Fabrication

2014.06.13

Kickstarterがルールを単純化。その理念を守るために。

Text by kanai

All the Kickstarter project creators at Maker Faire. Photo via Julio Terra.
Maker Faireに集合したKickstarterの利用者たち。写真:Julio Terra

2007年のEG Conferenceにて、Kevin Kellyは聴衆にこう言った。ウェブが登場してまだ5000日も経っていないと。すべてのアクセス、すべてのコンテンツ、すべての情報は、その短い期間で利用できるようになったことを彼は思い出させてくれた。とくに印象的だったのは、だれも驚かなかったことだ。人間の時間の感覚とは、なぜか主観的になりがちだ。同じように、我々が普段世話になっているプラットフォームが、生まれてからどのくらい経っているのかを見てみると面白い。

Google: 5,753 日
YouTube: 3,397 日
Facebook: 3,774 日
Twitter: 2,998 日
MAKE Magazine: 3,442 日
そしてこの記事の主役である Kickstarter: 1,864日

Makerにとって、Kickstarterがない世界はもう想像が付かない。それは、プロジェクトに生命を吹き込むまったく新しい方法を提供してくれた。類似のサービスや派生サービスも数々あるが、やはりKickstarterはクラウドファンディングの精神を切り拓いたパイオニアだ。外部の人間から見ても、それを突き動かしているのはその理念、つまり、新しい創造的なアイデアをみんなで協力し合いながら世に送り出せる仕組みが必要だというアイデアに他ならないことがはっきりとわかる。だからこそ、その理念が、一攫千金を目論む人間や絵に描いた餅のような話によって貶められることに危機感を覚えた彼らは、あの評判の悪かったブログ記事、Kickstarter is Not a Store(Kickstarterは店じゃない)を通じて、プロダクトデザイン部門に歯止めをかけようとした。そのときは、私も彼らの決断を支持した。なぜなら彼らは、誰も罰することなく、その理念を守ろうと努力していたことを知っていたからだ。

Kickstarterは新しいルールを発表した。それは驚くほどシンプルなものになった。彼ら、Kickstarterが再び正しい志を持つMakerにとって素晴らしい場所となるよう、Makerにとって有利な改善策を、2年近くもかけて検討してきた。その結果がこれだと私は思っている。

それはそれとして、私はPaul Spinradの意見に同意する。私たちは、Makerとして、Kickstarter(IndieGoGoなども)を見回り、怪しいプロジェクトを監視し注意を促す責任を負っているという考えだ。私たちは、このクラウドファンディングの理念が、いかに新しく、いかに壊れやすく、いかに素晴らしいものであるかを、そして私たち全員の手でその未来を守っていくのだということを再確認しようではないか。

– David Lang

訳者から:Kickstarterは6月4日に2つの発表を行った。ひとつは、Launch Nowという新しい機能。簡単にキャンペーンが開始できるのと、開始前に、コミュニティーマネージャーという専門のアドバイザーからプロジェクトに関する指導を受けることができるというものだ。

問題の新ルールは、以下の3つに絞られた。

  • Projects must create something to share with others.(プロジェクトにはみんなに見せることができる実体が必要)
  • Projects must be honest and clearly presented.(プロジェクトの内容は正直に明確に説明しなければならない)
  • Projects cannot fundraise for charity, offer financial incentives, or involve prohibited items.(プロジェクトは、募金目的であってはならない、報奨金を提示してはならない、禁止されたアイテムを含んではならない)
  • Kickstarter is Not a Storeは、Kickstarterを一般のショップのように便利な物を買うためのサイトだと勘違いする人がいないように、キャンペーンを行う人は、寄付をする上でのリスクと、実現のために克服すべき問題点があることをしっかりと寄付者に伝えなさいと訴えたKickstarterのブログ記事。

    原文