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2021.03.15

ご先祖さまの“一緒に作って分かち合う”体験を受け継ぐ『アメリカからやってきた、みんなで作るおもち、大福、おだんごの本』は3月27日発売!

Text by editor

本書は、もちの無限の可能性に魅せられて、研究を続けてきた日系アメリカ人の著者による、もち、大福、だんごのさまざまなレシピを紹介する書籍です。もち作りの基本から、レンジ白大福、抹茶もち、チョコもち、梅酒もちなどの大福の生地の作り方、それらと合わせるバニラカスタードあん、抹茶クリームチーズあん、チョコとピーナッツバターのあんなど、ユニークなあんの作り方を紹介。さらに、もちアイス、もちドーナツ、もちカップケーキなど、ついても、蒸しても、茹でても、オーブンで焼いてもよい、もちの特徴を活かしたレシピも紹介します。もちを作るすべての過程は、会話をはずませ、人とのつながりを育みます。本書は、大人から子どもまでいっしょに楽しむことができ、思い出を作ることができる一冊です。


●書籍概要

アメリカからやってきた、みんなで作るおもち、大福、おだんごの本
Kaori Becker 著、鈴木 英倫子 訳
2021年03月27日 発売予定
A5判/188ページ
ISBN978-4-87311-944-1
定価1,980円

◎全国の有名書店、Amazon.co.jpにて予約受付中です。
◎目次など詳しい情報は、「O’Reilly Japan – アメリカからやってきた、みんなで作るおもち、大福、おだんごの本」を参照してください。


「アメリカ、そしてヨーロッパのもち事情」鈴木 英倫子さん(翻訳)

このかわいいおもちの本はアメリカでのもちブームを背景に出版されました。ここでは、この本に興味をもった読者のために、そのもちブームについてご紹介したいとおもいます。アメリカで「Mochi」といえばもちアイスを指すようで、現在の流行はもちアイスがきっかけとなって始まりました。

もちアイスを1993年に初めて売りだした日系のお菓子屋さん、「ミカワヤ(Mikawaya)」は、2015年にアメリカの投資会社に買収されましたが、その後、2017年に「マイモ(My/Mo)Mochi Ice Cream」というブランドを立ち上げます。

マイモはウォルマートなどの大型スーパーチェーンで展開され、手軽に買えてヘルシーでかわいい、新しいおやつとして人気となりました。マイモのRussell Barnett氏は、“カラフルなもちアイスはインスタ映えし、ネット上のトレンドに敏感なミレニアル世代の間で人気となった”と、CNNEntrepreneurのインタビューで答えています。

西海岸やニューヨークの街角で人気のオリジナルもちアイス店では、アイスだけではなく、この本で紹介するようなおしゃれで甘い、デザート大福やおだんごがメニューに並んでいます。ニューヨークの「モチイ(Mochii)」ではフルーツが入った、写真映えするひとつ3ドルのもちを串にさして楽しむのがトレンドのようです。

もちワッフルやマフィン、もちドーナツなど、もち粉をつかった焼き菓子は、もちアイスのブームから少し遅れて、グルテンフリーでヘルシーなデザートに敏感な西海岸で人気に火がつきました。サンフランシスコには「サード・カルチャー・ベーカリー(Third Culture Bakery)」や「モッチル・モチ・ドーナツ(Mochill Mochi Donut)」といった、たくさんの人気店が誕生しています。

もちブームはヨーロッパにも飛び火し、ドイツでは「オー・モチ(O-Mochi)」がスーパーマーケットで手軽に買えるもちアイスとして人気です。イギリスでは、2010年に発売されたもちアイス「リトル・ムーン(Little Moons)」のハッシュタグ #littlemoons(https://www.tiktok.com/tag/littlemoons)が突如、2020年末からTikTokで、ビューアーが1億9千万を超え、空前のもちブームとなっています。

3月からNetflixで始まる、ミシェル・オバマ元大統領夫人を案内役にした新しい料理番組「ワッフルとモチ(Waffles + Mochi)」では、おしゃまなワッフルと、小さくてかわいいモチが主人公とのことで、ヘルシーでかわいくインスタ映えする、欧米でのもちブームはとどまることを知らないようです。日本でもタピオカの次は、この本で紹介されているようなカラフルでおしゃれなもちが人気になるかもしれませんね。

○参考情報

・Mikawaya とMy/Mo、もちアイス人気の歴史
https://www.sankei.com/premium/news/200214/prm2002140007-n1.html
https://ej.alc.co.jp/entry/20191001-nihongochosadan15

・ヨーロッパでのもち人気
https://newsphere.jp/culture/20200312-3/


「みんなで作れる不思議なおもちたち」松下典子さん(編集協力)

本書の特徴は、全編にわたって、たくさんの人におもちのおいしさ、楽しさを広めたい、という筆者の思いにあふれていること。みんなで、かんたんに、楽しく作れるように工夫されています。

誰でも簡単に作れるように、器具や材料、作り方はごくシンプル。大福づくりに使う道具は、耐熱ボウル、泡立て器、ゴムべら、そして電子レンジだけ。材料を混ぜて、レンチンして、ちぎって、あんを包むだけ。手間も時間もかかりません。なにより、ケーキやパン作りと違って、ふくらまないという失敗もありません。

みんなで楽しめるように、いろんな具材やフレーバーを使ったアレンジやデコレーションのアイデアがたくさん。チョコや抹茶、イチゴ大福、雪見だいふく風のアイスもちといった定番から、ハワイのココナッツミルクのプリン、ピーナッツバター、タロイモなど、ちょっと珍しい組み合わせもあったりします。ちなみに、この大福の皮は砂糖が多めでやわらかい、求肥タイプ。食べ慣れた大福とはちょっと違うかもしれません。とても甘くて、カラフルで、わくわくする不思議な外国のお菓子っぽく仕上がります。

後半では、もち粉を使ったパンケーキやドーナツ、ブラウニーなどアメリカの伝統的なおやつのレシピが紹介されています。甘い甘いグレーズをたっぷりかけて、まさにアメリカン。日本でも小麦粉の代わりに米粉を使ったお菓子作りが流行っていますが、さっぱりヘルシーなそれとは、まったく別モノ。もちもちして、うんと甘くて、食べ応えがあって、楽しい。これぞ、おやつの本質と言えましょう。

コロナ禍で、おやつを手作りしている家庭も増えていることと思います。今はまだ海外旅行には行けないけれど、アメリカからやってきた、おもちのお菓子でちょっぴり異国な気分を味わってみては。