Other

2020.01.20

Mini MakerCon Tokyo 2019セッション(2)「Maker Faire Tokyoを持続可能にするには? #2」|それぞれのメイカー、主催者、そしてコミュニティの視点から

Text by Yusuke Aoyama

今年のMaker Faire Tokyo 2019では、最終日のメインステージにおいて「Maker Faireを持続可能にするには?」というセッションが開かれた。

ステージには久保田晃弘さん(多摩美術大学 情報デザイン学科 教授)、小林茂さん(情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授、Ogaki Mini Maker Faire総合ディレクター)、田村英男(オライリー・ジャパン)の3名が上がり、本家アメリカでのMaker Faire Bay Areaの休止を受けて、日本のMaker Faireの現状と課題について、コミュニティや文化、事業などの面から議論がなされた。

そして、その続きとして設定されたのが、このMini MakerCon Tokyo 2019の「セッション(2)Maker Faire Tokyoを持続可能にするには? #2」である。オリジナルの3名の登壇者に加えて、Maker Faire Tokyoへ出展するメイカーの代表として、岡本強さん(デンソー D’s Maker College)、林雄司さん(デイリーポータルZ)、矢島佳澄さん(乙女電芸部)の3名を加えて、今後もMaker Faire Tokyoが継続し、日本のメイカーコミュニティが発展し続けるためにはどうすべきか、忌憚のない議論が繰り広げられた。

企業内でMakerのサークルと活動をより強固なものにするために

セッションは、まずメイカー代表の3名による、出展者の立場から考える持続可能性についてプレゼンテーションが行われた。トップバッターの岡本さんは、株式会社デンソーの社員であり、同社内に設けたMakerサークルである「D’s Maker College」の代表を務めている(当日使用したスライド、参考記事:株式会社デンソー「デンソー技術会 DEES Maker College」メンバーインタビュー)。

「企業における放課後Make活動の価値」と題した岡本さんの発表は、製造業でありながら実際に手を動かす機会が少なくなってきた企業において、仕事そのものをいかに面白くするか、会社生活を楽しくするか、というところからD’s Maker College(以下、DMC)の立ち上げに至った経緯から始まった。

そして、敷地内の廃工場をファブスペースにしたり、社内でメイカーイベントを開催してメンバーの作品を社内に広く公開したり、また社用バスを活用したMaker Faire Tokyo日帰りツアーを社内向けに開催したりと、サークルとして活動し社内でいかに存在感を増し、仲間を増やすことに腐心しているという。

こうしたイベントを社内で開くにあたって大切なのは、ものづくり活動の中心となる技術系社員だけでなく、それ以外の事務等の社員を仲間にすることだという。例えば、ロゴを作るときはグッドデザイン賞を獲得した社内のデザイナーとコラボレーションしたり、社内で社外のイベントのポスターを掲示する際は総務部の社員の協力を得たり、広報部を味方に付けてMaker Faire Tokyo 2019での出展の様子をデンソーの公式Facebookアカウントで中継してもらったりしているという。

岡本さんたちが、こうした社内メイカーサークルに力を注いでいるのには、こうした活動こそがものづくり企業において、働き方や生き方を変え、仕事にもよい面があるからだという。

「(DMCが)ないときっていうのは、帰って飯食って、テレビ見て、ネットサーフィンして、寝る。仕事つまんねーな、こいつらつまらないし、会社辞めようかなって転職サイトを見るっていう生活。DMCができてからは、工房に寄ってから帰って、飯食ってからCADいじって、プログラミングして寝る。仕事中も、工房に行きたいから無駄を減らして時間作ってがんばる。集中してテキパキこなして評価されて楽しめる。DMCという放課後活動を入れることで、仕事にも良い面が出ると言うことが、影響として見えてきたかなと思います」

ただし、岡本さんたち、DMCのメンバーは現状で満足しているわけではないという。もっと仲間を増やしたいし、さらに社内外でアクティブに活動するコアメンバーをもっと増やしたいと考えている。

「人数的には非常に少ないです。110人のメンバーがいますが、そのなかでも、このレベルで取り組んでいるのは極一部です。じゃあどうするのか。(中略)というのも、(会社のなかで)業務外でいろいろ遊ぶといっても理解してもらえない。そんなの何の意味があるんだ、と。なかなか真の価値はわかってもらえない」

そこを乗り越えるために、いま2つのアプローチを考えているという。ひとつめは、業務時間の中でメイカー活動を実施し、高いレベルの開発品を作るということだ。Googleの「20%ルール」のようなものを導入し、業務としてメイカー活動をすることで、参加者が部署異動するようなリスクを早い段階から取ることなく高いレベルの開発に挑戦しやすい機会を提供する。そうすれば挑戦する社員が増え、その内の成功例が新事業化や広報活動等に繋がって会社にメリットを出せる、という一般的なモノづくり視点での考えだ。

そして、ふたつ目が、仕事と遊びを切り離さず、従業員のマインドセットを変革することだという。業務外のサークル活動として行っているメイカー活動のマインドで本業に取り組み、業務の中で遊ぶ。「遊び」はやらされるものではなく、主体的に楽しみながらやるもの。それによって従業員の意識改革を促して結果的に業績が底上げされる、というコトづくり視点での考え方だ。

「今までは業務外という形で本業と切り離してやってきましたが、これからは仕事のなかで遊ぶ。新規事業を作るだけがメイカー活動の価値じゃない。さっきは『会社で遊ぶ』と書いたんですが、ここでは『仕事で遊ぶ』と言っています。業務をハックして楽しんで、皆が本気で『遊ぶ』ことができれば、その課とか室のレベルから業績は底上げされていく」

岡本さんも、今のところ「やれと言われても、どうすれば『仕事で遊ぶ』の価値観を正しく広げられるかわからない。僕自身もまだ十分に実践できていない。」と正直に話す。だが、実際にDMCのメンバーのなかには、放課後のメイカー活動によって、働き方、生き方を変えるきっかけとなったものがいることは事実だ。そして、そういった活動の中心にMaker Faireがあり、それが人々を引きつけ精神的な柱になり得ると岡本さんは考えている。

そして最後に、それをより強固にするため「企業内メイカー宣言」を作ってはどうか、と提言して発表を終えた。

「これは僕の思いですけど、企業内メイカー宣言みたいなものを出していけないか。というのも、仕事で遊ぶと言っても、『遊び』という言葉は人によって取り方に幅があってなかなか理解が難しい。今、上級のマネージャー層にそんな表現をしたら誤解して怒られるんじゃないか。皆さんと知恵を出し合って企業内メイカー活動の価値観を形式知化して共同宣言を出し、それぞれの社内において『いろんな会社がやっているんだよ』という日本流のアプローチを用いて企業内でのメイカー活動を推進しやすくしていきたい」

偉い人を説得するための「楽しさ」という本質を伝える努力

続いて、デイリーポータルZのウェブマスターを務める林雄司さんが登壇した。デイリーポータルZは、2002年にインターネットプロバイダーのニフティのサービスとしてスタートしたが、現在は東急グループのケーブルTV・ISP事業者であるイッツコムの事業となっている。(当日使用したスライド

冒頭、林さんは「(オライリーの田村さんに)デイリーポータルZこそ役に立たないのになんでずっとやってるの、コツがあるんじゃないか、というご指摘が」と、今回の登壇の経緯から話し始めた。デイリーポータルZは、ひとことで言えば「コンテンツサイト」だが、ニュースやビジネス情報といったいわゆる“役に立つ”情報ではなく、「変で面白い」コンテンツの発信を2002年から10年以上にも渡り行ってきている。

ニフティ時代は「自社サービス、ニフティの接続サービスの送客、宣伝になりますよ」ということで運営してきたが、後半には「会社のブランディング」という言い訳で成り立っていたという。また、イッツコムに移籍してからは、ある程度の売り上げも重視されるようになっているという。

ただし、ニフティ時代も含めて、デイリーポータルZの収支は常に厳しい状態が続いているという。独自の収入源として、記事広告やバナー広告、ファンクラブの会費などがあるが、それだけで十分にまかなえる状態ではない。そのため、林さんは常にステイクホルダーを重視してきたという。

「なんと言っても、人件費と制作費を出してくれているのがイッツコムなので、ここがスゴく大事で。ここが一番のスポンサーだなと思っていて、今日のメインの話しなんですが、どういう風に説明、納得してもらうか。このサイトはすごく大事です、この活動は大事ですって、僕が言ってもまず聞いてもらえないので、偉い人に『そうか、これは大事なんだな』って言わせないといけないんですね」

そのためのポイントは3つあるという。1つめは、そうした「偉い人」を当事者にすること。例えば、社長をイベントに登壇してもらったり、記事に登場してもらったりと、上手く巻き込んで行く。そうすると、たいていの人は「自分が出ているとコンテンツのクオリティチェックが甘くな」り、「これは面白いね」と言ってくれるのだという。

2番目は、数字で説明しないこと。単純に収支だけを見れば赤字であることは事実なので、それを無理やり「得です」と言ったり、「広告換算値では」と言ったりすると、事実を指摘された場合、やぶ蛇となるため悪手だという。あくまでも数字ではない言葉で説明するとのこと。

「最近、マーケティングでエンゲージメントとか、ファンとか、アンバサダーマーケティングとか、いろんな言葉が出てきている。短期的な売り上げじゃなくて、長期的にユーザーのライフタイムバリューを上げるんですとか、カスタマージャーニーとかそういう言葉を使ってごまかしてく」

3番目は、自分たちに対する他人の評価を引用すること。自分自身で、コンテンツやイベントを「すごい」「素晴らしい」と言っても、評価者には聞いてもらえない。それに「サイトが10万PV」といってもそれは数字でしかないが、それよりも200人が集まっている場所に意志決定者を連れて行くと、その効果は大きいという。それに加えて、NHKや朝日新聞などのメディアへの掲載実績も大事とのことだ。

「僕もデイリーポータルZもメディアなので、メディアがメディアの評価を引用するのもちょっと癪なんですけど、やりたいことが出来ればいいので、なんでもいいから、こういういかに載っていますよということを、他人の口の言葉を使って言う」

これらの手法はいずれも、意志決定者を騙すための小手先のテクニックではなく、いかにデイリーポータルZが楽しいことをしていて、それを支持する多くの人々がいる、ということを見せていくためのものだ。

「デイリーポータルZとかMaker Faireの価値の本質は楽しさであって、それを意志決定者や僕が稟議書に書ける言葉にしないといけない。『楽しいから』だと稟議書にはなかなか書けなくて、そこでマーケティング的にカスタマーバリューだとかそういう言葉を使って、言葉に変換するのが日々の作業かなと思っていて」

だが、一番大事なのは、やはり「楽しさ」そのものを伝えることだと、林さんは強調する。

「価値の本質というか元が楽しいと言うことであれば、やっぱり効果的なのは楽しい作品をつくって、日々発表すること。つまんないって言う暇もないほど、面白いものを日々出していくのが一番の価値の本質かなと」

このように楽しい作品作りと、その楽しさをビジネスとして通じる言葉に変換する、この両輪がデイリーポータルZを存続させるための林さんの日々の活動の軸になっている。

Maker Faireに参加し続けるために必要な戦略的なやり方

3番目に登場となったのが、乙女電芸部の代表を務める矢島佳澄さん。乙女電芸部とは、慶應大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)で学ぶ学生によって結成されたDIYグループ。現在は9名のメンバーがおり、Maker Faire Tokyoへの出展のほか、企業や自治体からの依頼で電子工作に関するワークショップなどを実施している。(当日使用したスライド

矢島さんたちが乙女電芸部を結成しようと思ったのには、大きく2つの理由があるという。1つめは、手芸と電子工作を組み合わせた「テクノ手芸」を自分たちでもやってみたいということでテクノ手芸部の「コピーバンド」として始まった。

もうひとつが、大学での研究は新規性や有用性、再現性などが必要で、その成果を論文としてまとめることが求められるため、純粋に自分の欲望をかなえるためのものづくりをする場が欲しかったのだという。

「研究室で、私が『頭を勝手になでなでしてくれる帽子を作りたいんです』っていうと、先生が『ソレは研究にはならないよね』と却下されました。そういう欲望をかなえるためのものづくりをもっとしても良いんじゃ無いかと思って、周りのみんなに声を掛けて部活として活動を始めました」

そうして2010年に結成された乙女電芸部は、「Make Tokyo Meeting 05」(2010年5月開催)の見学を経て、「Make Tokyo Meeting 07」(2011年7月)にて初の出展を実現。だが、日本最初のMaker Faireとなった「Maker Faire Tokyo 2012」には落選してしまう。これをきっかけとして、乙女電芸部は運営の姿勢を大きく変えることになった。

「それまでは和気藹々とリーダーも決めずに活動をしていたんですけど、ちょっと戦略的にと言うか、社会に対して自分たちがどんなことをやっていきたいか考えるようになって、それで私が部長になって、毎年Maker Faireに出展することをちゃんとできるように戦略的にやっています」

その結果、「Maker Faire Tokyo 2013」からは7年連続で出展を成し遂げている。また、Maker Faire Tokyoの申し込みに合わせて、毎年新しいテーマを決め、それに合わせてワークショップを作り、それを持ってMaker Faire Tokyoに出展するというサイクルを確立した。さらに、ワークショップを見た企業から声を掛けられて、企業とのコラボレーションも行っている。

「私たちは自分たちが作りたい欲望発想で、作りたいモノを作って発表していただけなんですけど、それを見に来てくれた人が、もっとそれを広げたいからっていってお仕事になる。メイカーフェアに出ると、新しい人と出会えて、お仕事になったり、新しい場所でワークショップができるとか、新しい循環が毎年起こるようになりました」

こうして、MFTへの参加をきっかけとして、乙女電芸部はその活動そのものの持続性を獲得してきた。だが、一方で純粋にMFTへの参加に係るコストと、そこから生まれる効果を比較した時、コスト自体は決して小さなものではない。会場で物販を行うCommercial Makerの場合、テーブルあたり2万1,600円の出展料がかかる(編注:2019年時点)。また、展示物の製作や、ワークショップで用いる材料、配送費などにも費用がかかる。その結果、Maker Faire Tokyo2019は赤字になってしまったという。

だが、それに加えて大きなコストとなるのが「夏の暑さ」と、それによって生じる「部員の体調不良」だという。

「私たちの中で一番、大きいコストって体力なんですね。Maker Faireの後に必ず体調を崩して、8月は仕事にならないみたいなことが起きるので、それが一番コストなんです。本当に8月の東京って暑いじゃないですか。ビッグサイトへの道がめちゃくちゃ遠いと毎年思うんですけど」

こうしたコストと効果とのバランスによって、乙女電芸部のMaker Faire出展は成立している。Maker Faireというイベント全体に加えて、こうした出展者側の持続可能性という視点の重要性を示唆して矢島さんのプレゼンを終えた。

公平で納得のいく費用負担の方法をコミュニティで考えたい

3人の出展者からのプレゼンテーションの後、Maker Faire Tokyoの運営責任者であるオライリー・ジャパンの田村英男が登壇。Maker Faireの継続し、メイカーコミュニティが自立して行くための現状報告が行われた。

まず、Maker Faire Tokyo 2018の収支について、金額は非公開ながらそれぞれの費目の内訳が公開された。収入はスポンサーが47%、入場料が26%、出展料(企業出展など)が14%、書籍・グッズ売上が9%、その他(ワークショップなど)が4%となっている。一方の支出が、会場関連費が30%、レンタル備品・電気工事・施工が30%、スタッフ(運営、警備など)が18%、広報(ウェブ、ポスターなど)が5%、その他(保険など)が17%となる。

収支について田村は「現状で割と厳しいです」と率直に言う。対外的には「トントン」だと言ってきたものの、実のところ「盛った」言い方だったのだそうだ。

支出について大きいのが、やはり会場代だ。例えば、週末に2日間、ビッグサイトの西1ホールと西2ホールを借りると、それだけでも相当な金額になる。出展者数を増やす、すなわち会場を広くすると、この費用がダイレクトに増える。さらに、机などのレンタル備品、電気工事など施工の費用も、会場の広さに応じて増大する。その他の保健や警備などの人件費、また広報などにかかる費用もあり、大きく削れるような部分はないという。

そして収入についてだが、現状はスポンサーフィーに頼っているところが大きく、これがリスク要因となっている。この課題に対して、収入源の多様化により対処を図っていると田村は語る。

だが、入場料にしても、物販売上にしても、単純な上積みは簡単ではない。

「来場者を増やすためには広報を強化しないといけない。ただし広報費用が必要になる。ただし、Maker Faireの場合、出展者の作品が申し込み時点で未完成だったり、イラストしかなかったりする。あと、完成しているかどうか当日にならないとわからないなど、事前パブリシティが難しい。Make Tokyo Meetingと比べると(Maker Faire Tokyoは)、ファミリー層が増えたのは喜ばしいことなんですが、そういった方々は書籍やグッズには、なかなか手に取っていただけない」

そこで具体的に検討していることのひとつが、出展者からの出展料の徴収だ。従来、物販を行わない出展者はすべて無料で、企業出展や物販を行うCommercial Makerのみ出展料金を科していた。だが、すべての出展者から出展料金を取ることを検討しているという。

「いままで徴収していなかったので、価格とか徴収方法は、皆さんにどういう風にすれば納得いただけるのか。慎重に考えないといけないと思っています。学生とか教育機関とか、教育に係わる方々からお金をいただくのは控えた方がいいと思ってます」

出展する側の意識や意見を知るために、出展者に対してアンケートも実施した。その結果は、支払ってもよいが79%、支払いたくないが21%。また支払い希望金額は、0~5000円が54%、5001円~1万円が34%、1万1円~1万5000円が12%となっている。

これに関しては、当然ながらできることなら支払い額は安い方が良いというのが人情だろう。だが、物販をしない通常のMakerの出展であっても、テーブルのレンタル費用とブースへの電源供給の施工だけでも数千円のコストが掛かっていることは事実だ。

もちろん、この収支状況やアンケート結果を持って出展の全面有料化を実施すると決まったわけではない。

「出展者さんとの関わりあいが変わって来るところもあって、例えばネットでいきなり発表するとかではなく、こういった場で直接口頭で申し上げたかったというのが、今回のカンファレンスを行った運営側の目的のひとつではあります。これに関しては、いろんなご意見があると思いますので、クロージングセッションのQ&Aがありますので、そこでお寄せいただいてもかまいませんし、Twitterでタグをつかってご意見をいただいてもかまわないので、いろんな方と落としどころを考えていきたい」

Maker Faire Tokyoは、主催者側だけによって成立しているものではなく、出展しているメイカーと、そうした人々を支えるメイカーコミュニティと共に作り挙げてきたものだ。田村もそれがよくわかっているからこそ、有料化の必要性を訴えなければならないこの日は「会場に来る足取りが重かった」と打ち明けた。

また、進行役を務めた多摩美術大学情報デザイン学科の久保田晃弘教授も、田村の発表を受けて、「コミュニティとオープンに話し会いながら、トップダウンで参加費を取る取らない」という話ではなく、いろんな意見を聞くために今回のカンファレンスを開いたのだと重ねて述べて、セッションを終えた。