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2022.07.05

ノッポな着ぐるみ、家族で作ったボードゲーム、指スケ。「Sendai Micro Maker Faire 2022」で見つけた3つの楽しさ

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2022年6月27日(土)宮城県仙台市で2回目となる「Sendai Micro Maker Faire 2022」が開催されました。感染症対策のための入場者数の制限(事前予約)という形ではありましたが、久しぶりに来場者の方をお迎えしてのMaker Faireとなり、来場者の方と出展者の方、出展者同士でも、感染対策に気を付けながらも活発なコミュニケーションが行われました。

出展者の方もエレクトロニクス系の方から、デザイン、デジタルファブリケーション系の方、ご家族での出展など幅広く、小規模ながらMaker Faireのエッセンスを満喫できるイベントとなりました。

本記事では、Sendai Micro Maker Faire 2022を共催していただいた、FabLabSENDAI – FLATの大網さん、小野寺さん、make道場の田中さんに、それぞれひとつずつ印象に残ったプロジェクト、出展者の方を紹介していただきます。

文字通り、頭ひとつ抜けている!

「Sendai Micro Maker Faire 2022」開始早々、会場に強烈な印象を残したのは、今年が初出展のmooryworks。紙粘土製のダミーヘッドを装着し、オーバーサイズのロングTシャツ(ちゃんと外が見えるように目の前はメッシュ生地を縫い付けている)を羽織ったスタイルで登場。自身の展示説明はもちろん、他のブースへの見学まで、この姿でこなす徹底っぷり。当然のように閉会までずっとかぶっていたので、他の出展者でさえ本人の素顔を見れた人は少なかったんじゃないかと思う。


遠くから見ると背の高い人がいるな、という印象だが、すごいなで肩で異変に気付かされる。他のブースにもこの格好で乗り込んでいくので、最高に楽しい

ジョークグッズ系の笑える着ぐるみが好きで、何かできないか考えていたところ、これなら頭にマネキンヘッドをかぶるだけで簡単に変身できる! と思いついたそう。2年ぶりの開催だったSendai Micro Maker Faireへ、Maker Faire独特の空気や楽しみ方を思い出させてくれた作品だった。


mooryworksで売られていたグッズたち。アイデアももちろんの事ながら、チョットしたアイコンのグラフィックや、細部へのこだわりがうれしい

そんなmooryworksのブースでは、レジ袋を圧着して作ったプラスチックバッグ、カーテン留め型のマスクなど、とんちが効いたアイテムが売られていた。ここ数年の創作物をまとめたアーカイブ本も、ページをめくるたびに思わず笑ってしまう作品で満たされており、思い付きを形にする楽しさが詰まっている(文と写真:FabLabSENDAI – FLATの大網さん)。

みんなで作ってみんなで遊ぶ、ものづくり大好き家族創作ユニット

私がご紹介するのは、山形を拠点に活動する家族創作ユニットの石川家(@ishikawakeart)さん。当日は、新作ゲーム「ひまつぶしダンジョン」と「ちいさくてヘンなものガチャ」を展示されていました。

「ひまつぶしダンジョン」は、12枚のコインと2つの赤いおはじきを使ったゲームです。コイン本体は3Dプリントして作られており、表には1枚1枚異なる内容の攻撃やアイテム名が記載されています。

ゲームの内容はとてもシンプルで、裏返しにしたコインを1つめくり、そこに書かれた指示に従っていくというもの。おはじきがプレイヤーのHP数を表しており、これがすべてなくなると負けとなります。コインの指示によってはHPが減ったり攻撃をかわすことができたりと、次はどんな指示を引き当てるのかとてもドキドキです。

私もゲームを体験させてもらいましたが、なんとすべてのコインを表にするというミラクルが発生! なかなかレアなケースだそうで、石川家のみなさんも驚かれていました。

石川家さんは、普段から色々なゲームを家族で遊ぶ中で「ここをこうしたらもっと面白いかも?」と、よくルールなどを改変したりハックしているのだとか。そのときに念頭に置いているのが、家族全員で楽しめるルールであるということ。小学生の娘さんにも分かりやすく、なおかつ大人でも面白いと感じるルールにすることを心がけているそうです。これは家族間のコミュニケーションツールとしてゲームを活用しているからこその視点だなと感じました。

また、テーブルには『ちいさくてヘンなものガチャ』という作品も。コロナ禍で外出が難しくなった際に自宅に導入した3Dプリンターで生み出された作品群だそう。

お子さんたちが思いつきを自分で3Dモデリングしプリントしているそうで、マシンにアクセスしやすい環境にあることを存分に活かしたプロジェクトです。ついつい何か役に立つものや意味のあるものを作らなければいけないと思ってしまいがちですが、デジタルファブリケーションがとても身近なものとして活用されている例に出会い、私ももっと思いつきをどんどん形にしていかないとな、と改めて思いました。

ちなみに私はこちらの作品を引き当てました。なかなか良いクラスのヘンなものだそうです。やったー!

今回も、自分では考え付かないような様々な作品に出会って知的好奇心が満たされつつ、こちらも負けてられないなという気持ちが湧いてきました。

出展された皆さま、ご来場いただいた皆さま、そしてオライリー・ジャパンの皆さま、大変ありがとうございました! また次回お会いしましょう!!(文と写真:FabLabSENDAI – FLATの小野寺さん)

無限指スケな「ミニチュアのスケボー」がステキだった!

指スケとは、2本の指を脚に見立ててトリック(技)を楽しむ約10cmほどのミニチュアスケートボード。小さいのでポケットに入れていつでもドコでも持ち歩き、天候や場所を気にせずにスケートボードの自由な空気を楽しめるスポーツ。

今回橋本さんと柴田さんが、Sendai Micro Maker Faireの会場の最奥部に展示していた「ミニチュアのスケボー」は、DJのレコードプレイヤーを彷彿とさせるストリートカルチャー感あふれる回転式の木製ターンテーブル。回転させることで、移動することなくその場で指スケを楽しみ続けられる仕組みです。

小さな指スケは、柴田さん作。デッキ(指を乗せるボード)は、突板という合板の小口(断面)をカバーして本物の木に見せるために用いることが多い薄い木の板を、強度を出すために木目が縦横交互になるように重ねて3Dプリンターで出力した型で上下から圧縮接着し、まわりを切り落とした力作。それに市販のトラック+ウィールを取り付けています。

実は柴田さん、スケートボードに興味を持ったのは今年の1月! それから、実物は大きすぎるので、少し小さなハンドスケートという両手の掌で楽しむスケートボードを作り始め、その流れから指スケ作りに取り組んでいるそうです。そののめり込み度&熱量に驚かされます。

円形コースは、柴田さんの指スケ活動に巻き込まれた系の橋本さん作。普通の合板で作られていますが、随所にこだわりのアナログ感満載! まずは天板にあるドーナツ状のコースは、22.5度と45度ごとにカットされているので、自由にコースの構成を入れ替え可能なモジュール方式。


モジュール式でコース変更自由自在

その円形の天板は、横にあるハンドルを手で回すことで回転する手回し式。だからユックリ優雅なスケーティングを楽しむのも良し、時には緩急を着けてちょっとトリッキーなスケーティングを楽しむのも、ハンドルの回し加減で自由自在に。

そして、さらなるこだわりは台を回転する機構の随所にも見られます。例えば、普通は木材同士を結合させる時に用いるダボを使った木製歯車で組まれたテーブルの回転機構や、安定した回転をキープするための上向きキャスターによる回転台の支持方法など。


キャスターで回転テーブルを支持

今後は、その定位置でトリックし続けられることを生かして、カメラで指スケを捉えて頭上のディスプレイで投映するとか、円形の回転台のまわりに3人ほどで同時にトリックを楽しめるスタンドタイプをバーなどに置いて多くの人が指スケを楽しんだり、そのトリックをみんなで見ながらワイワイ楽しめると良いな~などお話されていました。いいですね〜

指スケはやったことがないのですが、熱量を受け取ったので今度ダンボールで作ってみようと思いました。ではでは、Enjoy Making!(文と写真:make道場の田中さん)