ライバルのレストランをも含め、誰でも無料で使えるようにデザインを無料公開したのだ。

「うちのエンジニアたちは、外気から店内の人間を守るための空気を遮断しつつ、できあがった料理を密閉バッグに入れて運搬し、お客さんや配達スタッフに手渡せるようにする密閉ウィンドウを作るために徹夜でがんばりました」とチームは書いている。「密閉ウィンドウには、気圧を高めるシステムと、外気を入れずに商品を店の外に運び出す自動殺菌式のベルトコンベアを備えた特殊な運搬室によって機能します」

運搬室は、三洋電機の24ボルト65CFMファンを、簡単なLM317可変正電圧レギュレーターで調整して使っている。コンベアのベルトは、第四級アンモニウム消毒液を満たした20リットルバケツの中を通過する。客はインターフォンで注文する。料理を入れるテイクアウト用の袋は保温性で、開封防止シールを貼って徹底的に清潔さを保つようにしている。

「テイクアウト用トランスファーチャンバー」を自作する人のための設計図は、www.creator.rest/covid19で公開されている。完全な部品リストと必要な工具の情報、図入りの詳細な組み立て方、3Dプリント用ファイルも含まれている。3Dプリントを外注する場合は、金ノコ、タップを数種類、その他の基本的な工具があれば作れる。アルミのTスロットをサイズどおりに切断するには、チップソーがあるとなお便利だ。電圧レギュレーターの回路を組むときにはハンダごても必要になる。レーザーカッターがあればアクリルの窓のカットが楽だが、手でも切れる。購入先でサイズどおりにカットしてもらえるなら、それでもいい。

どうして手回しなのか?「手回し式にして早く作ることを目指したのです」とバルサモ。「これでも十分に使えます。電動にしたとしても、停電したときのことを考えると、手で動かす方法も必要になります。それも手動にした理由のひとつです。改造したい人は、どんどんやってください。電動化は簡単にできます。その1)我々も試したハッキーなやり方として、コードレス電動ドリルを使う方法。その2)プロ向けとして、ステッピングモーターとコントローラーを買ってきて、ボタンを押すと作動するように作る方法もあります」

共同創設者のSteve Frehn(スティーブ・フレン)はこう付け加えた。「手に入りやすい材料で作れるようシンプルであることを重視して、電動式よりも手回し式を選びました。ファンを除いて、世界中のどこにいても、この装置を作ることができます」

Creatorのスタッフは、透明な冷蔵製造ラインの中で調理温度を正確にコントロールして、人間が一切手を触れることなくハンバーガーを調理するロボットを開発したという、そもそも食品衛生にうるさいナードたちだ。このプロジェクトはいい宣伝になると、彼らは確信しているに違いない(彼らの新しい宣伝文句は「自分のハンバーガーに最初に触れる人間になろう」だ)。しかし、これは彼らの専門性と情熱を純粋に延長したものでもあり、さらにはレストランや小売店のコミュニティーへのプレゼントでもある。

詳細はCreatorのサイトで見ることができる。地元のレストランのために作ってあげたり、もっと安く作れる方法を考えたり、改良を重ねてみるのもいいだろう。

Creatorの驚異のハンバーガーロボットについてもっと知りたい方は、『How They Made: World’s First Cheeseburger Robot』(英語)をお読みください。

原文