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2022.11.14

おとでん通信 #21|今日もDMM.make AKIBAは元気に営業しています!(後編)— スタートアップ支援に始まり、趣味のユーザーまで変化・拡大するユーザー層と今後の展開

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こんにちは、乙女電芸部です。秋晴れが気持ちよく関東ではちらほら紅葉も見えてきましたね! 前回に引き続き乙女電芸部が拠点としているDMM.make AKIBAを特集します。今回はコミュニティマネージャーさんとテックスタッフさんにインタビューをして、AKIBAの今をさらに深堀りしていきます。


左から生田さん、山口さん、鈴木さん

今回インタビューに答えてくれたのはコミュニティマネージャーの生田さん、テックスタッフリーダーの山口さん、テックスタッフの鈴木さんの3人です。

少し皆さんの経歴をお伺いしたところ、生田さんはプライベートでヘボコン@2022西千葉の司会を務めるなど普段からメイカーコミュニティが大好きな方。山口さんはもともとカメラなどの試作メーカーにいらっしゃったという経歴、鈴木さんは個人でもものづくりされていて、コミックマーケットやMaker Faire Tokyoにも出展されています。……ということで、makezine.jp読者も親近感がわきそうな3人が答えてくれました!

あらためて、DMM.make AKIBAができた経緯について

乙女電芸部:そもそも、どういった経緯でDMM.make AKIBAはできたのでしょうか?

山口さん:クリス・アンダーソンが提唱したメイカーズ・ムーブメントの波にのるべく、2013年にDMMに3Dプリント事業部ができました。その後、DMMの会長はスタートアップ支援にも興味があったそうで、「ハードウェアをつくるなら場所が必要だよね」、ということでハードウェアスタートアップのためのシェア工房としてDMM.make AKIBAが誕生しました。

乙女電芸部:色使いなどが楽しくて入った瞬間にテンションがあがる空間ですが、DMM.make AKIBAがモデルや参考にしている施設などはありますか?

山口さん:ポートランドの活版印刷工場など古いアメリカの工場を参考にしています。とにかくワクワク感を大事にしていて、内装や什器にこだわっています。床材や入口のドア、ランプなどはアメリカの廃工場からコンテナで輸入しました。


レンガについたドア、配管がかっこいいランプ、カラフルな床材

乙女電芸部:スチームパンクっぽさがありますよね!

山口さん:そうですね。オフィスっぽくならないように、秘密基地っぽさを大事につくりました。

DMM.make AKIBAと秋葉原8年の変化

乙女電芸部:この度めでたく8周年を迎えられましたが、この8年で変化したことはありますか? DMM.make AKIBAの雰囲気だけでなく秋葉原の街の変化なども知りたいです。

鈴木さん:秋葉原の街は常に変化している雰囲気ですよね。この8年では若松通商やマルツの店舗数が減ったり、鈴商やヒロセテクニカルが閉店したり。一方でakiba LEDピカリ館は2号館ができたり、上海問屋の店舗ができたりホームセンターのオリンピックもできました! 高架下も再開発でSEEKBASEができたりしています。他にもあげればたくさんありますが……

乙女電芸部:もともと新陳代謝が激しい街ということですね。DMM.make AKIBAを使う会員さんの層に変化はありましたか?

生田さん:開設当初はスタートアップが多かったですが、だんだんスタートアップの割合は減って企業の新規事業部の方や地方製造業の方々が使う割合が増えてきました。そもそもハードウェアスタートアップの母数が減っていると思います。

山口さん:2014年のオープン時にはIoTやハードウェアスタートアップという言葉自体が盛り上がっている感じがありました。その後、2018年ごろに“量産の壁”が話題になりましたよね。3Dプリンターなどによってプロトタイプ制作に関してはたくさんの人が挑戦しやすくなりました。でも、その先の量産にいくには金型を設計したり工程図や指示書を書いたり、従来の製造業のやり方に合わせないと精度の高いものは作れません。イニシャルコストもかかりますし、ここで量産に踏み切れないスタートアップをたくさん見てきました。もちろんその壁を超えて量産し、販売しているスタートアップもDMM.make AKIBAはたくさん輩出していますが!

趣味でもDMM.make AKIBAは使える!

乙女電芸部:スタートアップ以外に趣味で使われる会員さんもいらっしゃいますか?

鈴木さん:これまで家でものづくりをしていた人たちが会員として増えている印象です。例えば定年退職をされた工作が趣味の方が3Dプリンタを使いにいらしたり、主婦の方がレーザーカッターでアクセサリーをつくるためにいらしたり。Fab機材が広く浸透してきたんだと思います。「機械を修理するためにどうしても手に入らないパーツがあるから、どうにか作れないか?」という相談が来たりもしますよ。

乙女電芸部:そういった相談にものってくれるんですね!

山口さん:オンライン入会面談や見学会も開催していますので、その際に相談していただけます。テックスタッフは平日の10:00-18:00は常駐しているので、もちろん会員になったあとも相談は随時受け付けています! DMM.make AKIBAの中ではつくるのが難しいものも、「どういうところに発注していいかわからない」という質問をよく受けるので、試作屋さんや板金屋さんなどを紹介したりしています。

機材とコミュニティの2軸がメリット

生田さん:町工場LT×DMM.make AKIBAというイベントを開催したり、会員さん自身が工場とつながれるようにするコミュニティづくりも積極的におこなっています。機材とコミュニティの2軸でメリットを感じていただけると思います。コミュニティマネージャーも現在は4名いるので技術相談以外は私たちに聞いていただければ、手厚くサポートします!


町工場LT×DMM.make AKIBAは50名以上の参加がありました!

全国のものづくりに関わるすべての人をサポートしたい

乙女電芸部:今後こんな人にぜひ使ってほしい! という人物像やグループ像はありますか?

生田さん:秋葉原を飛び出して全国のものづくりに関わるすべての人をサポートしたいと思っています! 2018年からファブスペース立ち上げ支援サービスを開始して、企業や大学の中にファブスペースをつくる事業をおこなってきました。DMM.make AKIBAのスタッフが機材選定だけでなく、運営も含めてコンサルティングするのでコミュニティが根付くように支援しています。


ファブスペース立上げ支援サービスでつくられた新潟県にある開志専門職大学KAISHI LAB

生田さん:また、これは先日リリースしたばかりなのですが、月額制オンラインコミュニティ「#ドットメイクラボ」を2022年12月(予定)に開設いたします。先ほど話した町工場LTのように、DMM.make AKIBAのなかで新たな出会いの場はたくさんつくってきましたが、なかなか秋葉原にこれない遠方の方でもコミュニティに参加していただけるようになります。皆さんのものづくりが加速するように、勉強会やミートアップなどのオンラインイベントも開催予定です!

乙女電芸部:最後に、今イチオシの機材はありますか?

山口さん:恒温恒湿試験機ですね。昨年リニューアルしました。有料機材ですが、DMM.make AKIBAの目玉のひとつです。試験機があるファブスペースはめったにありません。温湿度サイクル試験は24時間を10サイクルなど長時間行うので、他の施設だとなかなか予約が取りにくかったりします。ここでは今のところ利用者が少ないので、気兼ねなく使っていただけます。


恒温恒湿試験機

鈴木さん:24時間使えるはんだづけ環境もおすすめです。オシロスコープや安定化電源など自宅で揃えると値の張るものも会員なら無料で使い放題です。

生田さん:機材ではないですが、毎月開催しているワークショップも人気です。Maker Faire TokyoでおなじみのFRISKおじさんこと阿部さんもテックスタッフなので、FRISKおじさん直伝でヘッドホンアンプや真空管アンプが作れちゃいます! 非会員さんでも申し込めますので、ぜひ興味のある方はお越しください。
ワークショップ詳細・お申し込みはこちら

乙女電芸部:DMM.make AKIBAの現在についてたくさん答えていただきありがとうございました!


Maker Faire Tokyoに出展されている方はわかると思いますが、出展を繰り返すとどんどん顔なじみが増えていきますよね。DMM.make AKIBAの会員になるとそれが日常的になって、ものづくりに関わる顔なじみがもっともっと増えていきます!これからはオンラインコミュニティもスタートするということでさらに楽しみです。

現在の累計会員数は6,000名以上というDMM.make AKIBA。秋葉原らしい新陳代謝を繰り返してコミュニティが広がっていく様子を感じながら、今後も乙女電芸部は会員としていろいろなものづくりをしていきます!

EdgeTech+ 2022に出展

2022年11月16日-18日にパシフィコ横浜で開催される、EdgeTech+ 2022にDMM.make AKIBAブースが出展します!DMM.make AKIBA会員のスタートアップがたくさん並びますので気になる方はぜひお越しください。

そしてなんとオライリー・ジャパンのブース内にはMaker Faire Tokyoのブースもあります!そのなかで乙女電芸部も出展させていただくので、ぜひパシフィコ横浜でお会いしましょう。来場登録はこちら

おとでんの日常

DMM.make AKIBA8周年イベントで光るマイクロバッグワークショップを行いました。普段は子ども向けワークショップが多い私達ですが、電子工作を使った工作は、大人の方も新たな発見が多いので、皆さんに楽しんでいただけました!大人向けワークショップも定期的にやっていきたいな〜


皆さんのマイブームを聞いてワークショップをスタート!


型紙をあててバッグの生地を切り出すところからはじめました。


ポンチで穴をあけてから、ハトメパンチでハトメをつけます。


ブレッドボードの仕組みを説明してから回路作成


光るマイクロバッグが完成しました!