Science

2015.04.27

シングルボード宇宙船「Sprite」を搭載する超小型DIY衛星「KiskSat」の打ち上げをNASAが承認

Text by Alasdair AllanTranslated by kanai

The original Kicksat was launched aboard the SpaceX CRS-3 resupply flight to the ISS. (Credit: SpaceX)
オリジナルのKicksatは、ISS への補給フライト用SpaceX CRS-3で打ち上げられた(写真:SpaceX)

私が初めて寄付したKickstarterプロジェクトは、Kicksat だった。このプロジェクトの創設者はZac Manchester。つまり、少なくともある意味、私がKickstarterに多額のお金を寄付するようになった張本人だ。私は彼を恨むべきではないだろう。いや、彼を許そうと思う。

Kicksatは、新しいタイプの人工衛星を技術的に実証するためのものだった。わずか30cm×10cm×10cmという本体は、より小さなシングルボード宇宙船のSpriteを搭載する母船として機能する。その3分の2の部分は、小さな宇宙船を放出するための装置だ。

Spriteは非常に小さく、3.5cm×3.5cmというサイズだ。このボードには、マイクロコントローラー(TI MSP430)と無線と太陽電池が搭載されている。温度計、磁力計、ジャイロスコープ、加速度計などのシングルチップのセンサーも積める。低軌道に数百基を一度に放出するようデザインされている。CubeSatが宇宙利用の方法を大きく変えた最初の衛星だとするなら、Spriteは次世代の本当の宇宙の民主化のサインと言えよう。

One of the many Sprite spacecraft that were launched onboard Kicksat. The Sprite is a "chipsat", a proof of concept design the shrinks an entire satellite down onto a single chip.
オリジナルのKicksatから放出された多くのSpriteのなかのひとつ。Spriteはチップ衛星だ。人工衛星をシングルチップに圧縮してしまうというコンセプトを実証するものだ(写真:コーネル大学)

最初のKicksatは、Spriteを搭載していたカーゴからの放出時にトラブルに見舞われた。しかし、最近の報告では、大体のKicksatが NASAの打ち上げ枠を獲得したという。私は、Kicksatの背景とこれからの打ち上げについて、Zac Manchesterに話を聞いた。

私はまた、Ariel WaldmanSpacehack.orgの創設者で、Science Hack Dayのグローバルディレクター)から、宇宙へのアクセスにかかるコストが急激に下がっていることの意味について聞いた。彼女は、Jane McGonigalとともにInstitute For The Futureで行った将来のパーソナル人工衛星に関するゲームについて話してくれた。彼らは「……宇宙が今のウェブと同じぐらい安くアクセスできるようになったら、何をしたいか?」と問題を出した。そこで出てきた未来の予測や面白いパターンを煮詰めていったのだ。

Cubesatを分散する方法には、みんなも興奮しました。超小型衛星の場合、大量に放出するほうが、ひとつだけのときよりもその可能性は広がります。小型衛星を分散させることで、気候変動に対処できるという予測を立てた人も多くいました。今、分散型衛星は、Planet LabsやSwarm Flyby GravimetryなどのNASA Innovative Advanced Conceptsプログラムで実証されようとしています。このゲームでは、小型衛星の利用が「大規模な共創」の道をひらくと人々は考えていました。小回りが利くために、創造性が増すのです。

共通の問題は、CubeSatが増えることが、私たちの心の健康にどう影響を与えるかということです。これには良い面と悪い面とがあります。宇宙へのアクセスが増えると、余計なことを考えるようになってうつ病や自殺が増えると危惧する人もいます。また、軌道から地球をひとつの場所として眺めることで、人間同士の関わり方に良い影響が与えられると考える人もいます。私は今でも、これは熟考に値する問題だと思っています。宇宙へのアクセスが増えることで、グローバルな規模で私たちの心理にどんな影響があるのか。

しかし、小型衛星が少しずつ使えるようになることに関して私がもっとも期待しているのは、市民科学の復興です。科学を、公式な、または非公式な教育を通して、誰もが自由に楽しめるものとして取り戻すことです。今私たちは、正しい道を歩んでいると感じていますが、人工衛星を本当に一般社会の人々が使えるようになるまでには、まだやらなければならないことがたくさんあります。コストの削減や技術的ハードウエア的問題は、その半分にすぎません。

いわゆる「新宇宙」企業が登場し、今の数分の1にまで衛星の打ち上げコストが下落したらどうなるか。CubeSatがiPod程度のコストで打ち上げられるようになる将来を考えるのは楽しい。なぜなら、すでにCubeSatsの打ち上げ価格は業界を動かしているからだ。それは大群でやってくる。

原文