Fabrication

2020.10.20

「Maker Faire Tokyo 2020」レポート #2 — “着る”モビリティ、交通デザイン研究所の「MOBILE WEAR」がバージョンアップ

Text by Takako Ouchi

新たなパーソナルモビリティとして、交通デザイン研究所の河田法之さんが提案する「MOBILE WEAR」。Maker Faire Tokyo 2019に続き、Ver.2にあたる「MOBILE WEAR Mk-II」がMaker Faire Tokyo 2020に登場した。「立ち姿勢」あるいは「座り姿勢」で移動できるというコンセプトのパーソナルモビリティだ。


立った状態


座った状態


風や紫外線から身体を守る外装


MOBILE WEAR Mk-IIの全体像(当日の配布資料より)

「パーソナルモビリティ」は自動運転と同等に以前から注目されている分野で、ときどき街中でも一人乗り・二人乗り用の自動車を見かける。セグウェイや電動キックボードなどもパーソナルモビリティのカテゴリーに入る。

交通デザイン研究所の河田法之さんは、開発のきっかけをモビリティが抱える問題を解決できるものが作れないかと考えたことからだったと言う。モビリティの問題にはさまざまな面がある。都市部においては交通の集中による渋滞や騒音の問題であり、一方地方では交通インフラの破綻が大きな問題になっている。環境問題で言えばエネルギー消費量も重要だ。


1人の人間の1kmの移動に必要なエネルギー量(当日の配布資料より)

もっと手軽に、かつエネルギーの消費も抑えた移動を実現できないかと、電動キックボードを使って試作に入った。それが「MOBILE WEAR」。服を着るように移動手段を持ち歩くことができれば、パーソナルモビリティの世界が促進するのではないかと考えたのだ。

MOBILE WEAR Mk-IとMOBILE WEAR Mk-IIの違いだが、Mk-Iでは機構部分に電動キックボードの部品を活用したが、Mk-IIではモーターやバッテリーなどを見直し、重量を約10kg軽くしている。


MOBILE WEAR Mk-IとMOBILE WEAR Mk-II(当日の配布資料より)


機構部分は根本的に作り直した


厳密な耐久テストはしていないというが「使用状況にもよるが2時間ぐらいと予想している」と河田さん

今後は、さらに10kgの軽量を目指し開発を続ける予定だ。外装部はまだまだ改良の余地がある。素材もそうだが、通気性を確保するデザインを採用することでファンを減らすなど考えていくという。