
2026.09.17
キーボード生成システム、着るキーボード、そして“ゆめかわいい”キーボードまで。Maker Faireならではのひと味違うキーボード — Maker Faire Tokyo 会場レポート #1
人間とコンピュータを仲立ちするデバイスとして欠かせないのがキーボードだ。人それぞれの手にフィットするキーボード生成システムや変わり種のキーボード、カワイイ世界を追求したキーボードなどが展示されていた。
キーの割り当ても提案してくれるオーダーメイドのキーボード作成システム
一般社団法人「未踏」は、17歳以下の小中高校生や高専生の開発を支援する支援プログラム「未踏ジュニア」を行っている。その未踏ジュニアのブースにあったのは、服部明人氏が開発したオーダーメイドのキーボードを設計するシステム「Kinetic Fit」である。一人ひとり異なる形をしている人間の手を3Dスキャンし、手の大きさや関節の位置関係などをもとに、理想の形状のキーボードを設計してくれる。

Kinetic Fitを用い、3Dプリンタで出力されたキーボード。中央奥に立っているのは3Dスキャナ
それだけでなく、「Kinetic Fit」はそれぞれのキーを押したとき、どの文字が入力されるかの割り当て(キー配列)まで提案してくれるという。その際の条件は、指先の移動距離を減らすこと、同じ指での連続入力を減らすこと、そして左右交互の指で入力するように調整すること。一般的なキーボードの「QWERTY配列」とはまったく異なるが、ユーザーがふだん入力する内容をもとにして、入力しやすいキー配列にする。
文章を入力する人とプログラミングする人では、提案されるキー配列の傾向も異なってくるそうだ。

入力されたテキストファイルをもとに、キー配列がカスタマイズされる。この例では母音が右側にまとまっており、文章の入力で左右交互打鍵となりやすい配列が提案された
今後は3Dスキャナではなく、スマートフォンで手の形状を読み取れるようにしたいという。また現在はキー配列の生成にあたって、ユーザーの典型的な入力内容をまとめたテキストファイルをもとにしている。これを常駐型のプログラムにキー入力を読み取らせ、配列生成の元データにする方式も考えているとのことだった。
キーボードを腰に巻いてどこでもプログラミング
GIFが展示していたのは、「着るキーボード」をうたう「DonType」。エプロンのような作りの布に導電性の糸で電子回路が作られている。そこにキーが取り付けられており、Bluetoothキーボードとして動作するという。エプロンと同じように腰に巻くと太もものあたり、両手を下ろすとちょうどよい位置にキーボードが来るようになっている。

着るキーボード「DonType」。見た目は奇抜だが機能は一般的なBluetoothキーボードと同じだ
開発者の「ど」(@tendots)氏が目指したのは、外出中でもどこでもソフトウェア開発できる環境だ。DonTypeから入力した内容はスマートグラスに投影される。メガネ型のディスプレイデバイスで、これをかけて文字を入力すると、前方数メートルのあたりに緑の文字が浮かんで見えるしくみだ。

入力内容はスマートグラスで自分だけが見ることができる。ここで使われていたスマートグラスはEven Realities社の「Even G2」。見た目は普通のメガネとほとんど変わらない
これだけ完成度が高いキーボードだが、まだ実際に外出して試してはいないという。「近所だとおかしな人と思われそうで…」。案外シャイな「ど」氏であった。

キースイッチを差し込む基板。裁縫に使うボタンのパーツでエプロンに固定する。「導電糸界隈ではポピュラーな手法です」とのこと
「ゆめかわいい」世界をキーボードで表現
かわいいものが大好きなほにゃ工房は、ファンシーな自作キーボード「ゆめかわ入力デバイス TPK」を展示していた。自作キーボードとしての構造は奇をてらわない分離型だ。カーソルキーが左右にあり、そこだけはロープロファイルのキースイッチを採用しているのが特徴。そしてそういった構造の前にまず目を引くのは、使われているプレートやキーキャップの個性際立つデザインである。

ほにゃ工房のブースは全体の色合いがほかと大きく異なる
これらのプレートは、基板にフルカラー印刷できる製造サービスへ発注したものだ。デザインは「ファンシーショップうさみ」をはじめ、さまざまなクリエイターに依頼した。

かわいいキーキャップは販売もしている
キーボードを介して独自の世界を築き上げているほにゃ工房は、次にどんな「ゆめかわいい」展開を見せてくれるだろうか。






